出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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162 臨時報酬

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 翌日朝早くから叩き起こされて見た目を整えられる。朝からお風呂に放り込まれて全身磨かれてマッサージなどのフルコースを受けて髪も艶々、メイクばっちしで迎えの馬車に乗ってヘラルド様のお屋敷に朝から向かうことになった。一応お貴族様らしくしゃんとしているけれど、馬車の中で靴はぬいでいるしハンカチを膝の上においてクズ石加工をしながら腕が落ちないようにする。鉱石採掘となると運搬がどうしても大変なんだよなぁ。儲かっている工房はスレイプニル(八本脚馬)を借りて運搬するらしいけれど…私にそんなお金は最近できたけれど、利益が減るし、魔物で生き物だからコストとあまり見合わない。馬車とか生き物動力だと運べる石が決まっているし、もっと楽して効率よくしたい。山から麓までで良いのだから道は決まっているし。領地に山や川があるならそういう便利道具をいろいろ作って試作を続けてみるのも良いのではないのだろうか。それはそれで楽しいかもしれない。それが売れたら権利だけでも寝ていたらお金が入ってくる。

「ミカエラ、何を考えているのですか?」
「もし領地をもらえたら自分の考える便利道具の試作とかしようかなと。」
「それは面白そうですね。協力しますよ。」

 ミカエラはそういうのをメモ書きをしてく。そういうことができるなら領地を得るのも悪くないだろう。便利になればそのほうがいいに決まっている。それはそれで楽しい。メモ用紙を取り出して記述をしておく。

 そしてヘラルド様のお屋敷に到着すると会食のためにご立派な食堂に通された。ご飯食べながらとは言われたけれど、ヘラルド様ではなく上座に陛下が座るあたり勝手に決められて処理できないほど貰っても困るから断るためにきたのに…すでに胃が痛くて帰りたい。

「ミカエラ、コルセットが苦しいとかですか?」
「苦しい以上にこれからの話で胃が痛いです。」
「まだ始まってませんよ?」
「始まる前からメンツとコルセットで胃が痛いんです。」

 当人らを見ながら顔色を悪くしてエスコートをしながら聞いてくるイザークに本音を漏らす。

「怒られるわけではないですし。」
「ミカエラ、当人らを前にぼやけるだけ腹が据わっているよ。」

 ヘラルドがニコニコしながらそこ座るようにと言われて座るが、コルセットきついし、陛下との距離も近い。ユーリ様と侯爵もいるのでサッサっと帰りたい。色々お断りしてサクッと帰りたい。食事がどっさりと出てくるのだろうし、いくら美味しそうに見えても食べられないなら意味がない。
 コルセットのせいですぐにお腹が膨れる。というか入らない。

「ミカエラ、食べるの厳しい??」
「う…」
「持ち帰れそうなものはバスケットに詰めさせておくよ。それにしても勉強頑張ったんだね。」
「…中間考査結果ですし…」

 中間考査からここまでの成績が出るとは思わなかったようだ。陛下から色々ご褒美の希望はないのか?困ったことはないのか?と直接色々と聞かれた。なんでも議会でたまに私の話が出てきて平民上がりなのだから学の無さで下から数えたほうが早い成績で教師からさっさと叩き出されて侯爵家やヘラルド様の面目丸潰れを期待した貴族たちが賭博をしているらしい。

「賭博をする方もする方ですが、ひどくないですか?それ。」
「ひどいよね。勿論魔道具製作魔導士たちはミカエラの成績はいい方に賭けているし、私やヘラルド様も良い方にかけた。当然だけれどもまぁ、今のところ勝たせてもらっているから賭博のアガリはミカエラのお小遣いとして商業ギルド経由で入れておくよ。」
「あ、はい…じゃあこれだけで良いです。胃が辛いので帰って良いですか?」
「早い早い。」

 人の成績を使って賭博をする貴族ってなんだろ。そりゃ城勤で家族もいるから情報収集をして要るからなんだろうけれど…

「レフィラ嬢に殴られたり、虐められたり大変だね。放置しているみたいだけれども。」
「…あぁ、その件ですか。もうめんどくさいので…私は肩書きに必要な成績をとって義務は果たしますからそれ以降は当人のしたいようにしてもらおうかと思います。平民如きと侮ってお茶会ばかりしていたお嬢様方はその平民に成績抜かれてどのような気分なんでしょうね。どの面下げて見下げているのか本当に不思議です。」
「そういう頭の硬い家系だからね。さっさと婚姻してしまったら?」
「…私がそこまで結婚したいわけでもないですし。領地もらえたらで良いです。管理しきれませんから。」
「顔に面倒臭いって書いてあるな。領地は侯爵家の鉱山とその麓で王都よりの地域を予定している。背削る分侯爵家には新たに廃領地の管理を割増で渡す予定だ。」

 それにしても賭博は勝手にするし、人の成績情報を勝手に集めたりするし、情報収集と言われたらそこまでだけれどもそれはそれで酷くない????そして考えながらモリモリと食べていると勝手に私の報酬が送りつけるということらしい。

「拒否権あるんですか???」
「ミカエラ、渡した家では狭くなってきただろう?そろそろ貴族街に引っ越し考えたらどうだい?」
「管理しきれませんので結構です!家が狭くなるような物で高価なものを大量に送らないでください…」
「適宜売却すれば良かろう。」
「…」

 簡単に売れるわけないでしょう!!!!!!!と、言いたかった。項垂れて食事を食べているとまたお金や物がプレゼントされるらしい。困った。売るしかないのか。
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