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132 帰宅と対策

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お土産を大量に。服などの必要品はユーリ様達が用意してくれるらしい。文房具等も全てお任せすれば良いらしい。男爵から子爵に上がるのだからそれに相応しい衣装や色々と準備があるらしいが侯爵家のお金の力で全て速やかに用意してくれるらしい…怖い。お金と権利を使いまくっている。家に帰ると教科書が増えていた。

「ミカエラ、勉強ですよ。」
「…仕事を…」
「ユーリ様が根回しをして制限されます。」
「…勉強頑張るのでイチャイチャしません。」
「邪魔をしませんよ。」

「…イザーク様も取られてたのですか。領主候補過程…」
「取ってませんよ。ユーリ様の手伝いという実務経験で覚えました。教範はユーリ様が貸してくださいますので覚えましょうか。」

商売関連ならまだ分かる。貴族の領主候補とかよく分からないし。絶対に面倒くさいお子様たちが来るに決まっている。明日から頑張ろう。頑張るけれど貴族の常識と平民の常識が違いすぎるから覚えられないんだよなぁ。

片手で食べれるような軽食を部屋で食べて読書をする。とりあえず知識を放り込まないと不味い。ロズウェル侯爵領の山で採掘川ざらいし放題は美味しい!!!!移動だけで大金が吹き飛んで採掘者の財布目当てで物価も高いあそこに費用持ちでして貰えるなら頑張らないと。

視線が刺さる。顔を上げると引き寄せられる距離が詰まるとベタベタ触るのではなくぬいぐるみのように抱きしめられる。それだけだ。勉強の邪魔をしない為なのか…膝の上にぬいぐるみ状態で何も無い…

「下ろしてください…」
「これでも我慢しています…頭撫でてください。」

降ろされて毛玉(中型犬)になって膝に頭を乗せてきた。勉強しろと言っていたはずだけど。そう思いながらもふもふの頭を撫でながら勉強の為の読書をする。ふわふわの毛並みを堪能しながらお茶を飲む。毛玉姿になってまで撫でろとは…毛玉姿好きだから撫で回すけれど。

「どうしました。勉強してるのですから満足でしょう。」

 人の姿になり私の膝に顔を埋める。なんなのだろう。髪を撫でながら首を傾げる。変だ。当たり前のように教師のように勉強を詰め込んでくるかと思ったのに…なんだかへたれている。ミカエラは首を傾げながら考えるが、考えるだけ無駄だろうからよしよしと髪を時々撫でながら勉強をする。

「聞いたところによると父が色々議会で言ったようですので。」
「まぁ、嫌われているようですし…仕方ないですね。それでなんで私の膝なんですか。」
「定位置です。」
「…そうですか。一応報酬のために努力はしますが、期待しないでください。」
「分かりました。」



 勉強漬けのために今日はレオンハルト様が我が家で家庭教師をするらしい。理由はイザーク様が実家に呼ばれたのでイヤイヤ向かったからだ。イヤイヤだと分かるのは家を出るまで面倒くさいとか色々愚痴愚痴していたのを聞いていた。
 レオンハルトが領主候補課程で使った教範やノートの写しを持ってわざわざミカエラの家まで家庭教師として来たのでミカエラは断れずに勉強を教わることになった。

「ミカエラ、勉強は得意じゃないのは知っているけれど、こういう科目はどう???」

 見せられたのは運営に関する知識だ。綺麗にまとめられているので読みやすいけれど、頭に入るかどうかはわからない。それに領主の仕事は帳簿を読むのが仕事ではない。領地を発展されるのが仕事なのだから帳簿を読み解くのは基礎知識というだけでそれ以外の人の運営は苦手だ。

「得意ではないです。」
「普通は親の側とかで仕事している姿とか見ながら参考にするからね。」
「むぃ…」

 変なうめき声が出るほどに自分とは縁遠い項目ばかりだ。馴染みのない単語、項目とこれでどれだけの成績を出さなければならないのだろうか。仕事で手を動かしている方が絶対に楽しい。レオンハルト様も勉強より騎士として体を動かしている方が楽なように見えるけれど…

「俺も机に張り付くより体動かす方が好きだからわからなくもないよ。頑張れそう???とりあえず勉強道具から衣装までは陛下や兄上持ちだって。それで成績がよかったら採掘で使うときの宿と料理、滞在日数にだんだん色が付いてウチの領地の山なら行きたいところ増やしてもいいって。」
「!!!!!!!」

 ミカエラは口をあんぐりと開けてレオンハルトを見る。特典が増えていた。

「やる気出た???」
「思った以上の特典にびっくりしました。良いのですか???」
「兄上曰く明らかにこっちのとばっちりだから可能な限り便宜を図るということにしたみたい。折角だし侯爵領で遊んでもらうのもいいんじゃないかなって。」
「ワォ…一番やる気出たかもしれません。」
「うん。じゃあ頑張ろうか。」

 まさか本当のご褒美をもらえると思わなかった。これは頑張らなければならないと思った。
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