恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文

高見 梁川

文字の大きさ
54 / 258

人類史上もっとも多くの生命を飲み込んだ湖 バイカル湖

バイカル湖はロシアシベリアに位置する地球最大の湖であり、その広さは実に琵琶湖の四十六倍を誇る。
水深も1634mと世界の湖のなかでもっとも深く、世界でもっとも古い古代湖であるとも言われている。
非常に透明度の高い水質で、別名シベリアの真珠ともいわれるバイカル湖だが、その歴史は悲劇で彩られていた。

ロマノフ王朝がロシア革命によって滅ぼされ、ソビエト政府率いる赤軍と、旧帝政ロシア側の白軍はそれぞれ一歩も退かず泥沼の内戦を繰り広げていた。
しかし1919年11月、白軍の重要拠点であった東オムスクが陥落すると、白軍の劣勢は隠せぬものとなった。
彼らはソビエト政府の弾圧から逃れるように、さらに東へ、シベリアへの逃避行を開始する。

白軍兵士50万人、そして貴族や僧侶その家族の数は75万人に達しようとしていた。
まだシベリア鉄道もない時代、彼らは徒歩によって8000キロもの大移動を開始したのである。

 折悪しく季節は冬。気温は毎日氷点下20度を下回り、激しい吹雪などで凍死者が続出した。
 20万の人間が一晩で凍死した日もあった。それでも、「死の行進」は休むことなく続けられ、3ヵ月後には125万人がたった25万人となってしまった。燃料、食料も底をつき、運搬用の馬も次々と倒れていった。 
 
 残った25万の人々は、それでもなんとか2000キロ離れたイルクーツクまでたどり着いた。しかし、人々の前には凍った巨大なバイカル湖がたちふさがっていたのだ。 

 湖の向こう側にいけば、赤軍の手から完全に逃れられる。
 というより今さら湖を迂回する食糧も体力も彼らには残されていなかった。
 最後の力を振り絞って人々は厚い氷に覆われた、巨大なバイカル湖を横断しはじめた。ところが自然はそれを許してはくれなかった。 
 
 もともとバイカル湖周辺はブロッキング高気圧が発生しやすく、天候が荒れやすい。 
 疲れ切った前代稀に見る激しい寒波が彼らを襲った。
 猛吹雪により気温は例年を下回る氷点下30度まで下がり、一瞬にして意識を失うほどの強烈な寒さで、人々は歩きながら次々と凍っていった。
 たまたま産気づいてしまった妻を隠すように覆いかぶさった夫は、妻と生まれた子供ともども凍りついて立ったままの氷像と化した。
 湖の上を走る竜のように、うねうねと曲がりくねった氷像の列は、やがて春を迎えて溶けだした湖面にゆっくりと飲み込まれていく。
 オムスクを離れた125万人もの逃亡者は、一人残さずバイカル湖の青い湖面に消えていったのである。

 
 これは有名な都市伝説であり、125万の死者は現在もなお確認されていない。
 しかし人が立ったまま凍死する事故が絶えない、厳寒の気候であることもまた事実である。
 というか、共産圏の死者数は、都市伝説かと思うと実際はそれ以上死んでいたりする魔境なので、あるいは死者数はさらに多いという可能性も否定できない。


 
感想 56

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。