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152 流行に関して

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 貴族って流行とかうるさい…それでお金を回していると言われたら職人としては新規注文がドバドバと入るから悪いことではないが、全員が同じようなものをつけるのが素晴らしい。みたいなのは好きではない。宝石の納品も多少色が違ってもデザインが似たり寄ったりで作っていて楽しくもない。上位の貴族は聞いたところ標準の身長だからヒールで身長を足首のラインを見せるのが流行りだとか。
  ローズ嬢がハイヒールなんて履いたら男性並の身長になるし、ドレスは腰を縛り上げてデコルテを見せるのが一般的だ。つまり彼女単体と貴族の令嬢に流行っているドレス等は全く似合わない組み合わせだ。騎士として剣を奮っている人間だから肩幅はあるし筋肉もついている。それをパフスリーブとかにしたら更に太く見える。私の場合平均身長よりも低いし、胸はストンとまな板である。布でボリュームだしても見苦しい、流行に興味もない。自分の事は興味無いだけでドレス等は必要だからとヘラルド様他からプレゼントされたものに袖を通している。その辺はデザイナーが仕上げてくれている。

  私自身は作る側として流行を気にしている。たわが、自分の分は気にしていない。そしてラエティ子爵令嬢は個人的にむかつくので報復措置をした方がいい気がする。個人的に。

「私にできると仰っているのですか?」
「知りません。私は私に出来ることをしただけ。責任取れないことを断言しません。お貴族様と平民では価値観も大きく違いますから。」
「…」
「それに気になったのは何故格下の彼女を気にするのですか?」
「スカルラッティ伯爵家とは隣同士で国境を守ってきた間柄でして、同じ地位でもスカルラッティ伯爵家の方が格上何です。それの分家筋で本家の方と婚約予定と言われてしまえばこちらも気にしない訳には行かなくて…領地の線引きで昔から揉めてて…」

   親に迷惑掛けたくないから正面衝突は避けたい感じ???詳しいことは知らないがそんな感じがする。向こうは迷惑かけても強気で行く感じがあるけれど…あぁいうお貴族様思考本当に気持ち悪い。

   愚痴をある程度聞いてからお帰り頂いたが…あのわがまま娘の性根が気に食わない。個人的な報復をするべきなのか彼女を巻き込むべきなのかだと前者に近い。それで勝手に恩を売るのも違う気がするし、貴族という属性は勝手に恩と感じたら気が済むまで恩返しをする生き物らしい。そういうものだと頭では理解しているけれど…共感は全くできない。部屋で何をすべきかな。と考えているとお茶を給仕された。見上げるとイザーク様が当然の顔をしていた。

「何を考えているのですか。珍しくドレスのデザインまで…そのデザインは低身長の貴方には似合いませんよ。」
「私のではないです。イザーク様、私の自己満足と創作意欲を満たすためにローズ様にドレスと宝石をプレゼントしたらどう見えますか?」
「…主従関係ないしそういう関係には見えるでしょうね。」
「自己満足の比重が高くても??」
「送った事実があります。アルフィアス令嬢に送るのですか?」
「…考え中です。それに送る理由がない。」

 身長が高い彼女にドレスを着せるとしたら布のボリュームよりも体のラインや筋肉美を生かすべきだ。それに合わせるドレスと宝飾品を考えるのは楽しい…が裁縫の技量はそんなにない。

「では、エリザベス様に相談してみては如何でしょう。顛末も添えて。それであればデザイナーを紹介していただけるかと思いますよ?」
「…連絡をとっていただいても良いですか?アリアでも良いですけれど。」

 相談してみる。黒髪に赤い瞳に長身、鍛えた筋肉美を見せるなら色々と考えるのが楽しい。細身平均身長貴族女性の綺麗、可愛いデザインではなく、ローズ嬢には綺麗、かっこいい系を勧めたい。




 エリザベス様と私的なお茶会を休日に設定してもらい、お菓子を食べる。美味しい。エリザベスはニコニコとしている。

「ミカエラからなんて珍しいわね。どうしたのかしら???アンバース子爵令嬢絡み???」
「う…絡みは絡みですけれど、最近勉強していて…自己満足と発散がしたくて…その、かっこいい系の御令嬢とかどうかな???と、思ったんです。高身長でキリっとした感じとか。」
「ミカエラ、詳しく。」

 食いついた。ローズ嬢のことの話してみた性格や身長、体格、こういう服やドレスが似合いそうで衣装に合わせた宝飾品を合わせてみたい。髪飾りはこういうのがいいという複数のデザイン案を見せる。

「アルフィアス辺境伯の御令嬢はしっかりもので騎士姫とか呼ばれているみたいだけれど、本当みたいね。王妃様が最近ロマンス小説にハマっているらしいの。」
「…?????ちなみにどんなロマンス小説ですか???」

 アリア経由でロマンス小説をエリザベス様におすすめはした。だいぶ前に。デザインとか色々考えるために読んでいた。それで面白かったものを渡した。それが王妃様に渡ったと…?????

「男装の令嬢と王女様の悲恋よ。」
「わぁ…」
「じゃあ、今度本人も呼んでお話ししてみましょうか。王妃様主催の夜会に間に合えばお喜びになるわ。きっと。」

 おっと…それはそれは…アルフィアス令嬢勝手に進めてごめんなさい。
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