托卵された公爵

はまち

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 側近は用意できた。思いもよらない方法で人間以上の能力を持つ兵隊も用意できた。父様が領地に戻ることはないけれど、母アルテアの弟や兄…つまり私の叔父たちが領地の運営をしている。仲は悪くないらしい。王家に膝をつきたくないから絶対に中央に行かないし領地から出ない。と、貫いている叔父たちは私が生まれても領地から出なかった。人造人間の契約のために挨拶を交わしたけれど、母そっくりだったのをすごく喜んでいた。今まではプレゼントが贈られてきたが、今まで贈って来たものでは足りない。ということで大量にドレスから髪飾りなどなどが大量に送られてきた。何年分だろうか。衣装を仕立てるための布もある。どうしたものか。使いきれない。

「2人の衣装に使おうか。」
「姫様が成長したときの衣装に使われるのはいかがでしょうか。使用人には勿体ない布ですから。」

 アンジュが布を抱えて提案をする。全て縛ってあるけれど、持ち上げている量が騎士たちにも抱えきれない量を持っている。顔色が全く変わっていない。

「使用人たちの衣装に使いたかったら使っていいと伝えておいて。」
「承知いたしました。」
「……重くない?念のため聞くけれど。」
「……????いいえこの程度なら持ち手とずれないように固定したら問題ないです。」

 それならばいいけれど。お願いをして彼女が部屋から出ると他のメイドたちが人を呼ぶから1人で運ばなくていいと色々言っているようだ。本人が平気のようでスタスタ歩いているのか声が遠ざかっていた。目の前にお茶が用意されているので仮面を外して一息をつく。髪の色が銀髪から白金に色が変わる。光の当たり具合では金色に見える。
 この金色が本当に気に食わない。瞳、髪どちらかがシュヴァリエの特徴だけならよかったのに。考えても無駄だけど。魔力で染めるか薬品で染めるか。髪を見つめているとカーテンを閉めていた。

「少し明るかったので。」
「ありがとう。エメル、側に跪いて。」
「???」

 彼はすっと側に跪いて見上げる。ヴェロニカは自分より身長も高い彼の頭を撫でる。たまにするようにしているが理由は特にない。感情をあまり表に出さないように教育されているようだが、これをしたら雰囲気がさらに柔らかくなる。首には私の契約紋の青い薔薇が見える程度に刻まれている。よしよしと撫でているとアンジュが戻ってきた。

「アンジュも撫でるよ」

 交代して頭を撫でる。髪型を崩したくないから首や頬を撫でるようにする。同じ時間だけ触れるように意識をする。満足すると手を離す。

「2人は兄弟という感覚?それとも同僚?」
「……同胞でしょうか。」

 国の就学に関して法律が変わっってしまった。従来ではあれば12歳で学園に編入して18まで学園生活をしながら勉強もしていくのに、予算や王子たちの教育の進捗具合が芳しくないようで15からに急遽変わってしまった。その年の令息や令嬢が被害者であり王族の教育の進捗が芳しくないからと入学年をずらすなんて強権を使うとは思わなかった。
 ヴェロニカは幼少期より父から実務に合わせて学問的なことに関しても家庭教師をつけていたのでもし面倒ごとに巻き込まれたら学園にはテストのためだけに参加でもいいように12歳で18歳までにならうカリキュラムを詰め込んだ。結果として準備期間がさらに伸びた。
 人造人間たちは公爵家に馴染んでいき、生活の一部となり、勉学のために領地に留学をしてたラファエルが帰ってきて「黒烏」の人間と情報のやりとりや経費精算、報酬の計算などのフォローをするようになり、公爵家は何が起きても磐石なほどに地盤を固める時間を取ることができた。

 我が家の対王家に対する準備がいつでもかかってこい。経済的にも武力的にも乾涸びさせてやる。と、宣言できるほどに技術革新であったり品種改良をしていた。

「姫様、王宮ではそれなりに大変のようで……」
「王族に合わせて入学年を改める時点で大変どころじゃないでしょう。それよりもこの夜会開いている場合じゃないと思う。」

 王子たちの婚約者選定もあるのだろうが、年頃の人間に招待状というなの命令書をばら撒いている。そのためにドレスから仮面まで全て新調しなければならない。仮面はまだいいが、ドレスに関してはおじ様たちが揉めているようでまだ決まっていない。仮面をつけるのだからなんでもいいのだが、色味を赤のベルベットにするのか黒のレースにて夜の華として美しく見えるものをと選んでいてまだき待っていない。

「2人はどっちがいいと思う?」

 面を外してお茶を飲みながらおじ様が持ってきたデザイン画を見せる。布地もベースになるサンプル画ついている。

「どちらもお似合いだと思います。」
「私もそう思います。姫様の運動能力を殺さないなら黒のドレスかと思います。」

 動きやすさや返り血が浴びたときにどちらが良いだろうか。そういう話で2人が真剣に悩み始めた。

「似合う似合わないだけでいいし、姫様は喧嘩をしにいくわけじゃないんだけれどね」

 ラファエルの言葉に2人はキョトンと首をかしげた。

「姫様が口々に王族への嫌悪を持たれているので偶然を装って殴るかと思ったのですが。」
「姫様の美しさに目を眩んだ男たちの股間を使い物にならないようにしないとラファエル様は断言できると?」
「うん。やらかしそうだね。とりあえず出来上がったもので決めようか。」

 
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