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王宮司書長と元王太子(現雑魚キャラ)
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レジナルドが次に足を向けたのは王宮図書室だった。
王宮図書室は王国内でも随一の蔵書数を誇る機関だが、その割には地味な部署である。
地味な部署であるのにはそれなりに理由があって、そもそも利用者が少ない。
使い勝手があまり良くない……というか、書籍数に整理とカタログが追いついていないのが大きな原因である。
新しく出版された書籍は全て王立学院の図書館と王宮図書室に二冊ずつ寄贈することが法律で定められている。
しかし、学生アルバイトを安くふんだんに使える王立学院とは違い、王宮図書室で働く人間は厳しい身元チェックを受けることもあり、どうしても賃金が高くなる。
急ぐ文官の中には借りた本を適当な棚に放り込む人間もいて、書籍の整理には司書たちも頭を悩ませていた。
レジナルドが話しかけたのはそこの司書長だ。
ガリガリに痩せた禿頭の男で、極度の人見知りだが、これが、書籍に関してのみは驚異的な記憶力を発揮した。
吃音もあり、軽く見られることも多い奇人だが、レジナルドは彼を評価していた。
「司書長、ちょっとご相談があるのですが……」
レジナルドが声を掛けると、司書長の顔はぱっと明るくなり、それから同じくらいのスピードで暗くなった。
王太子時代にはよく、珍しい本の話を一緒にしたものだから、きっとそれを思い出し、それから、レジナルドが失脚したことを思い出したのだろう、と、レジナルドはニコニコした。
このくらいわかりやすい人間はかえって信用できる。
「ななななんでしょうか、レレレレジナルドでででで……さささん?」
「実は折りいってお願いがあるのです。歴史典礼部のことなのですが……」
「れれれ歴史てててて典礼部?」
歴史典礼部は図書室を最も良く使っている部署である。
さらに言えば、図書室の面々と知り合いであることを良いことに、カタログで本の場所を調べずに司書に取って越させたり、借りた本を違う棚に無造作に返却したりする人間が多いこともレジナルドは知っていた。
「図書館規則を歴史典礼部にきちんと適用してもらうことはできませんかね?」
「カカカタログで調べずにししし司書に話しかかかけてはいけないとか」
「はい。あと、本を違う棚に戻したものは3週間の貸し出し禁止であるとか、ですね」
現状、歴史典礼部は特別扱いでフリーパスだ。良く来るから気安いとかそういう理由もあるが、歴史典礼部長と司書長の力関係もある。
今の部長になる前はここまで規則を無視することはなかったはずだ。
歴史典礼部を特別扱いしているのが少しだけ後ろめたかったのか、司書長は慌てたような声を出した。
「そそそれは、なんでででですか」
「ん~」
レジナルドはちょっと説明に詰まった。
「歴史典礼部にお願いしたいことがあるんですけどね。どうもうまく話が通らなくて」
「そそそれはじょ女性文官のはな、話ですか」
「そうなんですよね」
司書長は女性文官に反対してるわけじゃないですよね、と水を向けると、反対も何も、そもそも女性が図書室の勤務を希望するわけがない、という返事が帰ってきた。
それはどうかな~、と思いながらもレジナルドは「で、お願いできますかね?」と畳みかけた。
「意地悪するわけじゃないんです。歴史典礼部にも図書館の規則を守ってもらうだけですよ」
そして、なにか言われたら「そういえばレジナルドさんと何かあったんですか」って言っていただけると良いなあ……と言うと司書長は突然ガバッと顔を上げた。
「ムムムムリです!」
「あ、無理ですか?」
「レレレジナルドさんは、ざざ雑魚キャラですから!」
………
「あっ……!」
ふーむ。色々な言われ方をされるもんだな、と、レジナルドは感心した。
「ま、そりゃそうですね」
レジナルドはニコニコ頷いた。
「でも、どっちにしても規則は少し厳しくしといたほうが良いと思いますよ。さっきだって『王国の冷害史』が文学のE棚に入ってましたし」
「ななななんだって!」
司書長は大声で叫んだ。
「今はムリだと思われても大丈夫ですから、後で気が変わったら、ちょっと考えてくださいね~」
ひらひらと指を動かして、レジナルドは図書室を出た。
王宮図書室は王国内でも随一の蔵書数を誇る機関だが、その割には地味な部署である。
地味な部署であるのにはそれなりに理由があって、そもそも利用者が少ない。
使い勝手があまり良くない……というか、書籍数に整理とカタログが追いついていないのが大きな原因である。
新しく出版された書籍は全て王立学院の図書館と王宮図書室に二冊ずつ寄贈することが法律で定められている。
しかし、学生アルバイトを安くふんだんに使える王立学院とは違い、王宮図書室で働く人間は厳しい身元チェックを受けることもあり、どうしても賃金が高くなる。
急ぐ文官の中には借りた本を適当な棚に放り込む人間もいて、書籍の整理には司書たちも頭を悩ませていた。
レジナルドが話しかけたのはそこの司書長だ。
ガリガリに痩せた禿頭の男で、極度の人見知りだが、これが、書籍に関してのみは驚異的な記憶力を発揮した。
吃音もあり、軽く見られることも多い奇人だが、レジナルドは彼を評価していた。
「司書長、ちょっとご相談があるのですが……」
レジナルドが声を掛けると、司書長の顔はぱっと明るくなり、それから同じくらいのスピードで暗くなった。
王太子時代にはよく、珍しい本の話を一緒にしたものだから、きっとそれを思い出し、それから、レジナルドが失脚したことを思い出したのだろう、と、レジナルドはニコニコした。
このくらいわかりやすい人間はかえって信用できる。
「ななななんでしょうか、レレレレジナルドでででで……さささん?」
「実は折りいってお願いがあるのです。歴史典礼部のことなのですが……」
「れれれ歴史てててて典礼部?」
歴史典礼部は図書室を最も良く使っている部署である。
さらに言えば、図書室の面々と知り合いであることを良いことに、カタログで本の場所を調べずに司書に取って越させたり、借りた本を違う棚に無造作に返却したりする人間が多いこともレジナルドは知っていた。
「図書館規則を歴史典礼部にきちんと適用してもらうことはできませんかね?」
「カカカタログで調べずにししし司書に話しかかかけてはいけないとか」
「はい。あと、本を違う棚に戻したものは3週間の貸し出し禁止であるとか、ですね」
現状、歴史典礼部は特別扱いでフリーパスだ。良く来るから気安いとかそういう理由もあるが、歴史典礼部長と司書長の力関係もある。
今の部長になる前はここまで規則を無視することはなかったはずだ。
歴史典礼部を特別扱いしているのが少しだけ後ろめたかったのか、司書長は慌てたような声を出した。
「そそそれは、なんでででですか」
「ん~」
レジナルドはちょっと説明に詰まった。
「歴史典礼部にお願いしたいことがあるんですけどね。どうもうまく話が通らなくて」
「そそそれはじょ女性文官のはな、話ですか」
「そうなんですよね」
司書長は女性文官に反対してるわけじゃないですよね、と水を向けると、反対も何も、そもそも女性が図書室の勤務を希望するわけがない、という返事が帰ってきた。
それはどうかな~、と思いながらもレジナルドは「で、お願いできますかね?」と畳みかけた。
「意地悪するわけじゃないんです。歴史典礼部にも図書館の規則を守ってもらうだけですよ」
そして、なにか言われたら「そういえばレジナルドさんと何かあったんですか」って言っていただけると良いなあ……と言うと司書長は突然ガバッと顔を上げた。
「ムムムムリです!」
「あ、無理ですか?」
「レレレジナルドさんは、ざざ雑魚キャラですから!」
………
「あっ……!」
ふーむ。色々な言われ方をされるもんだな、と、レジナルドは感心した。
「ま、そりゃそうですね」
レジナルドはニコニコ頷いた。
「でも、どっちにしても規則は少し厳しくしといたほうが良いと思いますよ。さっきだって『王国の冷害史』が文学のE棚に入ってましたし」
「ななななんだって!」
司書長は大声で叫んだ。
「今はムリだと思われても大丈夫ですから、後で気が変わったら、ちょっと考えてくださいね~」
ひらひらと指を動かして、レジナルドは図書室を出た。
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