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32課題
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「ダンスってなんですか、ユーリ様。」
「舞踏会とかあるからね。叙爵したり行事で色々。マナー教室にダンスも取り入れているから安心して。」
え????当然のように言われたのだけれど。ミカエラが首を傾げるとスっと紙を差し出すと成績表というかまだマナー講座がこれだけ残っているという進捗表…全く進んでいない。
「…見なかったことにしたいです。」
「半日は仕事だし、教師にも厳しくしないで適度な速度でと伝えていたから。それに1度家に帰って関係なくなったって忘れられてるだろうと思って。」
バレてる。教養なんてすぐに身につかない。子供のときならともかく…この歳になって教養とか。
「仕事に関して少しは落ち着いた?」
「いえ。有難いことにお財布にゆとりのある方からのご注文多数です。」
「納期にゆとりがあったね。」
「はい。最近は納期未定の発注ばかりです。」
「ということで忖度した注文書があるんだが…依頼主は国王陛下。王妃様とブレスレットを希望との事だ。石や詳細はこれで。」
出てきたよ。忖度発注書。王家の紋章と記念の花とか好きな色とか。あと、王様からこれは必須だと石を渡された。魔石だ。
「普段使い出来るようなものだ。」
「王族の普段使いって分からないのですけど。」
「私達に送ってくれたものでいい。これくらいなら毎日付けていられる。」
「…分かりました。」
この王様指定の石、魔石だけど大きくない。希少なものでは無いだろうか。
「ユーリ様、これクズ石では無いですよね???」
「あぁ、これはフェニックスの魔石だよ。元々小さいものだったのが砕けたようでね。思い入れもあるからこの大きさならミカエラでも余裕だろう?」
「…ひぇっ。頑張ります。」
「箱はこちらで用意するから。」
豪華じゃなくて普段使いのデザインだけど、貴族向け。しかも王族用。ある程度デザインも決められているようだからなるべく細かく精巧に作るのがいい。王家の紋章にフェニックスの魔石を綺麗にカットして整えて嵌める。細かく紋章の図柄を立体的に、貧相にならないように。小さく刻むアクションも指定されるが、知らないアクションだから貴族向け、王族だけのアクションかもしれない。それを刻んで箱に納品して人を呼んでもらう。
「早いですね、ミカエラ。」
「王族の分を手元に置いている方が怖いですから。どうですか?」
「素敵ですね。こういうどの衣装でも合わせられる物は少ないですからね。」
「貴族の装飾品ってゴテゴテしてますよね。宝石や魔石の数と大きさ重視というか。」
「権威の象徴ですから。」
では。と、イザークは部屋から出た。
商業ギルドに納品に向かう。鑑定と納品を済ませて新作を登録しておく。護衛のレオンハルトが平民よりの衣装で当たり前のようにそばにいる。
「ミカエラ、新居とか考えてる?」
「もうちょっと様子見してから。考えてます。その捜査目処がつくまで。」
「不安だよね。」
「不安もありますけれど、どうしてそうしたのか分からないと家の選定にも困ります。研磨機を使えないので手で削って時間がかかっているのが困ってますが…」
「えと、服とか足りてる?色々家の人間が持ってきたと思うけど。」
家が燃えて服も勿論下着ももちろん燃えてしまった。作業着等も家の中身を掃除依頼した時の買い替えでどういうものがいいのか把握されたのか、家が燃えたあとの服のセンスが私の好みになっている…口にしないが。
「進捗が気になるなら兄上に聞いておくけど。」
「いえ、結果だけは知りたいけれどそれは今後私の身の安全が保証されてるのかされてないかなので。不確かな情報で一喜一憂したくなくて。」
「分かったよ。」
カフェでお茶を飲んでレオンハルトとそろそろ帰るか。という話をしていると馬車が近くに止まった。レオンハルトが警戒してミカエラを抱き上げた。訳が分からず被っていたフードを目深に被る。
「ミカエラ!!!」
降りてきた人物に見覚えはあった。孤児院で人が多いからと出ていけと叩き出した院長。
「知り合い?」
「…孤児院の院長をしていた?している人です。国営ですから貴族だと思いますが名前は知りません。」
「…失礼ですがどちらの家の方ですか。」
レオンハルトはあくまでも丁寧に接する。恋人と言うよりも私兵の護衛に見えるだろう。
「どこの家の私兵だ?」
「ロズウェル侯爵家の人間ですが。邸で話を聞きましょう。丁重に邸まで連れてこい。」
低い声に命令口調というのは珍しい。片腕で軽々と抱き上げられているのも慣れないけれど、何でも孤児院の院長が現れた???
「舞踏会とかあるからね。叙爵したり行事で色々。マナー教室にダンスも取り入れているから安心して。」
え????当然のように言われたのだけれど。ミカエラが首を傾げるとスっと紙を差し出すと成績表というかまだマナー講座がこれだけ残っているという進捗表…全く進んでいない。
「…見なかったことにしたいです。」
「半日は仕事だし、教師にも厳しくしないで適度な速度でと伝えていたから。それに1度家に帰って関係なくなったって忘れられてるだろうと思って。」
バレてる。教養なんてすぐに身につかない。子供のときならともかく…この歳になって教養とか。
「仕事に関して少しは落ち着いた?」
「いえ。有難いことにお財布にゆとりのある方からのご注文多数です。」
「納期にゆとりがあったね。」
「はい。最近は納期未定の発注ばかりです。」
「ということで忖度した注文書があるんだが…依頼主は国王陛下。王妃様とブレスレットを希望との事だ。石や詳細はこれで。」
出てきたよ。忖度発注書。王家の紋章と記念の花とか好きな色とか。あと、王様からこれは必須だと石を渡された。魔石だ。
「普段使い出来るようなものだ。」
「王族の普段使いって分からないのですけど。」
「私達に送ってくれたものでいい。これくらいなら毎日付けていられる。」
「…分かりました。」
この王様指定の石、魔石だけど大きくない。希少なものでは無いだろうか。
「ユーリ様、これクズ石では無いですよね???」
「あぁ、これはフェニックスの魔石だよ。元々小さいものだったのが砕けたようでね。思い入れもあるからこの大きさならミカエラでも余裕だろう?」
「…ひぇっ。頑張ります。」
「箱はこちらで用意するから。」
豪華じゃなくて普段使いのデザインだけど、貴族向け。しかも王族用。ある程度デザインも決められているようだからなるべく細かく精巧に作るのがいい。王家の紋章にフェニックスの魔石を綺麗にカットして整えて嵌める。細かく紋章の図柄を立体的に、貧相にならないように。小さく刻むアクションも指定されるが、知らないアクションだから貴族向け、王族だけのアクションかもしれない。それを刻んで箱に納品して人を呼んでもらう。
「早いですね、ミカエラ。」
「王族の分を手元に置いている方が怖いですから。どうですか?」
「素敵ですね。こういうどの衣装でも合わせられる物は少ないですからね。」
「貴族の装飾品ってゴテゴテしてますよね。宝石や魔石の数と大きさ重視というか。」
「権威の象徴ですから。」
では。と、イザークは部屋から出た。
商業ギルドに納品に向かう。鑑定と納品を済ませて新作を登録しておく。護衛のレオンハルトが平民よりの衣装で当たり前のようにそばにいる。
「ミカエラ、新居とか考えてる?」
「もうちょっと様子見してから。考えてます。その捜査目処がつくまで。」
「不安だよね。」
「不安もありますけれど、どうしてそうしたのか分からないと家の選定にも困ります。研磨機を使えないので手で削って時間がかかっているのが困ってますが…」
「えと、服とか足りてる?色々家の人間が持ってきたと思うけど。」
家が燃えて服も勿論下着ももちろん燃えてしまった。作業着等も家の中身を掃除依頼した時の買い替えでどういうものがいいのか把握されたのか、家が燃えたあとの服のセンスが私の好みになっている…口にしないが。
「進捗が気になるなら兄上に聞いておくけど。」
「いえ、結果だけは知りたいけれどそれは今後私の身の安全が保証されてるのかされてないかなので。不確かな情報で一喜一憂したくなくて。」
「分かったよ。」
カフェでお茶を飲んでレオンハルトとそろそろ帰るか。という話をしていると馬車が近くに止まった。レオンハルトが警戒してミカエラを抱き上げた。訳が分からず被っていたフードを目深に被る。
「ミカエラ!!!」
降りてきた人物に見覚えはあった。孤児院で人が多いからと出ていけと叩き出した院長。
「知り合い?」
「…孤児院の院長をしていた?している人です。国営ですから貴族だと思いますが名前は知りません。」
「…失礼ですがどちらの家の方ですか。」
レオンハルトはあくまでも丁寧に接する。恋人と言うよりも私兵の護衛に見えるだろう。
「どこの家の私兵だ?」
「ロズウェル侯爵家の人間ですが。邸で話を聞きましょう。丁重に邸まで連れてこい。」
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