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②立駐メンテの男〜期末の契約〜
プルルル。
内線が鳴る。受付からだ。
会社は俺以外みんな帰ったので仕方なく受話器を取った。
『はい、いらっしゃいませ。』
『あ、工藤課長、立駐メンテの福井です。すみません。こんな時間に。』
うちのビルの立体駐車場をメンテナンスしている会社の担当者だった。
時計を見ると19時とメンテ時間ではない。そもそも今日はメンテの日ではない。
俺は受付に行った。
油で汚れた作業着で汗を拭きながら福井が立っていた。濃い眉に一重のイモっぽい顔の鼻や頬にも黒い油の跡がついている。短めの髪を数ヶ月切ってない感じでダサい。
『工藤さん、すみません、急に。こんな時間に。少しだけお時間よろしいでしょうか?』
『ああ、どーぞ。』
俺は応接室に福井を連れて行った。
『奥にどーぞ。』
福井がドアを開ける俺の前を通り奥のテーブルに向かう。
汗と油の匂いが俺の鼻をかすめる。
『すみません。こんな格好で。』
福井は席に座る前に俺のスーツ姿を見て、自分の作業着を見ながら謝った。
168/80くらいか。多分歳は30代半ば。
昔ラグビーをやっていたらしく、ガッチリした体格が作業着からも分かる。油がところどころ着いたグレー系の上下の作業着。黒のピッタリしたインナーの胸は筋肉で膨らんで谷間に汗が渇いた白いシミが付いている。確かに小洒落た会社の応接室には不似合いだ。
よくみると手に封筒を持っていた。黒い油がところどころついた手で茶封筒を持っている福井に俺は言った。
『何か渡すものでもあった?メンテナンスレポート?』
『いや、違うんです。すみません、この前来年度の保全工事のメール頂いたじゃないですか?ご発注でよろしいですか?』
『あぁ、もう2週間前の話だよね。施工時期まで打ち合わせして発注以外なにものでもないよね。』
『発注書に印鑑を頂かなきゃいけなくて。ご印鑑頂きたくて。』
『下請け法とかいろいろあるもんね。でもまだ9ヶ月先の工事の話でそこまで急ぐ?』
『いや、俺、営業が下手で、支社に迷惑かけてて。来月2人目の子供が産まれるんで頑張んなきゃなのに。今月ずっと頑張ったんですけど、イマイチで。』
福井の話はいつもまどろこしい。作業員が営業を兼ねるパターンだが、作業員としてはよくやってるが営業マンとしてはイマイチ。部下には欲しくないタイプ。一応、黙って話を聞く。
そもそもコイツは見積書を出すのに1ヶ月半もかかった。そして出てきた見積書は当初の提案対比出来るだけ安くしようとまだ使えなくはない部品を省いていた。全体金額の数%程度。そのうち交換するなら今やっておいた方が人件費が逆に安くつく。俺は追加させて見積金額を上げさせた。客が値段を上げさせるなんて普通ない。結果、余裕を持って取り組んだこの案件は俺のイメージ対比ギリギリになった。
顧客本位過ぎるというか、客の為と思う気持ちが強いがやることはイマイチと、あまりにも営業が出来ないタイプ。見た目は結構好みなのに俺が冷たくしてる理由。
『もし日付なしで印鑑もらえたら、今期でも来期でもどっちでもいけるってなって。
もちろん、当然4月以降の日付でもいいんです。』
『改ざんのにおいがする話だね。で、私が断ったら福井くんはどーなるの?』
『帰れません。いや、ここに居座るつもりはなくて。もちろんお客さんの意向が大事ですし。でもうちの課長が、、、。』
内線が鳴る。受付からだ。
会社は俺以外みんな帰ったので仕方なく受話器を取った。
『はい、いらっしゃいませ。』
『あ、工藤課長、立駐メンテの福井です。すみません。こんな時間に。』
うちのビルの立体駐車場をメンテナンスしている会社の担当者だった。
時計を見ると19時とメンテ時間ではない。そもそも今日はメンテの日ではない。
俺は受付に行った。
油で汚れた作業着で汗を拭きながら福井が立っていた。濃い眉に一重のイモっぽい顔の鼻や頬にも黒い油の跡がついている。短めの髪を数ヶ月切ってない感じでダサい。
『工藤さん、すみません、急に。こんな時間に。少しだけお時間よろしいでしょうか?』
『ああ、どーぞ。』
俺は応接室に福井を連れて行った。
『奥にどーぞ。』
福井がドアを開ける俺の前を通り奥のテーブルに向かう。
汗と油の匂いが俺の鼻をかすめる。
『すみません。こんな格好で。』
福井は席に座る前に俺のスーツ姿を見て、自分の作業着を見ながら謝った。
168/80くらいか。多分歳は30代半ば。
昔ラグビーをやっていたらしく、ガッチリした体格が作業着からも分かる。油がところどころ着いたグレー系の上下の作業着。黒のピッタリしたインナーの胸は筋肉で膨らんで谷間に汗が渇いた白いシミが付いている。確かに小洒落た会社の応接室には不似合いだ。
よくみると手に封筒を持っていた。黒い油がところどころついた手で茶封筒を持っている福井に俺は言った。
『何か渡すものでもあった?メンテナンスレポート?』
『いや、違うんです。すみません、この前来年度の保全工事のメール頂いたじゃないですか?ご発注でよろしいですか?』
『あぁ、もう2週間前の話だよね。施工時期まで打ち合わせして発注以外なにものでもないよね。』
『発注書に印鑑を頂かなきゃいけなくて。ご印鑑頂きたくて。』
『下請け法とかいろいろあるもんね。でもまだ9ヶ月先の工事の話でそこまで急ぐ?』
『いや、俺、営業が下手で、支社に迷惑かけてて。来月2人目の子供が産まれるんで頑張んなきゃなのに。今月ずっと頑張ったんですけど、イマイチで。』
福井の話はいつもまどろこしい。作業員が営業を兼ねるパターンだが、作業員としてはよくやってるが営業マンとしてはイマイチ。部下には欲しくないタイプ。一応、黙って話を聞く。
そもそもコイツは見積書を出すのに1ヶ月半もかかった。そして出てきた見積書は当初の提案対比出来るだけ安くしようとまだ使えなくはない部品を省いていた。全体金額の数%程度。そのうち交換するなら今やっておいた方が人件費が逆に安くつく。俺は追加させて見積金額を上げさせた。客が値段を上げさせるなんて普通ない。結果、余裕を持って取り組んだこの案件は俺のイメージ対比ギリギリになった。
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もちろん、当然4月以降の日付でもいいんです。』
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