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こんにちは我が家
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アナスタシアに色々と説明を聞き、目を閉じて気を失い、目が覚めたら、小さな小屋の中にいた。
暗い。
ガラス窓があるのだけれど、小さいせいかとても薄暗い。でも、朝だということはわかる。ガラス窓の外にには木の扉。半開きだからそのせいかな。
木の扉をすっかり開けると、わずかながらも明るさが増えた。
私のいる部屋は、多分キッチン。多分、というのは現在の感覚でのキッチンとは随分違うから。
大きな暖炉、食器棚、そして多分食料用の棚。水瓶。洗い物用の桶。食材を切れそうな細長い机が窓辺にあり、3-4人くらい座れそうなテーブルと丸椅子が3つ。背もたれ付きの椅子が2つ。
これが、リビング兼キッチンというところだろうか。当然水道はない。オーブンもない。
暖炉の脇には薪が積み上げられている。これ、何日ぐらい持つんだろう。
大きな鉄製の鍋が一つ。魔女が使っていそうなやつね。これはアナスタシアが気を使ってくれたんだろうな。
「本当に最低限のものしか準備できないんです」って言っていたから。
彼女の口ぶりからしても、この世界の平均的な生活レベルはかなり低そうだった。
「平均的」という縛りの中で頑張ってくれたのだろうなと思うと胸の奥がほんの少しほっこりした。
まあ、アナスタシアが諸悪の根源だといえばそうなのだけれど、何かのっぴきならない事情があるような感じもあったしなあ、と、どこか他人事のように考える。
寝室は隣。粗末な階段を上がると屋根裏部屋。
あ、ここはあれね、スキルを使うための部屋だ……!となぜかピンと来た。
ドアに鍵がついていて簡単に人が入って来られないようになっている。そして大きな木製の箱が二つ。
開けると日本のアパートにあったものが入っていた。片方は私が選んだもの。
もう片方はアナスタシアが詰めてくれた箱のようだった。
シーツだとか、葬儀の時の真珠のネックレスだとか、自分では思いもよらなかったものが入っている。
とてもありがたい。
あちらこちらを見て回って、緊急に住環境周りでやらなくてはならないことをきめる。
まずは、睡眠周り。
ベッドはある。木の枠にロープを渡したものだ。マットレスなんて洒落たものはなくて木の枠にピーンとロープを縦横に張り巡らせることで体重を支えている。
ハンモックみたいなものだね。ロープをピンピンに張ったり、撓ませたり、色々調整できるみたい。
薄っぺらい毛布が2枚あったけれど、これでは私は多分熟睡できない。
自宅の寝具は化繊で、シーツと布団カバー以外はもって来れなかった。掛け布団とか、枕とか、あったらよかったのに……。
何とか手持ちのもので眠れる環境を作らなくてはならない。
2つ目はカーテン。
これはすごく悔しくて、実は買い替えたばかりだったのだ。風合いが気に入って買った木綿のカーテンが今年梅雨の湿気にやられてカビてしまって最近化繊のものに変えたのだ。
……とても悔しい。とはいえ、カーテンは欲しい。
今我が家の窓にはカーテンがついていない。外に木戸があるから、覗き込まれたくなかったら木戸を閉めればいいという話はあるんだけれど、そうすると部屋の中が真っ暗になってしまう。
窓は無理でもベッド周りにはカーテンをつけたい。そうすれば目隠しをしてその中で着替えたりできるしね。
冬場の保温にもいいしね!
それから……
神棚が作りたい。
なんか変なんだけど、おばあちゃんは台所に御札を貼って火事がおきないように祈ってた。神棚にも毎朝水を備えてた。
日本での生活が全て遠い彼方に消えた今、私は何か、自分の過去とのつながりがほしい気がしていたのだ。
ということで、アナスタシア神棚を作ることに決定した。とりあえず今はタンスの上に日本から持ってきたコップをおいてきれいな水を入れてある。お供物だよ~。
「アナスタシア、ここでなんとか頑張って生きるからね!」
神棚っぽくはないが気は心だよね。
持っている食料とお金の把握をしなくちや。今後の計画もたてないとね……そんなところだろうか。
暗い。
ガラス窓があるのだけれど、小さいせいかとても薄暗い。でも、朝だということはわかる。ガラス窓の外にには木の扉。半開きだからそのせいかな。
木の扉をすっかり開けると、わずかながらも明るさが増えた。
私のいる部屋は、多分キッチン。多分、というのは現在の感覚でのキッチンとは随分違うから。
大きな暖炉、食器棚、そして多分食料用の棚。水瓶。洗い物用の桶。食材を切れそうな細長い机が窓辺にあり、3-4人くらい座れそうなテーブルと丸椅子が3つ。背もたれ付きの椅子が2つ。
これが、リビング兼キッチンというところだろうか。当然水道はない。オーブンもない。
暖炉の脇には薪が積み上げられている。これ、何日ぐらい持つんだろう。
大きな鉄製の鍋が一つ。魔女が使っていそうなやつね。これはアナスタシアが気を使ってくれたんだろうな。
「本当に最低限のものしか準備できないんです」って言っていたから。
彼女の口ぶりからしても、この世界の平均的な生活レベルはかなり低そうだった。
「平均的」という縛りの中で頑張ってくれたのだろうなと思うと胸の奥がほんの少しほっこりした。
まあ、アナスタシアが諸悪の根源だといえばそうなのだけれど、何かのっぴきならない事情があるような感じもあったしなあ、と、どこか他人事のように考える。
寝室は隣。粗末な階段を上がると屋根裏部屋。
あ、ここはあれね、スキルを使うための部屋だ……!となぜかピンと来た。
ドアに鍵がついていて簡単に人が入って来られないようになっている。そして大きな木製の箱が二つ。
開けると日本のアパートにあったものが入っていた。片方は私が選んだもの。
もう片方はアナスタシアが詰めてくれた箱のようだった。
シーツだとか、葬儀の時の真珠のネックレスだとか、自分では思いもよらなかったものが入っている。
とてもありがたい。
あちらこちらを見て回って、緊急に住環境周りでやらなくてはならないことをきめる。
まずは、睡眠周り。
ベッドはある。木の枠にロープを渡したものだ。マットレスなんて洒落たものはなくて木の枠にピーンとロープを縦横に張り巡らせることで体重を支えている。
ハンモックみたいなものだね。ロープをピンピンに張ったり、撓ませたり、色々調整できるみたい。
薄っぺらい毛布が2枚あったけれど、これでは私は多分熟睡できない。
自宅の寝具は化繊で、シーツと布団カバー以外はもって来れなかった。掛け布団とか、枕とか、あったらよかったのに……。
何とか手持ちのもので眠れる環境を作らなくてはならない。
2つ目はカーテン。
これはすごく悔しくて、実は買い替えたばかりだったのだ。風合いが気に入って買った木綿のカーテンが今年梅雨の湿気にやられてカビてしまって最近化繊のものに変えたのだ。
……とても悔しい。とはいえ、カーテンは欲しい。
今我が家の窓にはカーテンがついていない。外に木戸があるから、覗き込まれたくなかったら木戸を閉めればいいという話はあるんだけれど、そうすると部屋の中が真っ暗になってしまう。
窓は無理でもベッド周りにはカーテンをつけたい。そうすれば目隠しをしてその中で着替えたりできるしね。
冬場の保温にもいいしね!
それから……
神棚が作りたい。
なんか変なんだけど、おばあちゃんは台所に御札を貼って火事がおきないように祈ってた。神棚にも毎朝水を備えてた。
日本での生活が全て遠い彼方に消えた今、私は何か、自分の過去とのつながりがほしい気がしていたのだ。
ということで、アナスタシア神棚を作ることに決定した。とりあえず今はタンスの上に日本から持ってきたコップをおいてきれいな水を入れてある。お供物だよ~。
「アナスタシア、ここでなんとか頑張って生きるからね!」
神棚っぽくはないが気は心だよね。
持っている食料とお金の把握をしなくちや。今後の計画もたてないとね……そんなところだろうか。
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