個性があったっていいんじゃない?

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昔の自分 〜そして今〜

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私は「個性」って言葉が嫌いだ。「個性」って人それぞれだからっていう人も。そんな事を考えながら舞香は眠りに着いた。朝方、少し夢を見た。舞香の幼い頃の自分だ。舞香は昔から、チック症という症状と闘ってきた。チック症は、顔や体を自分の思いとは関係なく動いてしまう病気だ。症状が重い人は声を出したり、立ち上がってしまう人もいるらしい。そんな夢を見てしまった舞香は飛び起きた。私は、幸い顔をいがめる程の事だっただけなのに舞香は自分の顔にコンプレックスを持っていた。だから自分と向き合うのが夢の中でも怖かった。
 
  4月8日AM7時になった。舞香は今日から中学1年生だ。
「舞香起きて。今日から中学生でしょ!今日くらい早く起きなさい。」と朝から母の雷が落ちた。
「起きてるって。うるさいなー。」舞香は少しイライラしていた。なぜなら舞香は、緊張が極限まで来るとイライラしてしまうからだ。なぜ今日緊張しているのかというと今日は入学式だから。
朝ごはんもろくに食べずに中学校へ向かった。

学校はとても広かった。そしていろんな生徒がいた。可愛い子、カッコいい子、地味な子、色んな子たちがいた。舞香はどの子と仲良くしようか迷っていた。「名前なんて言うの?よろしくね!私の名前は花っていうの。」と突然話しかけてきた子がいた。「うん。よろしくね。私は舞香って言うよ!クラス一緒だったらいいね。」中学生になって初めて喋る女子だ。私はとても嬉しかった。でも不安だった。私のコンプレックスをいじめられたらどうしようと不安になったり友達をやめたりしないかなとか。友達ができたというのに…。
  その10分後、クラス発表があった。
「1年8組15番神下舞香」
  それは史上最高に嬉しかった。それは花ちゃんと同じクラスだったから。少しすると、花ちゃんが近寄ってきて「クラス同じだね。これからよろしく!」
私はルンルンな気持ちでクラスの教室に向かった。席に着席すると、自然とチックが出た。
「やばい…。緊張しすぎてチックが…。」
止めようとしても動いてしまう。
すると、舞香が可愛いと思っているランキング1位のルナちゃんがやってきた。
「大丈夫?なんかむっちゃ顔動いてるけど…。マジウケるんですけどー。」とクラス中に響き渡るような声でしゃべってきた。私は
「やりたくて動かしてるわけではないんだよ。いじめられるからやめて。」舞香は言い返した。すると、「いじめ?これが?あんたが変なことしてるからじゃん。」と言いながら逃げていった。
私は入学式から泣きじゃくりそうになった。
「もう終わりだ。不登校は嫌だ。今までこんな頑張ってきたのに水の泡になってしまう。私だってこんなはずじゃない。私はただ…。」
 その10分後保護者が教室に入ってきた。
母は、私の顔を見て「どうした?なんかあった?」そう言った。
私は「何でもない。ただちょっとね。」そう意味深な言葉を残し体育館へ入学式の式典に行った。
そこでも、ルナちゃんは、「ここではあんな顔しちゃだめよ。みんなの式典が台無しになっちゃうから。」私は「もう終わり」そう思った。
 家に帰ってすぐ部屋へ向かった。一人になりたいと思った。だけど一人になればなるだけ自分と向き合う事に辛くなってしまった。
少し時間が経ってリビングへ向かった。
リビングには母がいた。母は「学校大丈夫?目が充血してるけど…。」
あの事はなにがあっても言えない。だから私は日記をつけることにした。日記なら言いたいことも言える。誰にも見られない。そういう思いで書き始めた。
「4月8日。今日は、入学式だった。入学式に期待を持っていた私がバカだった。やっぱチックは出てしまった。もう嫌だ。明日が怖い。」
書くことで少し心が楽になった気がした。
次の日私は学校へ頑張っていった。
でもやっぱりルナちゃんはいた。私は怖くて、怖くて仕方なかったけど、教室へ入った。
すると、「来るんだ。てか、来たし。」
そう言って去っていった。それからも、ルナちゃんからいじめられてだんだん学校に行きにくくなった。入学式に、初めて喋った花ちゃんも他の友達と仲良くなっていた。もう、チック症にさえならなかったら…。そう思う日が毎日続いてしまい、ついに舞香は不登校になった。
 「何か、ルナちゃんを見返す方法はないかな。」そう思いながら、スマホを触っていた。
スマホを触っているとアイドルオーディションの広告が出てきた。応募条件は「アイドルに興味がある人、そして夢があること。ただそれだけ。」
舞香の目は輝いていた。
「これだ!」と思った瞬間、急に私はチック症だった。と我に返った。
そう思ったけど、ルナちゃんを見返す方法はこれしかない。そう思ったが、応募だけでもしてみようと思った。そして、母には内緒で応募した。
 1ヶ月後…
夕方封筒が一通届いた。私の家はそんなに、郵便物が来るほどの家ではない。しかし、一通の封筒がきたので開けてみた。
「第一次審査合格です。次のオーディションの日程は、6月20日です。おめでとうございます。」
私は飛び上がった。だんだん実感が湧いた。
でもまだ母には言ってない。いじめられていることもオーディションの一次に受かったことも。
その晩、家族を集め舞香はゆっくり話し始めた。「私ね、学校でルナちゃんって子からいじめられてるの。チック症とことで。だからこの1ヶ月学校休んだの。それでね、ルナちゃんを見返したいって思ってアイドルのオーディションを受けてたの。そしたら、1次審査合格した。これで自分を見てくれる審査が始まるの。2次審査は、大阪なんだけど行ってもいい?」そう言うと…。
 母は泣きながら「ごめんね。気づいてあげられなくて。いいんじゃない?オーディション受けたら。嬉しいことじゃない?一次合格なんて。でも、これだけは言っとく。人を見返すためにオーディション受けるのはやめなさい。アイドルになる覚悟があるなら全力で応援するわ。」
そう言ってテレビをつけて、お笑い番組を見ていた。でも、母は笑ってなかった。なぜか、泣いていた。色々思い出したんだろう。
6月20日。
2次審査当日。私は、審査員にチック症のことを話すか迷っていた。テレビに映る以上綺麗な顔でないといけない。だから本当のことを言おう。
そう覚悟を持ち、不合格の覚悟で自分の番が来た。「エントリーナンバー46番神下舞香さん。自己紹介お願いします。」
「はい!」そう言って審査員の前に行った。
「まず初めに私は学校でいじめられています。きっかけは私のチック症のことです。チック症とは自分の心や思いとは関係なく、体が動いてしまう病気です。不登校になり、チック症を恨んできました、チック症さえなければ、そう思って最近は精神的に辛かったのです。その時、このオーディションを受けたい。受けて私みたいに苦しんでいる子を元気づけたい。そういう思いで受けました。しかし、もしオーディションに受かり、テレビに出れたとしても、私のチック症を見て気分を害してしまうこともあるかもしれません。それが1番の不安です。ありがとうございました。」
「はい。ありがとうございます。」
審査員は私に言った。
それから2次審査が一通り終わり、コメントを一人一人に言った。
「神下舞香さん。あなたは、チック症を個性と思った事はありますか?チック症は辛いかもしれません。だけど、あなたの自己紹介で私は感動しました。先の未来そして、気配りまでできている。感動しました。」そう言われて舞香は、泣きじゃくった。ここまで褒められた事は今までなかったからだ。いや、褒められたとしても聞き耳を持たなかったからだ。 
その二週間後…。
 ピーンポーン。「郵便でーす。」とついにオーディション審査の結果が来た。
この日は、母は仕事で夜まで帰ってこない。
でも、今の私に母が帰ってくるまで開けないという選択肢はない。「よし、開けよう。」
そう覚悟を決めて舞香は封筒の封を開けた。
すると…。
 「おめでとうございます。2次審査合格です。
  次の日程は8月25日です。審査は東京であります。テレビ局が少し撮影をします。ご了承下さい。」
 と書いてあった。私は時が止まった。
「えっ…。うそ…。マジで。」
私は、この時嬉しくて、涙が出た。
私をこんな私を見て、不合格すると思っていた。
こんな私じゃ。とも思っていた。
でもこの時、覚悟が出来た。
もう後悔はしない。チック症を個性と教えてくれた審査員の方々にもっともっと私の良いところを見せようと。
 久しぶりだった。私を客観的に見つめたのは。
あえて、鏡を見なかったりしていた私が自分をどのようにしたら、美しく見えるかを研究し始めていた。
ふと思った。「待って。テレビ局が来るって書いてた気がする。クラスの人にバレちゃう。オーディションに受からなかったら、もっといじめられしまうかも。」そう思い始めて、また自分を見つめるのが怖くなった。
 考えていると、母が仕事から帰って来た。
「舞香ー。夜ご飯食べるわよ。どうしたの?そんな暗い顔して。」母は何かを察したのだろうか。舞香は
「お母さん。少し話がある。」
そう言い、リビングの机に二人で座った。
「お母さん。あのね、オーディション2次審査受かったの。でもね、次の3次審査にテレビ局が来るらしい。もし、このオーディションに受からなかったら、私もっともっといじめられてしまうかも。」
すると母は落ち着いた声でこう言った。
「オーディション受かるわよ。あなたなら。もし、受からなかったら私がどうにかするわ。最悪転校したらいいじゃない。そんな深く考えずあなたの全力を出し切り、後悔ないようにね。応援してるわ。」
その言葉を聞いて、私は決心がついた。
「絶対合格してみせる。」
母にそう言い、自分の部屋に戻った。
 どうやったら、オーディションに受かるか。舞香は、「私のオーディション攻略ノート」というノートを作った。
ノートを作っているうちに、夜になり寝てしまった。
それから、オーディションについて研究する日々が続き、3次審査の8月25日になった。
 3次審査は、個別審査とダンスだ。
私はダンス未経験だった。でも私のオーディション攻略ノートを作ったおかげで、乗り切ることができた。私は自信ついた。何でも、全力でやれば達成するということを自分自身実践して身に染みたからだ。
それから、二週間後…。
 おめでとうございます。合格です。  
   お披露目会は、9月26日です。
そして、デビューは、4月8日です。
デビューの日、それは私がいじめられ始めた日だ。嫌な記憶、辛い記憶。それは今までも、これからも消えないと思った。
 母にすぐに合格の電話をした。
母は泣いて喜んだ。「よかったわね。これからも頑張りなよ。」
そう言われ、電話を切った。
のちのち聞いた話だが、この電話のあと、号泣して、仕事にならなかったらしい。
9月26日、東京に行った。
封筒に入っていたアイドルセンター東京会場、1時集合。という紙を持ち、早足で、母と会場に向かった。そして、会見が始まった。
「この23人が合格者です。」
その瞬間、記者のカメラのフラッシュがパチパチと光った。これでクラスみんなに知られるのかー。そう思ったけど、嬉しかった。
ルナちゃんどう思うかな?私はこれから頑張るぞ。そう思うと嬉しくてたまらなかった。でも、ルナちゃんを見返す為にオーディションを受けたわけではない。もう、「見返す」という考え方はやめようとその時誓った。
私は、朝日山43というグループに1期生として活動することになった。
その後、テレビでオーディションの合格記者会見が放送された。
その日から、舞香のLINEは、通知でいっぱいだった。でもクラスの知らない子からばかりだった。
「アイドルになったんだね。すごい!尊敬!サインちょうだい!」と言うような内容ばかりで呆れた。私のオーディション攻略ノートもこの事は考え済みだった。だから、舞香は全部「ありがとう」と大人対応をして返信した。
これからの仕事に影響があったらいけないからだ。それから4月8日になり、デビューした。
転校し、東京で一人暮らしだ。
朝日山43はだんだんと知名度を上げ、ついに舞香は、チック症が世間にバレてしまった。
ネット上では、
「神下舞香ってなんか顔変な動きするよね。」
「神下舞香ってキモくない?」
というような内容だった。
しかし、舞香は挫けなかった。あのオーディションの日、審査員の人はチック症は、個性だから。
と言ってくれたからだ。
私は医学番組に出演することになり、「あなたの病気。私を知って。」という企画で、私はチック症を世間の人に知ってほしいと思い、勇気を出して暴露した。緊張で放送日までご飯も喉が通らないほどだった。世間の私に対する反応が気になって仕方が無かった。
放送後、ネット上では想像もしない反応が沢山あった。
「神下舞香よく頑張ってるよ!!」
「神下舞香尊敬!私も頑張ろ!」「もっと応援したくなった!」
という肯定意見ばかりだった。その2日後、ルナちゃんから、連絡が来た。
「今までごめん。いじめてて。こんなに頑張ってる舞香見てると、黙っていられなくて。本当にごめん。許されると思ってない。だけど、これだけは言いたい。頑張りすぎないで。」
そう言われ、舞香は、
「ルナちゃんがいなかったら私、アイドル目指してなかった。きっかけ与えてくれてありがとう。」そう言い合いわだかまりが解けた。
それからも舞香はルナちゃんが言った通り無理せず頑張りすぎずアイドルを懸命に頑張った。
5年後、舞香は朝日山43を卒業することになった。卒業公演は、デビュー日の4月8日だ。
4月8日、卒業公演には5万人の観客が集まった。
そこには、母、ルナちゃん、花ちゃん、あの時のクラスのみんながいた。とてもみんな盛り上がっていた。それを見て舞香は、号泣した。
曲が全曲終わり、舞香は、ファンにドームの真ん中で喋ることになった。
「私は幼い頃からチック症を患ってきました。
チック症のせいで辛いこともありました。いじめらたこともありました。しかし、5年前、自信も何もない私が2次審査の日、審査員が、チック症は、個性の一つ。感動した。と言ってくれた。その日から私は変わった。きっかけを作って下さったみなさんありがとうございました。そして、ファンの皆様応援ありがとうございました。」と舞香は、自信満々にしゃべった。
そして、卒業公演が終わり、楽屋でゆっくりしていた。すると、ルナちゃんと花ちゃんが、花を持ってやってきた。
「卒業おめでとう。」2人からそう言われなぜか、抱き合った。舞香は泣きながら、「ありがとう。」そう言い昔話に花を咲かせた。昔話と言っても、そんなに話すことはなかったが…。

そして、卒業最後のブログに、私はこう書いた。「私は「個性」は嫌いなものだった。だが、個性があったからこそ、今の私があるんだと振り返り、私は「個性」って別にあってもいいんじゃないかと思えるようになった。
「個性」で悩んでいる人、それは辛いことかもしれない。だけど、「個性」って、人それぞれだから、個々が輝けるんじゃないか」と舞香は、メッセージを残してアイドルの人生に終止符をうった。
つらくてつらくて「個性」のある自分が嫌になることもあるけど、舞香は「個性」のある自分を持ちこれからの、人生楽しい人生を送っていくことだろう。そして後悔のない日々にしていくことだろう。
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