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第二文官と元王太子(現・頼りになる後輩)
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ラフィ第二文官が午後の仕事をしているとレジナルド第三文官が文官室に入ってきた。
「申し訳ありません。遅れました」
確かに珍しく昼食後文官室に戻って来ないなと思っていたのだ。
「いや、でもでん……レジナルドは午前の仕事は終わってたから……」
ボソッと言うといやいや、と恐縮するようにレジナルドは頭をかいた。その様子が少しだけ普段と違った。
「あれ……殿下、ちょっと疲れてます?」
「あ……ちょっと色々あって資材部の魔道具に魔力注入してきました……久しぶりだったから疲れちゃって。それから『殿下』はやめてくださいラフィさん」
「資材部に?」
「はい。魔道具課が一週間休みを取ることにしたんですよ」
「えっ?本当ですか?!」
魔道具課のワークライフバランスは新陛下の懸案事項だった。
実を言えば王太子時代のレジナルドも相当気にしていた。
「とうとうやりましたか。しかも一斉に1週間休みをとるとか、思い切りましたね」
「はい。前に全ての魔道具の魔力注入は、3割を切る前に行うことと通達しておいて良かったです」
「あー、ほとんどの部署が問題なかったわけですね」
「ええ。故障だとか、大きな問題の時はさすがに他の課を一時的に頼っても大丈夫でしょうし」
「あれ?それじゃあ、どうして資材部に……?」
「まあ~そうですねえ~。そこは、ちょっと色々と」
元王太子後輩は口を濁し、露骨に話題を変えた。
「あ、そういえば、食堂のおばちゃんたちにミニ・ドーナツもらったんですよー。ラフィさんも食べませんか」
「おお?!」
「そうだ、少し陛下にも持って行ってあげよう」
元々が王太子だっただけあって、レジナルド第三文官はちょっとだけ陛下との距離感が近すぎるのではないか、とラフィは思う。
「最近陛下にオヤツ係に任命されたんですよー」
「オヤツ係?そんな役職ありましたか?」
「ぷっ……ないない、ないですって」
笑いながらレジナルドはさり気なく書類受けの書類に、目を向けた。
「あ、これ、俺が下書きして良いですか」
ラフィが後回しにしていた書類だった。古代語がかなり入っていて複雑だから時間がかかるだろうと思っていたのだ。
「最終的にはラフィさんに確認してもらわなきゃですけど、古代語の下訳ぐらいだったら苦にならないですから」
「そ、それじゃあお願いして良いかな?」
ラフィは、おずおずレジナルドに頭を下げた。
「もちろんです」
にっこり仕事を受け取るレジナルドは、頼りになる後輩なのであった。
「申し訳ありません。遅れました」
確かに珍しく昼食後文官室に戻って来ないなと思っていたのだ。
「いや、でもでん……レジナルドは午前の仕事は終わってたから……」
ボソッと言うといやいや、と恐縮するようにレジナルドは頭をかいた。その様子が少しだけ普段と違った。
「あれ……殿下、ちょっと疲れてます?」
「あ……ちょっと色々あって資材部の魔道具に魔力注入してきました……久しぶりだったから疲れちゃって。それから『殿下』はやめてくださいラフィさん」
「資材部に?」
「はい。魔道具課が一週間休みを取ることにしたんですよ」
「えっ?本当ですか?!」
魔道具課のワークライフバランスは新陛下の懸案事項だった。
実を言えば王太子時代のレジナルドも相当気にしていた。
「とうとうやりましたか。しかも一斉に1週間休みをとるとか、思い切りましたね」
「はい。前に全ての魔道具の魔力注入は、3割を切る前に行うことと通達しておいて良かったです」
「あー、ほとんどの部署が問題なかったわけですね」
「ええ。故障だとか、大きな問題の時はさすがに他の課を一時的に頼っても大丈夫でしょうし」
「あれ?それじゃあ、どうして資材部に……?」
「まあ~そうですねえ~。そこは、ちょっと色々と」
元王太子後輩は口を濁し、露骨に話題を変えた。
「あ、そういえば、食堂のおばちゃんたちにミニ・ドーナツもらったんですよー。ラフィさんも食べませんか」
「おお?!」
「そうだ、少し陛下にも持って行ってあげよう」
元々が王太子だっただけあって、レジナルド第三文官はちょっとだけ陛下との距離感が近すぎるのではないか、とラフィは思う。
「最近陛下にオヤツ係に任命されたんですよー」
「オヤツ係?そんな役職ありましたか?」
「ぷっ……ないない、ないですって」
笑いながらレジナルドはさり気なく書類受けの書類に、目を向けた。
「あ、これ、俺が下書きして良いですか」
ラフィが後回しにしていた書類だった。古代語がかなり入っていて複雑だから時間がかかるだろうと思っていたのだ。
「最終的にはラフィさんに確認してもらわなきゃですけど、古代語の下訳ぐらいだったら苦にならないですから」
「そ、それじゃあお願いして良いかな?」
ラフィは、おずおずレジナルドに頭を下げた。
「もちろんです」
にっこり仕事を受け取るレジナルドは、頼りになる後輩なのであった。
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