出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-

165 実技講習

えー本日は良い天気ではなく土砂降りの雨です。雨だからと登校しない学生がほとんどです。貴族ですからね。雨の日は出かけないことが多いようです。領主候補生課程は親や兄弟から事前に習って居ることが多いからと言い方悪いですが鼻ほじっていてもなんとかなると思っている学生が多いのも事実で立派な教師を雇えない下位の貴族の令嬢や令息が中心で休むことなく学園に来ていた。そしてアレックス様は良い笑顔をしていた。なぜか。補習を受けていた人間が出席していただけで他は悪天候だからと休んでいるからだ。

「事前に授業の日程は知らせていますし、その通りに行いますね。いつも居残りをされている方ばかりですからしっかりやっていきましょうか。」

　試験で死ぬぞ。舐めている人間。全員がそう思った。実際の運営とかで使う報告書や計算を行ったり、領地だけで効力の発生する法律の作り方、順序など細かく教えられた。理由としてはどこで不正が行われるかわからない。大抵の領主は王都に残って領政を残った人間に任せて自分は報告書を読むだけにすることが多く、その中で脱税や横領は起きる物なのでそれを見抜けなければ領主ではなく傀儡であると説明をされて危機感を持ちながら授業を受けなければならないと諭された。

　ミカエラは色々あるのだろうと思って質問などは控えていたが、それ以外の普通の教師だと思っている学生たちは質問をしていた。

「アレックス先生、これだけしていると後で上位貴族から反発などがあるのでは？？？」
「リンドブルム大公より上位の方より言われたらあり得るかもしれませんね。私のやり方を事前にリンドブルム大公にご確認ををいただいていますし、そういう指示を受けて教壇に立っていますからね。」
「敵対する家の令息や令嬢がいるのではないかと思いました。」
「……いるかもしれませんが、平等に見ていますよ。必要なのは真面目に努力している人間が相応に報われることですから。私は講義の日程や内容を事前に伝えて、試験範囲も講義で行ったこと。と伝えているのですから。それに文句を言われても困りますよね。」

　ヘラルド様から笑顔で地位にあぐらを描いている貴族の令息や令嬢の鼻っ柱をへし折ってこいとでも言われたのだろうか。そう感じるほどに清々しい笑顔をされている。私は詳しいことを聞かないで授業を真面目に受ける。これを学生に叩き込めるアレックス様の知識量もすごい。
　別日ではあるけれどレオンハルト様とユーリ様に講義でしている内容のノートを見てもらった。一度受けているであろう2人の感想を聞きたかったのだが、レオンハルト様は目を逸らして懐かしいね。と、言っているが、ここまで実践的ではないのだろう。ユーリ様はここまで理解しているなら即戦力になりそうだと感想を漏らしていたので経験者でなければ難しい内容なのだろう。

　ということもあるから家に帰っても親が質問に答えてくれないとぼやく学生たちには仕方ないと声をかけてあげたい。侯爵家のユーリ様が笑いながら真面目にしてないとわからなくなるほどに難易度の高い内容だと。私はずっと勉強をしていてもう嫌だという泣き言も封じられるほどにやるしかない内容だ。逃げれるなら逃げたいのにユーリ様からご褒美目録を見せられてやる気がみなぎっているので目の前の人参のために頑張るしかない。

　本当に舐め腐っている学生はどうするのだろう。落ちるぞ？？？いや、関係ないけれど。ミカエラはそう思いながらちゃんと理解を深めて本を読んでいる。
　仕事がないから良いけれど……これ仕事をしながらこの講義の内容だったら私確実に落ちていたと思う。

　テストの日程が近づいてくる。頭が痛い。さてと。どうしたものか。他の科目もあるけれど、この領主候補生改定の講義……本当にやばい。

　試験……難易度……やばい。これはかなり難しい。講義を真面目に受けていた。真面目に受けてきたのに……かなり難しい。問題数も多いしかなり難しい。確かに講義内容だけれども家庭教師がここまで教えているかわからない。真面目にしていた人間でもギリギリ時間内に書き上げた。受けていないあぐらを描いていた人間たちは青ざめていた。結果が楽しみである。

　文句を言っても雨の日に勝手に休んだのは休んだ人間の勝手。居残りで補習を求めた人間も青い顔をしていたが真っ青ではない。講義内容であるのは間違いない。

　これ試験結果……火を見るより明らかじゃないだろうか。一応すべて埋めたし、できる限りのことはちゃんとした。多分。留年にはならない。はず。どれだけ留年を出すつもりなのだろうか。アレックス様。まぁ筆記テストですべて判断すると最初に説明あったし。

　試験結果が怖いけれど楽しみでもある。もう、この科目の試験はもういい。アレックス様の授業はしばらくいい。そう思いながら試験を終わらせた。半年すごいあっという間に終わってしまった。