出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

はまち

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166 試験結果

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 試験結果を見にいくのはとても胃が痛い。一年の総決算だからだ。それで留年かどうかが決まる。それが明日なのだから……辛い。

「試験結果だけですよね。」
「そうですけれど……全力投球しましたけれど、頑張りましたけれど。」

 お茶を飲みながらため息をつく。試験解答を返却されるのが総合成績を見た後にテストを引き取りに行く。留年の場合保護者に宛てたお手紙も添えられているらしい。まだ受けたことないけれど。不安だな。そう思いながらもたれかかる。抱き寄せられて頭を撫でられるまでが一連の流れでもはや抵抗も何もしない。

「なら大丈夫ですよ。義務ははたすと仰っていましたし、帰ってからも毎日勉強していたでしょう?」

 頭を撫でられても試験は終わってしまったわけで結果も出ている。あとはそれを確認するだけだ。ぬいぐるみのように抱きしめられて頭を撫でらる。家の中で当然のように眼帯を外している。アリアにも見られて良いのだろうか。いや、アリアも気付いているが何も言っていない。元々知っていたのだろうか。呪いのことは知らないだろうけれど、左右で色が違うから眼帯していたんだろうと納得したのかな。離れて寛ぐだけで自分のそばに引き寄せてくるから抵抗することをやめた。

「ミカエラの話を聞く限り来年の同級生はだいぶ削られていますね。」
「削られた側にならなきゃ良いですが。」
「大丈夫ですよ。」

 結果発表が張り出されているが……私が首席になっていた。そして居残りぐみ全員と一部の勉強をしていたのか最後の抵抗が報われた人間が残っていた。大半が落ちた。ワォ。でも上位貴族も留年している……

「ミカエラ主席ですね。」
「そうですね。これはまた上積み交渉ですか?」
「あるかもしれませんし、自動更新かもしれません。」
「ユーリ様に庶民感覚で上積み連絡をお願いしてもよろしですか?」

 周りから嘘だとか色々聞こえるし、青ざめる学生たちがいた。そして職員棟に殺到していた。自分の成績表も受け取るためにむかう。抗議とかで騒々しくなっているかと思ったが、学生がさらに青ざめていた。

「おや??リンドブルム大公がいらっしゃいますね。ミカエラは見えないでしょうが。」
「あぁ、イザーク。可愛い子が来ているのかい?」

 声がヘラルド様だ。ミカエラはイザークに抱き上げられてヘラルド様がこっちにきた。

「あぁ、私が送った衣装をちゃんと着てくれているね。サイズもちょうど良さそうだ。」

 おいで。と、イザークから奪うわけではないけれど、そういう感じでヘラルドに抱っこされていた。

「ちょ、ヘラルド様!?」

 抱き上げられて腕に座らされた。頭を撫でられた。学生が顎が外れるくらいに仰天していた。

「送ったものを着せ替え人形にしたかったけれどね。似合っている。成長期が終わっているからこれからも送りがいがあるものだよ。それと首席おめでとう。来年が楽しみだよ。」
「ど、努力いたします。おろしてください。」
「埋もれてしまいそうだからね。」

 下ろしてもらった。ため息をついて周りを見るが距離を取られた。なでなでと頭を撫でられたが上で手を払われた。

「とらないよ。ミカエラの結果だろう。よく勉強していたね。」

 はい。と、紙を渡された。イザーク様に渡して持っていてもらう。そそくさとそこから離れる。ミカエラはヘラルド様相手では文句も出ないのだろう。自分の命令に文句あるのか??という威圧らしい。多分。一年目が鬼授業で終わったけれど、来年はさらに忙しくなるのだろうか。と、思っていた。


 結果として大量の留年を出したある意味伝説的な年になるようだ。とりあえず家に戻り、ミカエラはどこが間違っていてあっているかを確認するが、アレックス様の講義は何も落としていなかった。他の科目でちらほらと点数を落としているところがあったがアレックス様の講義の点数の比重が大きいようだ。
 安堵して家でお茶を飲む。これで暫く何もない。仕事を少しだけ受けるべきだろうか。いや、仕事よりも趣味がいい。クズ石を加工して髪飾りにすべきか。

 着替えて作業場に向かう。エイスを最近使っていなかった。勉強による肩こり防止を作ろう。それなら片手間で作れる。多分来年さらに荒れる気がする。そう思いながらポテンと横になる。作業場だから1人でいれる。疲れた。

 仮眠用に長椅子をおいていたからそこで横になっていたけれど、寝ていたみたい。モフモフと何かを枕にしているみたいだ。身体を起こしてみると銀色の狼が枕になっていた。起きていた。狼の姿のまま身体を起こしてスンスンと鼻を寄せられた。顔をモミモミとすると穏やかな顔をしていた。

「体調不良ではないようですね。」

 人の姿になり抱きしめられた。そういうのではないので大人しく腕の中にいる。見上げると唇を塞がれた。

「よく頑張りましたね。何か欲しいものありますか?」
「しばらく勉強したくない。」
「イチャイチャしましょうね。」
「ヤです。」
「わかりました。もう少し寝ますか??ベッドの方がいいと思いますよ?」

 あくびをして抱きつくと抱き上げられて部屋に運んでもらうことに。ぐーたらする。
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