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27困惑
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防犯面で安心安全な侯爵家別邸…誰が家を燃やしたか目的が分からないとまた家を買っても燃やされるだろうし、誰がどうして燃やしたのだろう。それが分からないと…
「折角買って綺麗にしてもらった家なのに…」
孤児院も受け入れ人数は決まっていて、大きくなって資格を取得したから孤児院からも下の子達のために出て欲しいって言われて、孤児院から出て…マルセル工房で最低賃金で借家ではなく技術登録してから借金して家を買って、道具も揃えて王城からの仕事や貴族にも受け入れられて…やっと自分のために、自分のしたいことのために頑張っていこうとしていたのに…
「あ…」
鼻の奥がツンとして涙が溢れる。無理だ…我慢出来ない。人の家だから声を上げず、ただ枕に顔を埋めて涙を流した。
「これは不味い。」
朝、目を覚まして鏡で顔を見ると泣いて寝たせいで目の腫れと浮腫が素晴らしいことになって人の家でしていい顔ではない。取り敢えず扉に鍵を掛けて便箋に泣き腫らした顔なので人に会えません。収まるまで引きこもることを許してくださいとカードに書いて扉に挟んでおく。
最悪気の利くメイドや従僕が家主に報告してしまうだろうが、カーテンを締め切って人に会わなければいい。というか会いたくないし会えない。酷い。ドアを蹴破って押しかけ強盗は侯爵家にはいないと信じるしかない。
仕事はクビになるし、認められたと思ったら家は燃えるし…どうしよう。考えたくないけど相手が貴族だったらさらに面倒くさいし、私じゃどうにも出来ない。
ノックされたが、呼びかけられることもなくわかりやすく扉にカードが挟まれた。
そのカードを見ると部屋の外に軽食を置いているから食べることと、食べ終わったら器を外に出しておくだけで良くて、着替えやタオルまで置いてあるらしい。
「…流石侯爵家」
レオンハルトはミカエラの家が燃えたことをユーリ経由で知ることになった。
「ギルドからミカエラの家が燃えたって連絡が入った。しかも放火だと思う。」
「ミカエラは無事なのですか!?」
「ミカエラは今頃山で採取だろうね。家の人間に不審者が出ないかつけているし、ミカエラの護衛からはそういう話はない。近々帰ってくるだろうから保護しておく必要があるだろうね。」
「今から保護すべきです!」
「…今から追い掛けて君の家が燃やされたから家に来いって?おかしいだろう。それに護衛は外れてると思っているのにずっと行動把握されていたと知られたら軽蔑されるよ?ギルド経由で動くのが1番だから。帰ってきたと情報が入ったらお前が迎えに行きなさい。第3騎士団が彼女の恩恵を受けて護衛も優先的にさせて貰えるのだから。」
彼女が研究用として作ったクズ石加工品は最初にお世話になった第3騎士団に優先的に回して効果検証の実験に付き合ってもらっている。それに伴って国の重要人物だと。それに準ずる扱いにしろと命じても快く引き受けてくれるとユーリが判断したから根回し等もした。
「分かりました。連絡があれば俺が行きます。」
レオンハルトが執務室から出てユーリは手首につけている粋な贈り物を見つめる。我が家の女性陣からくれぐれも大事にするようにと念押しされているし、それが無くても丁重な扱いにするつもりでいる。
「イザーク、誰がしたと思う?本人に手を出さず家だけ燃やしたんだよ?」
「…途方にくれているところを恩着せがましく保護でしょうか。」
「私なら誘拐しつつ家を燃やすかな。でも燃えると困るよね、デザインとかの草案があったら。同業者?」
有り得るのは同業者の業務妨害。それなら不在時の放火で片付く。
「業務妨害するにしても私なら命とも言える指を折ります。簡単ですし、登録には仕様書、デザイン画と現物が必要ですから。合わせて燃やします。…ですが、ギルドで陳列しているサンプルは誰の作品か名前はわからないようにしています。同業者からの妨害を受けないためだそうです。技術料もかかった金額が分かるだけで誰に支払うかは分からないようです。」
「…ギルドからの情報漏洩は?」
「彼女の仲介で得る利益は莫大ですし、ギルド長達がそれはさせないかと。情報漏洩が原因だと分かれば彼等も責任問題でしょうし。」
「それを危惧してギルドも血眼で犯人探しするだろうね。自分達に非がないと証明しないと信用問題に関わる。ミカエラがギルドではなく貴族のお抱えになったらお金は入らなくなるからね。私は証拠や諸々を集めるよ。ヘラルド殿に念の為連絡を。」
「…分かりました。大公を殿で呼ぶのやめないのですね。」
「書類と大人の都合上ヘラルド殿が部下になってしまうから仕方ないだろう。私だって大公を呼び捨てにしたり命令するのはかなり気が引けるが、呼び分けて城で敬称付けるとすっごい怖い笑顔で迫ってくるからそれは避けたい。心臓に悪い。」
イザークが遣いに出ると代わりの護衛騎士が付く。イザーク1人に対して2人がつくというのもおかしな話だが実力差でいうとそうなってしまう。
さてと。ミカエラ1人でするには難しい案件だろうし、せっかく自分のお金で建てた家が焼失というのはなかなか立ち直れないだろうし…
「私がやるしかないかな。」
イザークは先触れもなく緊急事態と言うことでヘラルドの邸に移動をする。大公も休日で特に予定もなかったことから面会の許可も降りた。
「ユーリの護衛がどうしたんだ。仕事なら休みだからするつもりは無い。」
邸は質素というよりも職人の技を集めた素晴らしいものばかりだ。絢爛豪華とは違う私室。応接室は仕方なく絢爛豪華になっているらしい。
「仕事に直結する話です。ミカエラ・フィルの家が不審火で焼失しました。ユーリ様は同業者の怨恨又は貴族の関与が無いか調査予定です。」
「…本人が無事なのをなぜ知っている口ぶりなんだ?」
「本人に自覚がなくても彼女は要人です。ロズウェル侯爵家として護衛を付けるのは当然かと。本人は今頃山で素材採取しています。」
「高確率で貴族だろう。外国と通じている国賊か、利益を独占しようとしている強欲か。ロズウェル侯爵家を嫌っている派閥か。」
「贋作を指摘した性根の悪い家かも知れませんね。」
「…当人の保護は。」
「慣れている侯爵家の予定です。大公が保護してくださるならとても安全でしょうね。」
「…本人が嫌がるだろう。保護して話が聞けそうなら私もそちらに行く。それでいいな。」
「ありがとうございます。主にも伝えます。」
「折角買って綺麗にしてもらった家なのに…」
孤児院も受け入れ人数は決まっていて、大きくなって資格を取得したから孤児院からも下の子達のために出て欲しいって言われて、孤児院から出て…マルセル工房で最低賃金で借家ではなく技術登録してから借金して家を買って、道具も揃えて王城からの仕事や貴族にも受け入れられて…やっと自分のために、自分のしたいことのために頑張っていこうとしていたのに…
「あ…」
鼻の奥がツンとして涙が溢れる。無理だ…我慢出来ない。人の家だから声を上げず、ただ枕に顔を埋めて涙を流した。
「これは不味い。」
朝、目を覚まして鏡で顔を見ると泣いて寝たせいで目の腫れと浮腫が素晴らしいことになって人の家でしていい顔ではない。取り敢えず扉に鍵を掛けて便箋に泣き腫らした顔なので人に会えません。収まるまで引きこもることを許してくださいとカードに書いて扉に挟んでおく。
最悪気の利くメイドや従僕が家主に報告してしまうだろうが、カーテンを締め切って人に会わなければいい。というか会いたくないし会えない。酷い。ドアを蹴破って押しかけ強盗は侯爵家にはいないと信じるしかない。
仕事はクビになるし、認められたと思ったら家は燃えるし…どうしよう。考えたくないけど相手が貴族だったらさらに面倒くさいし、私じゃどうにも出来ない。
ノックされたが、呼びかけられることもなくわかりやすく扉にカードが挟まれた。
そのカードを見ると部屋の外に軽食を置いているから食べることと、食べ終わったら器を外に出しておくだけで良くて、着替えやタオルまで置いてあるらしい。
「…流石侯爵家」
レオンハルトはミカエラの家が燃えたことをユーリ経由で知ることになった。
「ギルドからミカエラの家が燃えたって連絡が入った。しかも放火だと思う。」
「ミカエラは無事なのですか!?」
「ミカエラは今頃山で採取だろうね。家の人間に不審者が出ないかつけているし、ミカエラの護衛からはそういう話はない。近々帰ってくるだろうから保護しておく必要があるだろうね。」
「今から保護すべきです!」
「…今から追い掛けて君の家が燃やされたから家に来いって?おかしいだろう。それに護衛は外れてると思っているのにずっと行動把握されていたと知られたら軽蔑されるよ?ギルド経由で動くのが1番だから。帰ってきたと情報が入ったらお前が迎えに行きなさい。第3騎士団が彼女の恩恵を受けて護衛も優先的にさせて貰えるのだから。」
彼女が研究用として作ったクズ石加工品は最初にお世話になった第3騎士団に優先的に回して効果検証の実験に付き合ってもらっている。それに伴って国の重要人物だと。それに準ずる扱いにしろと命じても快く引き受けてくれるとユーリが判断したから根回し等もした。
「分かりました。連絡があれば俺が行きます。」
レオンハルトが執務室から出てユーリは手首につけている粋な贈り物を見つめる。我が家の女性陣からくれぐれも大事にするようにと念押しされているし、それが無くても丁重な扱いにするつもりでいる。
「イザーク、誰がしたと思う?本人に手を出さず家だけ燃やしたんだよ?」
「…途方にくれているところを恩着せがましく保護でしょうか。」
「私なら誘拐しつつ家を燃やすかな。でも燃えると困るよね、デザインとかの草案があったら。同業者?」
有り得るのは同業者の業務妨害。それなら不在時の放火で片付く。
「業務妨害するにしても私なら命とも言える指を折ります。簡単ですし、登録には仕様書、デザイン画と現物が必要ですから。合わせて燃やします。…ですが、ギルドで陳列しているサンプルは誰の作品か名前はわからないようにしています。同業者からの妨害を受けないためだそうです。技術料もかかった金額が分かるだけで誰に支払うかは分からないようです。」
「…ギルドからの情報漏洩は?」
「彼女の仲介で得る利益は莫大ですし、ギルド長達がそれはさせないかと。情報漏洩が原因だと分かれば彼等も責任問題でしょうし。」
「それを危惧してギルドも血眼で犯人探しするだろうね。自分達に非がないと証明しないと信用問題に関わる。ミカエラがギルドではなく貴族のお抱えになったらお金は入らなくなるからね。私は証拠や諸々を集めるよ。ヘラルド殿に念の為連絡を。」
「…分かりました。大公を殿で呼ぶのやめないのですね。」
「書類と大人の都合上ヘラルド殿が部下になってしまうから仕方ないだろう。私だって大公を呼び捨てにしたり命令するのはかなり気が引けるが、呼び分けて城で敬称付けるとすっごい怖い笑顔で迫ってくるからそれは避けたい。心臓に悪い。」
イザークが遣いに出ると代わりの護衛騎士が付く。イザーク1人に対して2人がつくというのもおかしな話だが実力差でいうとそうなってしまう。
さてと。ミカエラ1人でするには難しい案件だろうし、せっかく自分のお金で建てた家が焼失というのはなかなか立ち直れないだろうし…
「私がやるしかないかな。」
イザークは先触れもなく緊急事態と言うことでヘラルドの邸に移動をする。大公も休日で特に予定もなかったことから面会の許可も降りた。
「ユーリの護衛がどうしたんだ。仕事なら休みだからするつもりは無い。」
邸は質素というよりも職人の技を集めた素晴らしいものばかりだ。絢爛豪華とは違う私室。応接室は仕方なく絢爛豪華になっているらしい。
「仕事に直結する話です。ミカエラ・フィルの家が不審火で焼失しました。ユーリ様は同業者の怨恨又は貴族の関与が無いか調査予定です。」
「…本人が無事なのをなぜ知っている口ぶりなんだ?」
「本人に自覚がなくても彼女は要人です。ロズウェル侯爵家として護衛を付けるのは当然かと。本人は今頃山で素材採取しています。」
「高確率で貴族だろう。外国と通じている国賊か、利益を独占しようとしている強欲か。ロズウェル侯爵家を嫌っている派閥か。」
「贋作を指摘した性根の悪い家かも知れませんね。」
「…当人の保護は。」
「慣れている侯爵家の予定です。大公が保護してくださるならとても安全でしょうね。」
「…本人が嫌がるだろう。保護して話が聞けそうなら私もそちらに行く。それでいいな。」
「ありがとうございます。主にも伝えます。」
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