65 / 194
65 自己肯定感
しおりを挟む
双子の従姉が来る前に国宝を眺める事が出来る事になった。クーフィアが半日時間を取ってくれるらしい。
「取り敢えず半日ですよ、ミカエラ殿。」
「ありがとうございます!!!」
「贋作は全て鑑定して排除していますから、正真正銘の国宝ばかりです。手袋を渡しますので触っても構いませんよ。」
「私も持っていますよ?新品。」
「もちろん存じ上げておりますが、防犯上の理由です。」
「分かりました。」
宝物庫。入るのだが防犯用の魔術具や身体チェックまでされるようになった。そんなので勉強させてもらえるならどうぞ好きなだけしてくれと思いながらチェックを終えて宝物庫で国宝を眺める。
「ゆっくりご覧ください。」
「いいのですか??」
「はい。ヘラルド様からミカエラ殿の希望が満足するまでと伺っているのと王妃様よりそれで素敵な新作がまた現れるなら見せるくらいケチるなと陛下に直訴されたので。」
何故王妃様が出てくる????気にしないで勉強させてもらおう。
「クーフィア様は良かったのですか?お仕事。」
「えぇ、大丈夫ですよ。ヘラルド様が真面目にお仕事をなさっていますから。」
そういうものなのだろうか。聞かないでおこう。余計な情報は仕入れない方がいい。余計なことは聞かない、知らない。私が知らなくていいことばかりにしておきたい。
夜間の護衛は流石に騎士団のようでレオンハルトは帰宅となるようだ。日中やることも無いからと護衛と言いつつ自分で石を削る練習をずっとしている。魔石の方が楽だと嘆いているがそれは無視する。
内職をしていたら双子の従姉様をもてなす為に婚約者候補に部屋を与えられたらしい。その配置と地図、家柄、序列記載の姿絵付きでやってきた。
「おおっ…双子嫁候補だから半分???いや、1人半分だとしても多いなぁ。流石上の人は規模が違う…」
「まぁ、兄上も縁談話はこんな感じだったはず。」
次期当主様の嫁狙いは多いですよね。そりゃ。
「そこから選ばれたのですか?」
「いや?多少の政略はあるけれどキチンと恋愛結婚。学園の2個上?だったかな。ミカエラも来てるんじゃない?縁談話。」
「いやいや孤児ですよ?私。後ろ盾やら身許保証とか色々あるじゃないですか。」
レオンハルトは姿絵を見ながら孤児って卑下するけどさ。言葉を出す。
「ミカエラは後ろ盾も何も無い孤児だけど、自分の技術力と発想力でほぼ生涯お金に困らない程の現金を持っているし、これからも入ってくるだろう?しかも実力で女男爵に叙爵もされている。普通の貴族の男でも家を継げないから爵位を買うことはよく聞くけど自分で買わずに手にしてるのはとても凄いことなのにどうしてそこまで卑屈になれるんだ?」
「卑屈というか、今まで人にろくな評価もされないで孤児だ女だと馬鹿にされて育って来たから当然のような…つい最近人に褒められたり評価されるようになって…どうしていいか分からないんです。」
「…取り敢えず褒めちぎればいい??」
レオンハルトの提案に首を横に振る。それだけは辞めて欲しい。
ただ、彼が私の経歴?を紹介した事で部屋にいる侍女達がこっちを見た。孤児という所なのか、自力男爵なのかどっちでもろくな事にならない。
「ヘラルド様も知ったら褒めちぎるになると思うけどな。」
「いやいや…その取り敢えず褒めちぎるは止めて下さい。」
「じゃあその卑屈さ?自己肯定感の低さを何とかしようか。」
「無理ですよ…自信があるのは仕事だけで仕事以外はポンコツなんで…」
仕事を卑下するのはその金額を払ってくれた人達に失礼だし、責任もって納品しているからそこは胸を張れるけれど、それ以外では無理だ。
「それだとこれからヘラルド様と(仕事上の)付き合い大変だよ?」
「…既に心がおなかいっぱいなくらい甘いセリフを耳元で頂いてます。」
貴族表現が多いからちんぷんかんぷんに近いけれど後で商業ギルドで聞いたら素敵な殿方とお付き合いしてるのねと言われたので口説き文句多数だったことだけは分かる。
「の割に平気そうだね」
「貴族らしい言い回しが多くて直ぐに意味が理解できないので後々調べたら小っ恥ずかしい事を言われてたと分かるからなんですけど。」
「自己肯定感低いと貴族の奥様を相手にするの大変だから慣れた方がいいよ。褒めたりしないといけないんだよね?」
「え?私商品説明はしますけど、余計なことは言いませんよ。ちなみにレオンハルト様この中で私とお友達に慣れそうなお嬢様方います?」
「友達?兄上に推薦の方がいいと思うけど。」
「ヘラルド様に色々お願いされてましてこの中に友達になれそうな人がいたらなっておけって。」
というよりも私が仕事で楽をしたかったら友達を作れにしか聞こえなかったけれど…
「それ俺に聞く?」
「聞ける人そんなにいないので。」
頼りにしているけれど、彼からは未婚男性の意見は信用しない方がいいと言われてしまった…
「取り敢えず半日ですよ、ミカエラ殿。」
「ありがとうございます!!!」
「贋作は全て鑑定して排除していますから、正真正銘の国宝ばかりです。手袋を渡しますので触っても構いませんよ。」
「私も持っていますよ?新品。」
「もちろん存じ上げておりますが、防犯上の理由です。」
「分かりました。」
宝物庫。入るのだが防犯用の魔術具や身体チェックまでされるようになった。そんなので勉強させてもらえるならどうぞ好きなだけしてくれと思いながらチェックを終えて宝物庫で国宝を眺める。
「ゆっくりご覧ください。」
「いいのですか??」
「はい。ヘラルド様からミカエラ殿の希望が満足するまでと伺っているのと王妃様よりそれで素敵な新作がまた現れるなら見せるくらいケチるなと陛下に直訴されたので。」
何故王妃様が出てくる????気にしないで勉強させてもらおう。
「クーフィア様は良かったのですか?お仕事。」
「えぇ、大丈夫ですよ。ヘラルド様が真面目にお仕事をなさっていますから。」
そういうものなのだろうか。聞かないでおこう。余計な情報は仕入れない方がいい。余計なことは聞かない、知らない。私が知らなくていいことばかりにしておきたい。
夜間の護衛は流石に騎士団のようでレオンハルトは帰宅となるようだ。日中やることも無いからと護衛と言いつつ自分で石を削る練習をずっとしている。魔石の方が楽だと嘆いているがそれは無視する。
内職をしていたら双子の従姉様をもてなす為に婚約者候補に部屋を与えられたらしい。その配置と地図、家柄、序列記載の姿絵付きでやってきた。
「おおっ…双子嫁候補だから半分???いや、1人半分だとしても多いなぁ。流石上の人は規模が違う…」
「まぁ、兄上も縁談話はこんな感じだったはず。」
次期当主様の嫁狙いは多いですよね。そりゃ。
「そこから選ばれたのですか?」
「いや?多少の政略はあるけれどキチンと恋愛結婚。学園の2個上?だったかな。ミカエラも来てるんじゃない?縁談話。」
「いやいや孤児ですよ?私。後ろ盾やら身許保証とか色々あるじゃないですか。」
レオンハルトは姿絵を見ながら孤児って卑下するけどさ。言葉を出す。
「ミカエラは後ろ盾も何も無い孤児だけど、自分の技術力と発想力でほぼ生涯お金に困らない程の現金を持っているし、これからも入ってくるだろう?しかも実力で女男爵に叙爵もされている。普通の貴族の男でも家を継げないから爵位を買うことはよく聞くけど自分で買わずに手にしてるのはとても凄いことなのにどうしてそこまで卑屈になれるんだ?」
「卑屈というか、今まで人にろくな評価もされないで孤児だ女だと馬鹿にされて育って来たから当然のような…つい最近人に褒められたり評価されるようになって…どうしていいか分からないんです。」
「…取り敢えず褒めちぎればいい??」
レオンハルトの提案に首を横に振る。それだけは辞めて欲しい。
ただ、彼が私の経歴?を紹介した事で部屋にいる侍女達がこっちを見た。孤児という所なのか、自力男爵なのかどっちでもろくな事にならない。
「ヘラルド様も知ったら褒めちぎるになると思うけどな。」
「いやいや…その取り敢えず褒めちぎるは止めて下さい。」
「じゃあその卑屈さ?自己肯定感の低さを何とかしようか。」
「無理ですよ…自信があるのは仕事だけで仕事以外はポンコツなんで…」
仕事を卑下するのはその金額を払ってくれた人達に失礼だし、責任もって納品しているからそこは胸を張れるけれど、それ以外では無理だ。
「それだとこれからヘラルド様と(仕事上の)付き合い大変だよ?」
「…既に心がおなかいっぱいなくらい甘いセリフを耳元で頂いてます。」
貴族表現が多いからちんぷんかんぷんに近いけれど後で商業ギルドで聞いたら素敵な殿方とお付き合いしてるのねと言われたので口説き文句多数だったことだけは分かる。
「の割に平気そうだね」
「貴族らしい言い回しが多くて直ぐに意味が理解できないので後々調べたら小っ恥ずかしい事を言われてたと分かるからなんですけど。」
「自己肯定感低いと貴族の奥様を相手にするの大変だから慣れた方がいいよ。褒めたりしないといけないんだよね?」
「え?私商品説明はしますけど、余計なことは言いませんよ。ちなみにレオンハルト様この中で私とお友達に慣れそうなお嬢様方います?」
「友達?兄上に推薦の方がいいと思うけど。」
「ヘラルド様に色々お願いされてましてこの中に友達になれそうな人がいたらなっておけって。」
というよりも私が仕事で楽をしたかったら友達を作れにしか聞こえなかったけれど…
「それ俺に聞く?」
「聞ける人そんなにいないので。」
頼りにしているけれど、彼からは未婚男性の意見は信用しない方がいいと言われてしまった…
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる