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キャンプ生活脱出……の見通し
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メンストンさんの家からかなり色々なものが持ち込まれて一気に我が家が家らしくなった。
持ってきたチャーリーもチャーリーの兄たちも全然悪びれたところがない。ちょっと悪いことをしたかな、でもグレーゾーンだよね、みたいな感覚だということだ。
リジーさんは、私がガラスの器を渡したことで少し警戒している感じ。
悪いことをした、というよりも高価なものをホイホイ与えることができるくらいのつながりは権力者とまだあるのかも……と思ったんだと思う。
権力者と繋がっている人間の機嫌は取っておいたほうがいい、という判断だね。
アナスタシアと繋がってるから考えようによっては究極の権力者と繋がってるんだよ!
見てればわかるけどメンストンさんの家は子沢山だし、雇い人も季節によってはいるし、なんか色々としっかりしてないと回らないんだろうなと言う感じ。
燈心草を持ってきてくれたってことはロウソクはよほどのことがないと使ってないってことだ。暖炉で料理するたびに落ちてくる獣脂を集めて燈心草を浸してロウソクがわりにするんだよね。
臭いし薄暗い。
この世界の庶民の暮らしは大変だよ。
私はアナスタシアに守られてるんだな、と、なんか唐突に思った。多分この世界の庶民のうちでは良心的な方だよね、メンストンさんたち。
そう思ったので、とりあえず即席神棚に「ありがとう」って言っておく。ミントティーもお供えした。あの幼女アナスタシアを思い出したら、喜びそうだなって思って。
ただ、ワンカップ大関の空容器に対する反応が激しすぎたのでちょっとアドバイスしてくれてもいいんじゃないの、と文句を言っておいた。
面倒見がいい執事とかさ、つけてくれてもいいじゃない。
セバスチャンがほしいよ!
それにしても、これだけ色々なものがあると突然この小屋の「家っぽさ」が上がった気がする。
今まではなんかキャンプっぽかった。パジャマがなくてチュニックで寝てたりしたし。
チャーリーが、たくさん薪を割ってくれたから精神的に落ち着いてるんだっていうのも気づいた。今日の夜は塩豚のスープカレーだしね。
うん。ごはんは大切。
薪は今後もたくさん確保したい。
あと、さすがに警戒をすることを覚えたので、午後にアリスちゃんとするつもりの手芸の材料はできるだけくたびれた薄い色の古びたタオルを選んで別に裂いておいた。
最初は色を選ばせてあげようかと思ってたんだけどね。ちょっとマズそうな気がするよ。
もっと時間があったら草木染とかして、きれいなパステルカラーにしておいてあげられたんだけど。
……なんて思った私が甘かったですよ。
まずタオル地の布がこの世界ではめちゃくちゃ希少な可能性をすっかり失念してた。
希少でしたよ。
存在はしてるけど、本当に珍しい加工でこんな田舎の農家にあるようなもんじゃなかった。
日本だったら雑巾にしそうな古タオルのはぎれを手にしたアリスちゃんが、「キャー」と目を輝かせ、ものすごい集中力で円形の座布団を作り上げ、ルンルンと家に帰り、一時間後真っ青になったリジーさんが「こんな高いもの……!」(以下略)……。
あー。どうしようかな。
古タオルでなにか作ってホワイトさんに市場に持って行ってもらおうと思ってたんだけど……。
もしかしたら、今まで手を付けていなかった他の布物を洗って加工するべきなのかもしれない。幸いこの三つ編みラグはどんな生地でもできるから、平織りの綿のものを使おう。できるだけ淡い色のもので、ものによっては草木染めで色をつけて……。
大量にあるタオルは我が家とご近所さん少しで使うようかな……。
なんか、色々考えるべきことはあったんだけれど、薄焼きのクレープみたいなものと、スープカレーと食後のチーズを終えた頃には「まあ、なんとかなるよ、きっと」みたいな気分になっていた。
カレーって偉大だ!
明日の分もあるよ!
お腹がいっぱいになった後は、小さな火が燃えている暖炉の脇でコーヒーを飲みながらバスタオルの布を使ってパジャマを作った。
北国なんだよね。夏なのに冬は時々肌寒い。
今縫っているパジャマは冬のもの。型紙があるわけじゃないので、手持ちの服を乗せてザクザクっと裁断してチクチク縫う。
本当に身体にピッタリした服は型紙があったほうがいいのかもしれないけど、ゆったりとした服や民族衣装系は大体型紙なしでなんとかなるよね。
和服とかもそうだけど。
ズボンを縫って紐をとおして、上はかぶるだけの長袖のTシャツみたいな物を縫い始めたところで眠くなっちゃった。
でも、これが終わったら同じ生地でガウンも作ろうと決心した。
……モコモコしすぎるかな……。
でも、日本の夏と比べたらこちらの夏は日本の4月から5月って感じなんだよ。
過ごしやすいことこの上ないんだけど、冬が怖くなるのは当然だと想うんだよね……。しかも、見た感じマージョはあんまり防寒着らしきものも持ってないし。
フリースの部屋着もダウンジャケットも、日本から持ってこれなかったしね……。
冬支度は過剰なくらいしておきたいです。
災害大国出身なんでイザという時のために食品とか備蓄しておきたいんだよ!
食べ物と燃料と、布ものと、あとなんだろうなー。
色々と考えていたら眠くなったのでベッドにもぐりこむ。
だんだんこの世界に慣れてきた気はするけれど、まだまだ先は長そうです。かみさま。
持ってきたチャーリーもチャーリーの兄たちも全然悪びれたところがない。ちょっと悪いことをしたかな、でもグレーゾーンだよね、みたいな感覚だということだ。
リジーさんは、私がガラスの器を渡したことで少し警戒している感じ。
悪いことをした、というよりも高価なものをホイホイ与えることができるくらいのつながりは権力者とまだあるのかも……と思ったんだと思う。
権力者と繋がっている人間の機嫌は取っておいたほうがいい、という判断だね。
アナスタシアと繋がってるから考えようによっては究極の権力者と繋がってるんだよ!
見てればわかるけどメンストンさんの家は子沢山だし、雇い人も季節によってはいるし、なんか色々としっかりしてないと回らないんだろうなと言う感じ。
燈心草を持ってきてくれたってことはロウソクはよほどのことがないと使ってないってことだ。暖炉で料理するたびに落ちてくる獣脂を集めて燈心草を浸してロウソクがわりにするんだよね。
臭いし薄暗い。
この世界の庶民の暮らしは大変だよ。
私はアナスタシアに守られてるんだな、と、なんか唐突に思った。多分この世界の庶民のうちでは良心的な方だよね、メンストンさんたち。
そう思ったので、とりあえず即席神棚に「ありがとう」って言っておく。ミントティーもお供えした。あの幼女アナスタシアを思い出したら、喜びそうだなって思って。
ただ、ワンカップ大関の空容器に対する反応が激しすぎたのでちょっとアドバイスしてくれてもいいんじゃないの、と文句を言っておいた。
面倒見がいい執事とかさ、つけてくれてもいいじゃない。
セバスチャンがほしいよ!
それにしても、これだけ色々なものがあると突然この小屋の「家っぽさ」が上がった気がする。
今まではなんかキャンプっぽかった。パジャマがなくてチュニックで寝てたりしたし。
チャーリーが、たくさん薪を割ってくれたから精神的に落ち着いてるんだっていうのも気づいた。今日の夜は塩豚のスープカレーだしね。
うん。ごはんは大切。
薪は今後もたくさん確保したい。
あと、さすがに警戒をすることを覚えたので、午後にアリスちゃんとするつもりの手芸の材料はできるだけくたびれた薄い色の古びたタオルを選んで別に裂いておいた。
最初は色を選ばせてあげようかと思ってたんだけどね。ちょっとマズそうな気がするよ。
もっと時間があったら草木染とかして、きれいなパステルカラーにしておいてあげられたんだけど。
……なんて思った私が甘かったですよ。
まずタオル地の布がこの世界ではめちゃくちゃ希少な可能性をすっかり失念してた。
希少でしたよ。
存在はしてるけど、本当に珍しい加工でこんな田舎の農家にあるようなもんじゃなかった。
日本だったら雑巾にしそうな古タオルのはぎれを手にしたアリスちゃんが、「キャー」と目を輝かせ、ものすごい集中力で円形の座布団を作り上げ、ルンルンと家に帰り、一時間後真っ青になったリジーさんが「こんな高いもの……!」(以下略)……。
あー。どうしようかな。
古タオルでなにか作ってホワイトさんに市場に持って行ってもらおうと思ってたんだけど……。
もしかしたら、今まで手を付けていなかった他の布物を洗って加工するべきなのかもしれない。幸いこの三つ編みラグはどんな生地でもできるから、平織りの綿のものを使おう。できるだけ淡い色のもので、ものによっては草木染めで色をつけて……。
大量にあるタオルは我が家とご近所さん少しで使うようかな……。
なんか、色々考えるべきことはあったんだけれど、薄焼きのクレープみたいなものと、スープカレーと食後のチーズを終えた頃には「まあ、なんとかなるよ、きっと」みたいな気分になっていた。
カレーって偉大だ!
明日の分もあるよ!
お腹がいっぱいになった後は、小さな火が燃えている暖炉の脇でコーヒーを飲みながらバスタオルの布を使ってパジャマを作った。
北国なんだよね。夏なのに冬は時々肌寒い。
今縫っているパジャマは冬のもの。型紙があるわけじゃないので、手持ちの服を乗せてザクザクっと裁断してチクチク縫う。
本当に身体にピッタリした服は型紙があったほうがいいのかもしれないけど、ゆったりとした服や民族衣装系は大体型紙なしでなんとかなるよね。
和服とかもそうだけど。
ズボンを縫って紐をとおして、上はかぶるだけの長袖のTシャツみたいな物を縫い始めたところで眠くなっちゃった。
でも、これが終わったら同じ生地でガウンも作ろうと決心した。
……モコモコしすぎるかな……。
でも、日本の夏と比べたらこちらの夏は日本の4月から5月って感じなんだよ。
過ごしやすいことこの上ないんだけど、冬が怖くなるのは当然だと想うんだよね……。しかも、見た感じマージョはあんまり防寒着らしきものも持ってないし。
フリースの部屋着もダウンジャケットも、日本から持ってこれなかったしね……。
冬支度は過剰なくらいしておきたいです。
災害大国出身なんでイザという時のために食品とか備蓄しておきたいんだよ!
食べ物と燃料と、布ものと、あとなんだろうなー。
色々と考えていたら眠くなったのでベッドにもぐりこむ。
だんだんこの世界に慣れてきた気はするけれど、まだまだ先は長そうです。かみさま。
応援ありがとうございます!
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