出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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151面接?相談?

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 家に戻るとアリアがいつものように夕食の仕込みや家事でクルクルと動き回っていた。

「お帰りなさいませ。」
「ただいま。騎士課程のローズ・アルフィアス伯爵令嬢。お茶とかお菓子をお願い。」
「かしこまりました。商業ギルドから収支報告書などが届いておりますので確認をお願い致します。お部屋のいつもの場所にございます。」
「分かった。ちょっと荷物片付けてきますね。」

  ローズは家の小ささに驚いたのか案内されるまま椅子に座らされた。お茶やお菓子がすかさず出てきた。

「ミカエラ様が人を家にお招きするのが初めてなので驚いてしまって申し訳ございません。」
「いえ…貴族の邸なのですか?」
「邸というより工房隣接の御屋敷で、お屋敷に仕えているのも私だけですし。」

  イザーク様はユーリ様…ロズウェル侯爵家の騎士であり、恋人関係だから護衛騎士として側にいる。このまま婿入りするつもりだと普通に仰っていたけれど…御実家から嫌がらせで勝手に婚約者を用意されているから人にはそういう話をしない方がいい。

「多分降りてくるのに時間がかかるかと。」
「そうなのですか???」
「直感ですが。」
「…フィル子爵に騎士として仕えることを許して欲しいのですが、どうすれば良いのでしょう…」

  アリアは驚いた顔をしてローズを見る。平民である自分がミカエラ様に仕えるのはまだいい。ミカエラ様は貴族になったのだからと切り替えたら。だが、アルフィアス伯爵令嬢は貴族だ。それも格下のミカエラ様の護衛騎士???

「えっと…ミカエラ様はこの家しかお持ちでないですし、お部屋もありますが貴族のご令嬢のお部屋に比べたら手狭かと。部屋が余りまくっているので人が増えるまである程度自由に使えます。使用人もそんなに多くないのでそこそこ自分である程度して頂く必要があります。」



    荷物を置くだけならいい。収支報告書の場所を確認してお客様もいるからと部屋から出ようとした。が、部屋から出たいのに目の前に図体のでかい成人男性が通してくれ無さそうだ。

「ミカエラ。」
「お客様がいます。」
「どうして家に?」
「…上背だとかアンバース子爵令嬢に言われた事を気にしてたようだからですよ。それに家の狭さに驚いて諦めてくれたらいいなぁとか少し思ってます。家主は私です。」

   だからどいて。と、言おうと思ったが、扉を開けてくれた。何かアリアと話をしているのだろうか。アリアが部屋から出ていない。

「アリアが話し相手になっているようですし、少しくらい良いかと思うのですが?」

  後ろから囁かれる。何がいいのかさっぱり分からないぞ???

「人を待たせているのでお断りです。当初より頻度も増えて距離も近くなっている気がするので。」
「…何か不愉快なことでもしましたか?」

    不愉快なことはされてない。ただ…卒業式に婚約者同伴のパーティーがあることから逃げ出したいだけだ。私の期限の善し悪しを気にしすぎだ。尊敬してるし、信頼も信用もしてるのだから…少しはこちらの顔色等を伺わないで欲しい。

「違います。私が人を待たせるのが嫌なだけです。年上らしく私の気分の機微なんて伺わないでください…」
「そういうものですよ。貴族というものは。」

    私の気持ち無視して身体撫で回されたり酸欠させられのは嫌だけれど…気にしすぎと分かるのも何だか気分的には宜しくない。機嫌は取らないといけない気がする…

「今から触れるだけの軽い口付けするか後で酸欠手前の長いのをするかどっちにしますか。」
「どっちもします。」

   選べと聞いたのに。見上げて聞いたのでそのまま触れるだけの軽い口付けで開放された。いや後で無駄に長くて酸欠させられるのがわかっているからなんだけど…



   応接室に向かうとアリアも座って世間話をしていた。

「私、邪魔だった…??」
「いえ、アリアから採用された場合の荷物の量や注意事項を聞いておりました。」
「貴族のお嬢様が生活するには小さい家なので他の家を視野に入れた方がいいですよ。それに採用するとも決めてません。アリア、用事があれば呼ぶから。」

   人払いをしてお茶に口を付ける。絶対高いやつ。これ。いつも以上に美味しい。

「素敵な家ですね。」
「広すぎて部屋が余っていますが。この家は頂き物なので手放すことは無いでしょう。ローズ様、もしかして上背とか気にしてますか?」

「…男並みに身長があると婚約者を探すのも大変だとか…まだ伸びそうですし。実際居ませんし。」
「…小柄よりいいと思いますけど。私比較的小柄なのでぬいぐるみ扱いされますし、ダンスの時も体格があいません。」

   私はその前にステップそのものが危ういけれど。それにぶら下がっているし。

「平民育ちの孤児出身の私からしたら女1人でも生きていけるように腕を磨きましたよ。誰にも強要しませんし、されたくないですね。親の肩書きと婚約者の肩書きがステイタスだとバカにしてくる人間には自分自身がステイタスであることを証明すればいい。親や夫無しでも1人で食っていける生活力や肩書きを手に出来るように動けばいい。目の前に趣味と食いつなぐために手当り次第持てる物をお金に変えたら爵位を得てしまった見本がある訳ですし。」

   ローズの赤い瞳がこちらを凝視するがそうだろう?言われたことは親の肩書き自慢と婚約者自慢だ。それなら自分で何とか出来そうならそうすればいいと思う。
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