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陛下付き文官長と元王太子(現王付き第三文官)
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陛下付きの文官は通常二名。人数的には必ずしも多くない。
というのも名目的には他の部署の文官たちも全員陛下の部下だからで、陛下付きの文官の仕事は基本的には各部署と陛下との間のつなぎ、である。
大概、複数部署を経験したことのある人間がこの部署に来る。
レジナルドが王太子だった頃は、基本的には父王の補佐としてここに詰めていた。だからある意味、古巣と言えないこともない。
「はじめまして~! レジナルド・ウェイトローズです。今日付けで第三文官として配属されました! よろしくお願いします~!」
文官室に入っていくと第一文官のエドワード・スミスが露骨に嫌そうな顔で出迎えた。
「なんの冗談ですか、レジナルドでん……様」
王立学院を卒業してから、レジナルドはずっと彼のもとで仕事をしてきたのだ。
殿下、と呼ぶのがすっかり習い性になっている。
「うーん、冗談じゃないんだな!」
「確か、侯爵家の跡取りになられたはずでは……?」
「あ、あれね、マシューに譲った」
「譲った……?」
「それで、家を出て貴族籍を抜けて文官に応募したら、陛下が男爵位と新しい家名をくれた!」
「……情報量……!」
「まあ、そういうわけで、スミスさんの部下であることには変わりないので、今後もバシバシ使って下さい」
「……やりづらい……」
「いやいや、そんなそんな。昔からバシバシしごいてくださってたじゃないですか!」
「敬語がなんか嫌……!」
「あ、あと俺のことは呼び捨てにして下さい。部下ですし」
「……もうなんと言えば良いのか。しかし、おかえりなさい、レジナルド」
かつての師であり実は鬼上司でもあったエドワード・スミスは大袈裟にため息をついてレジナルドを迎え入れた。
「確かに、あなた向けの仕事は山のようにあります」
「だと思った」
二人の視線は交差した。
マリラは王国初の女王である。その上女性の登用を推し進めている。
しかし、本人は帝王学を学んだわけではないし、一般的な貴族令嬢の教育に毛が生えたような王子妃教育をうけたくらいである。
「腹芸の得意な方じゃないのでね」
スミスが言うとレジナルドは頷いた。
抵抗もあるだろうということが伺えた。
「とりあえずここの3人は神木龍様フィルター通過済みですね」
「神木龍様フィルターって……」
「やーでも他に言いようがないでしょ」
厨房の人間や、侍女、そして直接マリラに関わる人間は神木龍が選んだ。だから、王宮の人事もそれなりに様変わりしている。
「レジナルドでんか……レジナルドも、通過したんですね」
「いや、そりゃあするでしょ」
「王太子の座を追われることになったきっかけを作った方ですよ?」
恨みはないのか、と言外に問われた。
「うーん。王太子ってのは自分で選んだ仕事じゃなかったからね」
「まあ、それはそうですね」
「俺、文官の仕事楽しかったんですよね。で、せっかく自分のやりたいことを自分で選べるんだったら文官やりたいな~って思ってさ。スミスさんもラフィもいるし」
一言も口を開けずに部屋の隅で仕事をしていたラフィ第二文官がびっくりしたように顔を上げた。
「ということで、よろしくお願いします。で、仕事は?」
元王太子はやる気マンマンだった。そして実際それから定時までの数時間で驚異的な量の書類を処理し、「ホント、この人仕事できるんだよ……」と、エドワード・スミスに舌をまかせたのであった。
というのも名目的には他の部署の文官たちも全員陛下の部下だからで、陛下付きの文官の仕事は基本的には各部署と陛下との間のつなぎ、である。
大概、複数部署を経験したことのある人間がこの部署に来る。
レジナルドが王太子だった頃は、基本的には父王の補佐としてここに詰めていた。だからある意味、古巣と言えないこともない。
「はじめまして~! レジナルド・ウェイトローズです。今日付けで第三文官として配属されました! よろしくお願いします~!」
文官室に入っていくと第一文官のエドワード・スミスが露骨に嫌そうな顔で出迎えた。
「なんの冗談ですか、レジナルドでん……様」
王立学院を卒業してから、レジナルドはずっと彼のもとで仕事をしてきたのだ。
殿下、と呼ぶのがすっかり習い性になっている。
「うーん、冗談じゃないんだな!」
「確か、侯爵家の跡取りになられたはずでは……?」
「あ、あれね、マシューに譲った」
「譲った……?」
「それで、家を出て貴族籍を抜けて文官に応募したら、陛下が男爵位と新しい家名をくれた!」
「……情報量……!」
「まあ、そういうわけで、スミスさんの部下であることには変わりないので、今後もバシバシ使って下さい」
「……やりづらい……」
「いやいや、そんなそんな。昔からバシバシしごいてくださってたじゃないですか!」
「敬語がなんか嫌……!」
「あ、あと俺のことは呼び捨てにして下さい。部下ですし」
「……もうなんと言えば良いのか。しかし、おかえりなさい、レジナルド」
かつての師であり実は鬼上司でもあったエドワード・スミスは大袈裟にため息をついてレジナルドを迎え入れた。
「確かに、あなた向けの仕事は山のようにあります」
「だと思った」
二人の視線は交差した。
マリラは王国初の女王である。その上女性の登用を推し進めている。
しかし、本人は帝王学を学んだわけではないし、一般的な貴族令嬢の教育に毛が生えたような王子妃教育をうけたくらいである。
「腹芸の得意な方じゃないのでね」
スミスが言うとレジナルドは頷いた。
抵抗もあるだろうということが伺えた。
「とりあえずここの3人は神木龍様フィルター通過済みですね」
「神木龍様フィルターって……」
「やーでも他に言いようがないでしょ」
厨房の人間や、侍女、そして直接マリラに関わる人間は神木龍が選んだ。だから、王宮の人事もそれなりに様変わりしている。
「レジナルドでんか……レジナルドも、通過したんですね」
「いや、そりゃあするでしょ」
「王太子の座を追われることになったきっかけを作った方ですよ?」
恨みはないのか、と言外に問われた。
「うーん。王太子ってのは自分で選んだ仕事じゃなかったからね」
「まあ、それはそうですね」
「俺、文官の仕事楽しかったんですよね。で、せっかく自分のやりたいことを自分で選べるんだったら文官やりたいな~って思ってさ。スミスさんもラフィもいるし」
一言も口を開けずに部屋の隅で仕事をしていたラフィ第二文官がびっくりしたように顔を上げた。
「ということで、よろしくお願いします。で、仕事は?」
元王太子はやる気マンマンだった。そして実際それから定時までの数時間で驚異的な量の書類を処理し、「ホント、この人仕事できるんだよ……」と、エドワード・スミスに舌をまかせたのであった。
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