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ジョンベネ暴行殺人事件
しおりを挟む 現在30代以上であれば一度は聞いたことがあるだろう。
管理人は当時大学生であったが、ワイドショーなどでたびたび取り上げられたこの事件の印象は非常に大きかったものだ。
殺されたのが美少女コンテストの常連であるという一種背徳的な響きが事件を有名なものにしたのかもしれない。
1996年2月25日、おりしもクリスマスの夜ジョンベネ嬢は両親や友人たちとともにクリスマスパーティーを楽しみ自宅に戻る途中、車内で寝てしまったため家に着くと父が彼女を抱き抱えてベッドまで
連れていったという。残念ながらそれが生きているジョンベネ嬢を見た最後の姿となった。
翌朝、娘がベッドにいないことに気づいた両親は屋内の階段で手紙が置かれているのを発見する。
「午前8時から10時までに連絡する。警察に連絡したらおしまいだ。身代金11万8000ドルを用意しろ」というメモはラムジー家にたまたま置いてあったメモに3枚にわたって書きつづられていた。
母親はただちに警察に連絡し、少女誘拐事件として捜査本部が設置される。
その後家族や捜査員、そして急を聞いてかけつけた友人たちが屋内を捜索したのだが、このとき家族と友人たちの介入を見過ごして現場保存を怠ったことが捜査本部のミスとして重くのしかかってくることとなる。
犯人のものと思われるメモの予告時間を過ぎた午前10時になっても連絡はなかった。
そして念のためもう一度屋内を捜索したところ、前回の捜索で唯一見忘れていた地下室で変わり果てたジョンベネ嬢の遺体が発見されたのである。
彼女は6歳という未熟な幼女でありながら性的に暴行されており、口はガムテープで塞がれ頭を鈍器のようなもので殴られた後があった。首には絞殺の紐痕があって彼女の死因は絞殺による窒息死であると鑑定された。
ラムジー家は地元の名士で父ジョンは会社を経営しており自宅は部屋数が15もある豪邸だった。
しかし逆にいえばたかだか15部屋しかない個人宅である。それを警察・友人含め十数人で捜索し、見忘れた部屋があったことに当時違和感を覚えたものも多いだろう。
この後脅迫文が男が内容を言い女が書いたなどと鑑定され、また犯人の要求額が父親ジョンが受け取ったボーナスの額とほぼ同額であった(ラムゼー家の経済状況を考えれば要求額は低額すぎた)
ことから警察の容疑は次第に両親に向き始める。
警察に疑われていることに気づいたラムゼー家はその後弁護士を雇い捜査に協力しなくなった。
ジョンベネ嬢が発見された地下室の窓の外には鉄柵があり、そこに複数の人間を思わせる足跡が発見されるも父親犯行説に傾いていた捜査本部はそれを重視しようとはしなかった。
この事態に両親は記者会見で潔白と一刻も早い犯人逮捕を訴えるが、泣き叫ぶでもなくボンヤリした母パトリシアと終始うつむいたままの父ジョンの印象は最悪であり、ますます疑いを深めるという結果に終わった。
捜査本部は「証拠はそろっている。もうすぐ犯人を逮捕する」と強気な声明を発表したが現実は厳しかった。
何より初動捜査の現場保存のミスが響いており、特にジョンベネ嬢の遺体は啼いて取りすがった両親の涙で衣服からの付着物の採取が難しい状態にあったのである。
さらにジョンベネ嬢の殺害から数カ月後、ジョンベネとも面識のあるダンス教室の生徒が暴行され誘拐されかかるという事件が発生する。
暴行目的で身代金には全く触れない、また犯行後家の中に隠れ窃盗した形跡もないなど幼児性愛者の犯行であることが予想され、ジョンベネ殺害事件の犯人ではないかと憶測が流れる。
この日ラムゼー一家にはアリバイがあり、この事件後彼らに対する容疑は薄れたとも伝えられる。
当初内部犯行を予想していた捜査本部は一転外部犯を想定した捜査を開始したが時すでに遅かった。
証拠はあらかたが散逸しており目撃証言もなく、さらに心証を極限まで害していたラムゼー家が捜査に協力することもなかった。
その後も家族内犯行説は根強く捜査本部に残留していたが、DNA鑑定の結果はシロであり、捜査にあたっていたレーシー検事は「これまでラムゼー一家を疑いの目で見てきて申し訳なかった」と公式に謝罪している。
また2008年7月9日にも新たに精度の高いDNA検査が行われ、犯人の体液のDNAはラムゼー家の誰とも一致しないことが判明した。
当時捜査にあたっていた元捜査官の中には今なお内部の犯行であることを断言するものもいるが、科学捜査的にはもはやラムゼー家の無罪は動かない事実である。
近年、私がジョンベネを殺害した。
と自白するものがおり、真犯人現る!と報道が過熱したが結局DNAの鑑定の結果はシロ。
こうした重大犯罪では自らに箔をつけるために実は自分が真犯人だと名乗り出ることが多いがこれもそのたぐいなのだろう。
有名な切り裂きジャックなどは自分が切り裂きジャックだと名乗った犯罪者の数が有象無象を含めて百人を超えたという。
実の娘を幼くして失ったにもかかわらず犯人扱いされ、さらに父ジョン氏などはタブロイド誌に幼児虐待や幼児性愛者であるかのごとく報道されたこともありラムゼー家は住み慣れたボルドーからの引っ越しを余儀なくされた。
2006年6月には母パトリシアが卵巣癌を再発させ他界。もともと彼女は1993年にこの卵巣癌を患っており、ジョンベネ嬢が様々なコンテストに幼くして参加したのも彼女の身体が元気なうちにという事情もあったという。
すっかり年老いて白髪になった父ジョンはインタビューにこたえ「自殺することによってこの苦しみから逃げたかった」と語った。
真犯人が別にいるとすれば彼の苦しみがいかばかりであったか察するにあまりある。
この事件を見ると管理人は香川・坂出三人殺害事件を思い出す。
祖母の家に泊まりにいった孫二人と祖母が大叔父に惨殺された事件だが、事件当時は父親を疑う報道の偏向があまりにひどかった。
父親は彼を疑う発言を繰り返したみのもんたに「オレが殺したんか」と問いかけたがみのが番組内で謝罪することはその後一度としてなかった。
もっとも、真犯人が見つからない限り父親の容疑は永久に晴れることはないだろう。
だが今後真犯人が見つかる可能性は極めて低い。
特にこうした長期化する犯罪ではすでに犯人が死亡している可能性が高くなるからだ。
実際にグリコ・森永事件や三億円事件などのコールドケースでも被疑者が死亡してしまっているためにそれ以上捜査が進まないケースがあるという。
ジョンベネ事件で捜査本部が「もうすぐ犯人を逮捕する」と発表したその翌日、1人の男が自殺した。
26歳の犯罪歴のある男だった。
しかし自殺したというにはいささか不自然な姿勢で銃を撃っており、念のため体液を採取したがジョンベネ事件の犯人のDNAとは一致しなかった。
現在この男が犯人ではないにしろ事件に関するなんらかの情報を握っていたのではないか、と言われているが後の祭りである。
いったい誰がジョンベネ嬢を殺したのか。
犯人は単独なのか複数なのか。
犯人は幼児性愛者なのか、あるいはラムゼー家に対する怨恨なのか。
どんな犯人であるかという青写真すら捜査本部は現在もなお描くことが出来ずにいる。
管理人は当時大学生であったが、ワイドショーなどでたびたび取り上げられたこの事件の印象は非常に大きかったものだ。
殺されたのが美少女コンテストの常連であるという一種背徳的な響きが事件を有名なものにしたのかもしれない。
1996年2月25日、おりしもクリスマスの夜ジョンベネ嬢は両親や友人たちとともにクリスマスパーティーを楽しみ自宅に戻る途中、車内で寝てしまったため家に着くと父が彼女を抱き抱えてベッドまで
連れていったという。残念ながらそれが生きているジョンベネ嬢を見た最後の姿となった。
翌朝、娘がベッドにいないことに気づいた両親は屋内の階段で手紙が置かれているのを発見する。
「午前8時から10時までに連絡する。警察に連絡したらおしまいだ。身代金11万8000ドルを用意しろ」というメモはラムジー家にたまたま置いてあったメモに3枚にわたって書きつづられていた。
母親はただちに警察に連絡し、少女誘拐事件として捜査本部が設置される。
その後家族や捜査員、そして急を聞いてかけつけた友人たちが屋内を捜索したのだが、このとき家族と友人たちの介入を見過ごして現場保存を怠ったことが捜査本部のミスとして重くのしかかってくることとなる。
犯人のものと思われるメモの予告時間を過ぎた午前10時になっても連絡はなかった。
そして念のためもう一度屋内を捜索したところ、前回の捜索で唯一見忘れていた地下室で変わり果てたジョンベネ嬢の遺体が発見されたのである。
彼女は6歳という未熟な幼女でありながら性的に暴行されており、口はガムテープで塞がれ頭を鈍器のようなもので殴られた後があった。首には絞殺の紐痕があって彼女の死因は絞殺による窒息死であると鑑定された。
ラムジー家は地元の名士で父ジョンは会社を経営しており自宅は部屋数が15もある豪邸だった。
しかし逆にいえばたかだか15部屋しかない個人宅である。それを警察・友人含め十数人で捜索し、見忘れた部屋があったことに当時違和感を覚えたものも多いだろう。
この後脅迫文が男が内容を言い女が書いたなどと鑑定され、また犯人の要求額が父親ジョンが受け取ったボーナスの額とほぼ同額であった(ラムゼー家の経済状況を考えれば要求額は低額すぎた)
ことから警察の容疑は次第に両親に向き始める。
警察に疑われていることに気づいたラムゼー家はその後弁護士を雇い捜査に協力しなくなった。
ジョンベネ嬢が発見された地下室の窓の外には鉄柵があり、そこに複数の人間を思わせる足跡が発見されるも父親犯行説に傾いていた捜査本部はそれを重視しようとはしなかった。
この事態に両親は記者会見で潔白と一刻も早い犯人逮捕を訴えるが、泣き叫ぶでもなくボンヤリした母パトリシアと終始うつむいたままの父ジョンの印象は最悪であり、ますます疑いを深めるという結果に終わった。
捜査本部は「証拠はそろっている。もうすぐ犯人を逮捕する」と強気な声明を発表したが現実は厳しかった。
何より初動捜査の現場保存のミスが響いており、特にジョンベネ嬢の遺体は啼いて取りすがった両親の涙で衣服からの付着物の採取が難しい状態にあったのである。
さらにジョンベネ嬢の殺害から数カ月後、ジョンベネとも面識のあるダンス教室の生徒が暴行され誘拐されかかるという事件が発生する。
暴行目的で身代金には全く触れない、また犯行後家の中に隠れ窃盗した形跡もないなど幼児性愛者の犯行であることが予想され、ジョンベネ殺害事件の犯人ではないかと憶測が流れる。
この日ラムゼー一家にはアリバイがあり、この事件後彼らに対する容疑は薄れたとも伝えられる。
当初内部犯行を予想していた捜査本部は一転外部犯を想定した捜査を開始したが時すでに遅かった。
証拠はあらかたが散逸しており目撃証言もなく、さらに心証を極限まで害していたラムゼー家が捜査に協力することもなかった。
その後も家族内犯行説は根強く捜査本部に残留していたが、DNA鑑定の結果はシロであり、捜査にあたっていたレーシー検事は「これまでラムゼー一家を疑いの目で見てきて申し訳なかった」と公式に謝罪している。
また2008年7月9日にも新たに精度の高いDNA検査が行われ、犯人の体液のDNAはラムゼー家の誰とも一致しないことが判明した。
当時捜査にあたっていた元捜査官の中には今なお内部の犯行であることを断言するものもいるが、科学捜査的にはもはやラムゼー家の無罪は動かない事実である。
近年、私がジョンベネを殺害した。
と自白するものがおり、真犯人現る!と報道が過熱したが結局DNAの鑑定の結果はシロ。
こうした重大犯罪では自らに箔をつけるために実は自分が真犯人だと名乗り出ることが多いがこれもそのたぐいなのだろう。
有名な切り裂きジャックなどは自分が切り裂きジャックだと名乗った犯罪者の数が有象無象を含めて百人を超えたという。
実の娘を幼くして失ったにもかかわらず犯人扱いされ、さらに父ジョン氏などはタブロイド誌に幼児虐待や幼児性愛者であるかのごとく報道されたこともありラムゼー家は住み慣れたボルドーからの引っ越しを余儀なくされた。
2006年6月には母パトリシアが卵巣癌を再発させ他界。もともと彼女は1993年にこの卵巣癌を患っており、ジョンベネ嬢が様々なコンテストに幼くして参加したのも彼女の身体が元気なうちにという事情もあったという。
すっかり年老いて白髪になった父ジョンはインタビューにこたえ「自殺することによってこの苦しみから逃げたかった」と語った。
真犯人が別にいるとすれば彼の苦しみがいかばかりであったか察するにあまりある。
この事件を見ると管理人は香川・坂出三人殺害事件を思い出す。
祖母の家に泊まりにいった孫二人と祖母が大叔父に惨殺された事件だが、事件当時は父親を疑う報道の偏向があまりにひどかった。
父親は彼を疑う発言を繰り返したみのもんたに「オレが殺したんか」と問いかけたがみのが番組内で謝罪することはその後一度としてなかった。
もっとも、真犯人が見つからない限り父親の容疑は永久に晴れることはないだろう。
だが今後真犯人が見つかる可能性は極めて低い。
特にこうした長期化する犯罪ではすでに犯人が死亡している可能性が高くなるからだ。
実際にグリコ・森永事件や三億円事件などのコールドケースでも被疑者が死亡してしまっているためにそれ以上捜査が進まないケースがあるという。
ジョンベネ事件で捜査本部が「もうすぐ犯人を逮捕する」と発表したその翌日、1人の男が自殺した。
26歳の犯罪歴のある男だった。
しかし自殺したというにはいささか不自然な姿勢で銃を撃っており、念のため体液を採取したがジョンベネ事件の犯人のDNAとは一致しなかった。
現在この男が犯人ではないにしろ事件に関するなんらかの情報を握っていたのではないか、と言われているが後の祭りである。
いったい誰がジョンベネ嬢を殺したのか。
犯人は単独なのか複数なのか。
犯人は幼児性愛者なのか、あるいはラムゼー家に対する怨恨なのか。
どんな犯人であるかという青写真すら捜査本部は現在もなお描くことが出来ずにいる。
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