151 / 194
151面接?相談?
しおりを挟む
家に戻るとアリアがいつものように夕食の仕込みや家事でクルクルと動き回っていた。
「お帰りなさいませ。」
「ただいま。騎士課程のローズ・アルフィアス伯爵令嬢。お茶とかお菓子をお願い。」
「かしこまりました。商業ギルドから収支報告書などが届いておりますので確認をお願い致します。お部屋のいつもの場所にございます。」
「分かった。ちょっと荷物片付けてきますね。」
ローズは家の小ささに驚いたのか案内されるまま椅子に座らされた。お茶やお菓子がすかさず出てきた。
「ミカエラ様が人を家にお招きするのが初めてなので驚いてしまって申し訳ございません。」
「いえ…貴族の邸なのですか?」
「邸というより工房隣接の御屋敷で、お屋敷に仕えているのも私だけですし。」
イザーク様はユーリ様…ロズウェル侯爵家の騎士であり、恋人関係だから護衛騎士として側にいる。このまま婿入りするつもりだと普通に仰っていたけれど…御実家から嫌がらせで勝手に婚約者を用意されているから人にはそういう話をしない方がいい。
「多分降りてくるのに時間がかかるかと。」
「そうなのですか???」
「直感ですが。」
「…フィル子爵に騎士として仕えることを許して欲しいのですが、どうすれば良いのでしょう…」
アリアは驚いた顔をしてローズを見る。平民である自分がミカエラ様に仕えるのはまだいい。ミカエラ様は貴族になったのだからと切り替えたら。だが、アルフィアス伯爵令嬢は貴族だ。それも格下のミカエラ様の護衛騎士???
「えっと…ミカエラ様はこの家しかお持ちでないですし、お部屋もありますが貴族のご令嬢のお部屋に比べたら手狭かと。部屋が余りまくっているので人が増えるまである程度自由に使えます。使用人もそんなに多くないのでそこそこ自分である程度して頂く必要があります。」
荷物を置くだけならいい。収支報告書の場所を確認してお客様もいるからと部屋から出ようとした。が、部屋から出たいのに目の前に図体のでかい成人男性が通してくれ無さそうだ。
「ミカエラ。」
「お客様がいます。」
「どうして家に?」
「…上背だとかアンバース子爵令嬢に言われた事を気にしてたようだからですよ。それに家の狭さに驚いて諦めてくれたらいいなぁとか少し思ってます。家主は私です。」
だからどいて。と、言おうと思ったが、扉を開けてくれた。何かアリアと話をしているのだろうか。アリアが部屋から出ていない。
「アリアが話し相手になっているようですし、少しくらい良いかと思うのですが?」
後ろから囁かれる。何がいいのかさっぱり分からないぞ???
「人を待たせているのでお断りです。当初より頻度も増えて距離も近くなっている気がするので。」
「…何か不愉快なことでもしましたか?」
不愉快なことはされてない。ただ…卒業式に婚約者同伴のパーティーがあることから逃げ出したいだけだ。私の期限の善し悪しを気にしすぎだ。尊敬してるし、信頼も信用もしてるのだから…少しはこちらの顔色等を伺わないで欲しい。
「違います。私が人を待たせるのが嫌なだけです。年上らしく私の気分の機微なんて伺わないでください…」
「そういうものですよ。貴族というものは。」
私の気持ち無視して身体撫で回されたり酸欠させられのは嫌だけれど…気にしすぎと分かるのも何だか気分的には宜しくない。機嫌は取らないといけない気がする…
「今から触れるだけの軽い口付けするか後で酸欠手前の長いのをするかどっちにしますか。」
「どっちもします。」
選べと聞いたのに。見上げて聞いたのでそのまま触れるだけの軽い口付けで開放された。いや後で無駄に長くて酸欠させられるのがわかっているからなんだけど…
応接室に向かうとアリアも座って世間話をしていた。
「私、邪魔だった…??」
「いえ、アリアから採用された場合の荷物の量や注意事項を聞いておりました。」
「貴族のお嬢様が生活するには小さい家なので他の家を視野に入れた方がいいですよ。それに採用するとも決めてません。アリア、用事があれば呼ぶから。」
人払いをしてお茶に口を付ける。絶対高いやつ。これ。いつも以上に美味しい。
「素敵な家ですね。」
「広すぎて部屋が余っていますが。この家は頂き物なので手放すことは無いでしょう。ローズ様、もしかして上背とか気にしてますか?」
「…男並みに身長があると婚約者を探すのも大変だとか…まだ伸びそうですし。実際居ませんし。」
「…小柄よりいいと思いますけど。私比較的小柄なのでぬいぐるみ扱いされますし、ダンスの時も体格があいません。」
私はその前にステップそのものが危ういけれど。それにぶら下がっているし。
「平民育ちの孤児出身の私からしたら女1人でも生きていけるように腕を磨きましたよ。誰にも強要しませんし、されたくないですね。親の肩書きと婚約者の肩書きがステイタスだとバカにしてくる人間には自分自身がステイタスであることを証明すればいい。親や夫無しでも1人で食っていける生活力や肩書きを手に出来るように動けばいい。目の前に趣味と食いつなぐために手当り次第持てる物をお金に変えたら爵位を得てしまった見本がある訳ですし。」
ローズの赤い瞳がこちらを凝視するがそうだろう?言われたことは親の肩書き自慢と婚約者自慢だ。それなら自分で何とか出来そうならそうすればいいと思う。
「お帰りなさいませ。」
「ただいま。騎士課程のローズ・アルフィアス伯爵令嬢。お茶とかお菓子をお願い。」
「かしこまりました。商業ギルドから収支報告書などが届いておりますので確認をお願い致します。お部屋のいつもの場所にございます。」
「分かった。ちょっと荷物片付けてきますね。」
ローズは家の小ささに驚いたのか案内されるまま椅子に座らされた。お茶やお菓子がすかさず出てきた。
「ミカエラ様が人を家にお招きするのが初めてなので驚いてしまって申し訳ございません。」
「いえ…貴族の邸なのですか?」
「邸というより工房隣接の御屋敷で、お屋敷に仕えているのも私だけですし。」
イザーク様はユーリ様…ロズウェル侯爵家の騎士であり、恋人関係だから護衛騎士として側にいる。このまま婿入りするつもりだと普通に仰っていたけれど…御実家から嫌がらせで勝手に婚約者を用意されているから人にはそういう話をしない方がいい。
「多分降りてくるのに時間がかかるかと。」
「そうなのですか???」
「直感ですが。」
「…フィル子爵に騎士として仕えることを許して欲しいのですが、どうすれば良いのでしょう…」
アリアは驚いた顔をしてローズを見る。平民である自分がミカエラ様に仕えるのはまだいい。ミカエラ様は貴族になったのだからと切り替えたら。だが、アルフィアス伯爵令嬢は貴族だ。それも格下のミカエラ様の護衛騎士???
「えっと…ミカエラ様はこの家しかお持ちでないですし、お部屋もありますが貴族のご令嬢のお部屋に比べたら手狭かと。部屋が余りまくっているので人が増えるまである程度自由に使えます。使用人もそんなに多くないのでそこそこ自分である程度して頂く必要があります。」
荷物を置くだけならいい。収支報告書の場所を確認してお客様もいるからと部屋から出ようとした。が、部屋から出たいのに目の前に図体のでかい成人男性が通してくれ無さそうだ。
「ミカエラ。」
「お客様がいます。」
「どうして家に?」
「…上背だとかアンバース子爵令嬢に言われた事を気にしてたようだからですよ。それに家の狭さに驚いて諦めてくれたらいいなぁとか少し思ってます。家主は私です。」
だからどいて。と、言おうと思ったが、扉を開けてくれた。何かアリアと話をしているのだろうか。アリアが部屋から出ていない。
「アリアが話し相手になっているようですし、少しくらい良いかと思うのですが?」
後ろから囁かれる。何がいいのかさっぱり分からないぞ???
「人を待たせているのでお断りです。当初より頻度も増えて距離も近くなっている気がするので。」
「…何か不愉快なことでもしましたか?」
不愉快なことはされてない。ただ…卒業式に婚約者同伴のパーティーがあることから逃げ出したいだけだ。私の期限の善し悪しを気にしすぎだ。尊敬してるし、信頼も信用もしてるのだから…少しはこちらの顔色等を伺わないで欲しい。
「違います。私が人を待たせるのが嫌なだけです。年上らしく私の気分の機微なんて伺わないでください…」
「そういうものですよ。貴族というものは。」
私の気持ち無視して身体撫で回されたり酸欠させられのは嫌だけれど…気にしすぎと分かるのも何だか気分的には宜しくない。機嫌は取らないといけない気がする…
「今から触れるだけの軽い口付けするか後で酸欠手前の長いのをするかどっちにしますか。」
「どっちもします。」
選べと聞いたのに。見上げて聞いたのでそのまま触れるだけの軽い口付けで開放された。いや後で無駄に長くて酸欠させられるのがわかっているからなんだけど…
応接室に向かうとアリアも座って世間話をしていた。
「私、邪魔だった…??」
「いえ、アリアから採用された場合の荷物の量や注意事項を聞いておりました。」
「貴族のお嬢様が生活するには小さい家なので他の家を視野に入れた方がいいですよ。それに採用するとも決めてません。アリア、用事があれば呼ぶから。」
人払いをしてお茶に口を付ける。絶対高いやつ。これ。いつも以上に美味しい。
「素敵な家ですね。」
「広すぎて部屋が余っていますが。この家は頂き物なので手放すことは無いでしょう。ローズ様、もしかして上背とか気にしてますか?」
「…男並みに身長があると婚約者を探すのも大変だとか…まだ伸びそうですし。実際居ませんし。」
「…小柄よりいいと思いますけど。私比較的小柄なのでぬいぐるみ扱いされますし、ダンスの時も体格があいません。」
私はその前にステップそのものが危ういけれど。それにぶら下がっているし。
「平民育ちの孤児出身の私からしたら女1人でも生きていけるように腕を磨きましたよ。誰にも強要しませんし、されたくないですね。親の肩書きと婚約者の肩書きがステイタスだとバカにしてくる人間には自分自身がステイタスであることを証明すればいい。親や夫無しでも1人で食っていける生活力や肩書きを手に出来るように動けばいい。目の前に趣味と食いつなぐために手当り次第持てる物をお金に変えたら爵位を得てしまった見本がある訳ですし。」
ローズの赤い瞳がこちらを凝視するがそうだろう?言われたことは親の肩書き自慢と婚約者自慢だ。それなら自分で何とか出来そうならそうすればいいと思う。
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる