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食堂のおばちゃんと魔道具課長
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異変は午後8時に起きた。食堂へ行った魔道具課の者が門前払いを食らったのだ。
「夕食の時間は午後5時半から7時半まで。食堂はもう閉まっていますよ」
魔道具課に激震が走った。
「そ……そりゃあ、確かに規則は規則だけど……」
食堂のおばちゃん達は優しい。多少時間外でもコソコソっと食べ物をくれたり、何かと世話を焼いてくれたりしていたのだ。
「しかも今日のデザートはレモンタルトだった……」
「なんと……!」
「賄いでみんな食べてたのに分けてくれなかった……」
「ええっ……!」
「み……見捨てられたのかな、俺達……」
「レモンタルトが……レモンタルトが……!!」
「落ち着け……落ち着くんだっ……!」
中には涙をこぼす若手も見られた。激務が続く魔道具課での唯一の心のオアシスが食堂であり、食堂の絶品デザートなのである。
「他に何か言っていなかったか?」
魔道具課長は食堂から帰ってきた職員に必死に尋ねた。
「『みなさんの健康を考えて献立を作っているのに休みも取らない魔道具課に時間外の食事を提供することは、時間外労働を助長するだけでなんの助けにもなっていないという結論に達しました。レジナルド文官に言われた事をきちんと考えると約束するのであれば今日だけはスープとサラダとデザートを提供します』だそうです……」
「レジナルド文官……そうか……」
魔道具課長はしばらく考えると「ウヒョヒョ~」とけったいな笑い声をあげた。
「宣言する~! これから~あ、魔道具課は一週間の一斉休暇に入る~! その間の仕事は一切禁じる~!」
「休み……?」
「一斉休暇……?!」
聞いたこともなかった単語に職員たちは色めき立った。
「ということで、みんなで食堂に行こ~! 誰か、食堂に先触れを出してくれる~?」
三十分で今やっている仕事に一段落つけろ、と言われ、職員たちは別の意味で真っ青になったが、やればできるもので、一時間経たずに魔道具課はきれいに片づき、灯りも消えた。
「やればできるじゃない?」
食堂では予定外、時間外の食事会が開かれることになり、数日自宅に帰ることができずにいた職員たちが、温かい食事にむせび泣いた。
「サラダって……美味しかったんだね……」
「レタスが甘いよ……」
「スープが、しみる……しみるよ……」
「まあ、確かに元王太子の言うことにも一理あるんだよね~え」
魔道具課長はレモンタルトを口に運びながら頷いた。
「そりゃそうですよ。こんなに疲れてていい仕事ができるわけがないでしょう」
食堂のおばちゃんたちはあきれたように笑った。魔道具課長は頷いた。
「まあ、一週間くらい部屋を閉めたら、駆け込みで魔力注入の依頼をしてくるようなことも減るよね」
でも、部屋ごと休みにしてないとなんにも考えずに仕事しちゃうからな~。
「仕事のことは考えずに旅行にでも行くといいんですよ」
食堂のおばちゃんはお茶のおかわりを注ぎながら、アドバイスした。
「夕食の時間は午後5時半から7時半まで。食堂はもう閉まっていますよ」
魔道具課に激震が走った。
「そ……そりゃあ、確かに規則は規則だけど……」
食堂のおばちゃん達は優しい。多少時間外でもコソコソっと食べ物をくれたり、何かと世話を焼いてくれたりしていたのだ。
「しかも今日のデザートはレモンタルトだった……」
「なんと……!」
「賄いでみんな食べてたのに分けてくれなかった……」
「ええっ……!」
「み……見捨てられたのかな、俺達……」
「レモンタルトが……レモンタルトが……!!」
「落ち着け……落ち着くんだっ……!」
中には涙をこぼす若手も見られた。激務が続く魔道具課での唯一の心のオアシスが食堂であり、食堂の絶品デザートなのである。
「他に何か言っていなかったか?」
魔道具課長は食堂から帰ってきた職員に必死に尋ねた。
「『みなさんの健康を考えて献立を作っているのに休みも取らない魔道具課に時間外の食事を提供することは、時間外労働を助長するだけでなんの助けにもなっていないという結論に達しました。レジナルド文官に言われた事をきちんと考えると約束するのであれば今日だけはスープとサラダとデザートを提供します』だそうです……」
「レジナルド文官……そうか……」
魔道具課長はしばらく考えると「ウヒョヒョ~」とけったいな笑い声をあげた。
「宣言する~! これから~あ、魔道具課は一週間の一斉休暇に入る~! その間の仕事は一切禁じる~!」
「休み……?」
「一斉休暇……?!」
聞いたこともなかった単語に職員たちは色めき立った。
「ということで、みんなで食堂に行こ~! 誰か、食堂に先触れを出してくれる~?」
三十分で今やっている仕事に一段落つけろ、と言われ、職員たちは別の意味で真っ青になったが、やればできるもので、一時間経たずに魔道具課はきれいに片づき、灯りも消えた。
「やればできるじゃない?」
食堂では予定外、時間外の食事会が開かれることになり、数日自宅に帰ることができずにいた職員たちが、温かい食事にむせび泣いた。
「サラダって……美味しかったんだね……」
「レタスが甘いよ……」
「スープが、しみる……しみるよ……」
「まあ、確かに元王太子の言うことにも一理あるんだよね~え」
魔道具課長はレモンタルトを口に運びながら頷いた。
「そりゃそうですよ。こんなに疲れてていい仕事ができるわけがないでしょう」
食堂のおばちゃんたちはあきれたように笑った。魔道具課長は頷いた。
「まあ、一週間くらい部屋を閉めたら、駆け込みで魔力注入の依頼をしてくるようなことも減るよね」
でも、部屋ごと休みにしてないとなんにも考えずに仕事しちゃうからな~。
「仕事のことは考えずに旅行にでも行くといいんですよ」
食堂のおばちゃんはお茶のおかわりを注ぎながら、アドバイスした。
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