恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文

高見 梁川

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同窓会大量殺人未遂事件

 1991年1月2日午後5時、佐賀県佐賀市の旅館で同窓会が開かれた。同窓生40数人、恩師5人が参加して地元中学の卒業生が12年ぶりに再会した。
 同窓生は昔話に花を咲かせ、酒も進み、盛り上がったという。
 だが不思議なことに、この同窓会を企画した幹事はその場にはいなかった。
 せっかく手間をかけて企画してくれたのに残念なことだ、と参加者は口々にそういった。
 ところが翌3日、同窓会の出席者は新聞の社会面を大きく飾った見出しを見て愕然とする。

 同窓会大量殺人未遂事件発覚!

 そう、彼らは幹事であった同級生によって殺されるところであったのである。

 事件が発覚したのは幹事の母親からの通報だった。
 同窓会が開かれる2日前の12月31日、帰郷した息子の言動に不審なものを感じた母親(当時53歳)が赤沢のバッグを調べて「決行の時が来た」と題する『殺人計画書』を発見し、1月1日午前1時、警察に届け出たのだった。
 通報を受けた警察は同窓会の会場となる旅館を捜索、そこで赤沢が持ち込んだヒ素入りビールを押収した。

 2日の朝から赤沢本人の身柄を拘束し、取り調べを行ったが、その結果、自宅のワゴン車にある木箱に時限爆弾があることが判明し、捜査員が押収に向かったところ、木箱が大音響とともに爆発。捜査員3人が重軽傷を負った。

 爆発があった時刻はちょうど同窓会が盛り上がっている時で、もし現場会場に爆弾が運び込まれていれば大惨事と化していたであろう。

 その後、赤沢は一時精神障害の疑いがあるとみて措置入院させられるが、責任能力ありと判断されて、1月22日、殺人予備罪・爆発物取締罰則違反の容疑で逮捕された。





 犯行の動機は中学生時代のいじめに対する復讐であった。
 高校、そして大学、成人となるまで終始一貫して彼の恨みは晴れることはなかった。
 その生々しい記述をご覧いただこう。

 「私は私に屈辱を強い、私を虐待し、虫けらのように扱った愚者どもが許せないのだ。私は奴らをこの世から消滅させ、私自身も消滅する。決行の時は来た」
 「生きることはあまりに苦しすぎた。あまりにつらく、そして空しかった。それももうじき終わる。私を虫けらのように扱った奴らの人生を道連れにして」

 
 彼の執念の恐るべきところは、復讐するために大学就職の進路を選んでいるところである。

 「18歳のころから私は人を死に至らしめる方法を様々考えてきたが、結局化学毒素を用いることが私の興味をもっとも奮い立たせてきた。私は熊本工業大学応用微生物工学科に入学し、卒業後福岡の大精食品に就職し、退職後は埼玉の会社に転職した。全て化学試薬を扱っているところだ。そう、私は人生の目的のために大学を選び就職を選んだ。全ては化学試薬を大量に手に入れると言う目的のために」


 彼は20歳の時、B型肝炎に感染していることが判明する。
 そして23歳の時には父がB型肝炎の悪化で亡くなった。
 死を間近に感じた彼は、早急に復讐を成就させるべく動き出したのである。

 同窓会を企画し、日程を調整し、返事のない同級生に連絡し、電話をかけ参加を呼び掛けるなど精力的に行動する彼を同級生は微塵も疑わなかった。
 同級生の間ですでに中学時代は懐かしい思い出に変わっていて、まさかこのときまで怨念を抱き続けているとは夢にも思わなかったのである。


 佐賀地裁は1992年1月23日、懲役6年の実刑判決を下した。男性側は控訴したが、福岡高裁は1992年7月14日に控訴棄却。
 すでに被告は出所している。

 ヒ素入りビール、手製の時限爆弾、そして改造拳銃まで用意するほどの怨念を、人は中学時代から継続して持ち続けられるのだろうか。
 かつていじめていたことをいじめっ子は覚えていないというが、意外な人物から同窓会のお知らせが届いたときには、注意が必要かもしれない。
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