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191 着替えのために
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着替えのために馬車に乗って侯爵家に来た。事前連絡をしてないはずだが、快く迎えられていつもの別邸に通されて服は脱がされて全て奪われて浴槽に放り込まれた。準備が早い。魔力持ちの使用人が魔道具などを駆使してすぐに整えてくれたんだろうけれど……準備から何から何まで早い。有難いと思いながら湯船に浸かって全身マッサージまでフルコースを受ける。心地よくてトロンと溶ける。
「アリアはきちんと仕事をしていますか?」
「していますよ。適度に外に依頼をしたりしながら仕事はきちんとしてくれていますよ。ロマンス小説が本棚に増えてきているのでお給料をいい感じに使っていているみたいです。」
「そうなのですね。ご自宅には知らせておきましたのでおくつろぎください」
「お言葉に甘えさせていただきます。」
ミカエラは楽な部屋着で使い慣れた別邸のベッドでゴロゴロしたくなるのを堪えて一応別邸ないを歩き回れる衣装を纏う。それにしてもカリアス男爵は魅了に関しては気付いているから魔道具をつけているし、上層部は魅了が通じないのもわかっているだろうし、何がしたいのだろう。そう思いながらお茶を飲んで一息をつく。お茶をもらうけれど、お菓子は断っておく。さっき鶏肉を食べたばかりだ。
「ミカエラ様?」
「さっき学園で締めたての鳥が置かれていたので庭園で焼き鳥にして学友と食べたばかりでして。お茶だけで。」
「その焼き鳥の話を詳しく聞いても???」
レオンハルト様が私服で部屋に来た。笑顔がなんか怖いけれど。問題ないから席をすすめてお茶とおかわりを用意してもらってメイドたちには一度下がってもらう。イザーク様はユーリ様に報告しているのだろうか。
ミカエラはレオンハルトに聖女()とそこから発生した新興宗教に関しての話をしておく。魅了にかかっているだから有害ではあるけれど、次男三男や魔道具がない貴族だから経済力もたかが知れているので直接手を出すことはないが、それなりに迷惑はしていることを報告しておく。こういうことで嘘をつくよりはきちんと報告しておく必要があり、ミカエラは自分の主観と感想も合わせて説明をしておくと部屋の温度が徐々に下がっている気がする。私に関係ないのに部屋の温度を下げないでほしい。鳥肌が立っている。膝に掛けられていたブランケットを肩に羽織ってお茶を飲んで誤魔化す。
「ミカエラ?」
「急に部屋が冷えたので。」
「……ごめん。スープか新しいお茶を持って来させるね。」
暖炉を使う必要はないけれど上着とストールで防寒をしっかりして話をするが冷える。
「レオンハルト様、お怒りはわかりますが、ミカエラが風邪を拗らせます。」
イザークに指摘されて怒気と殺気が混ざり魔力が垂れ流しになっていた。ロズウェル侯爵家は水や風が多いがレオンハルトはユーリよりは持っている量は少ないし、本人も内包量こそあるが使いこなすより体を動かす方が得意なので最低限の制御だ。感情が大きく揺れると魔力が垂れ流しになる。レオンハルトの氷属性を帯びた魔力が垂れ流されて室温が氷室ほどに下がっている。
怒られてしょんぼりしたレオンハルトはユーリから怒られてこい。と言われて部屋から出された。イザークは毛布を出して暖炉に火をくべて暖炉の前に彼女を移動させて冷えてしまった身体を温めるようにする。
「大丈夫ですか?」
「レオンハルト様も魔力が多いんですね。」
「侯爵家の令息ですから普通に多いですよ。本人が魔力操作より騎士として剣を振るうことを得意としていましたし、繊細なことは苦手ですので。良くも悪くも大雑把です。夏場では騎士団で重宝されると大喜びされていましたし。」
人型製氷機だろうか。そんな認識でいいのだろうか。騎士団内でそういう呼び方や認識されていても信頼とかがあれば問題なかったりするのだろうか。
暖炉に手を伸ばして指先、足先を温めて随分冷えていたのだろう。と、改めて実感する。そう思っていると背もたれにするように引き倒された。
「む…」
「肌が乾燥しますから保湿するので顔だけこちらにかしてください。」
ぺたぺたと顔にスキンケアの薬を塗り塗りされて頬をもちもち維持される。そして髪、手足に暖炉前で座っているからと乾燥するところに塗りたくられた。ぬくぬく。もう十分だと思うのだけれども絨毯もふかふか。眠いと思いながらもたれかかり、あくびが出て来てしまった。
「ミカエラ?眠いなら眠ってしまっていいですよ。」
「ユーリ様は?」
「私から大雑把に伝えていますし、レオンハルト様が怒られた後にでも報告しているから大丈夫でしょう。」
そういう話をして眠いと思いながら素直に睡魔に負けてしまおうと思って腕の中に収まって眠る。
イザークは腕の中で眠ってしまった彼女を見つめて暖炉の火を消してベッドに寝かせておく。夕食前に起こして起きなかったらそのまま眠らせて軽食でも残しておくように指示を出した。
「アリアはきちんと仕事をしていますか?」
「していますよ。適度に外に依頼をしたりしながら仕事はきちんとしてくれていますよ。ロマンス小説が本棚に増えてきているのでお給料をいい感じに使っていているみたいです。」
「そうなのですね。ご自宅には知らせておきましたのでおくつろぎください」
「お言葉に甘えさせていただきます。」
ミカエラは楽な部屋着で使い慣れた別邸のベッドでゴロゴロしたくなるのを堪えて一応別邸ないを歩き回れる衣装を纏う。それにしてもカリアス男爵は魅了に関しては気付いているから魔道具をつけているし、上層部は魅了が通じないのもわかっているだろうし、何がしたいのだろう。そう思いながらお茶を飲んで一息をつく。お茶をもらうけれど、お菓子は断っておく。さっき鶏肉を食べたばかりだ。
「ミカエラ様?」
「さっき学園で締めたての鳥が置かれていたので庭園で焼き鳥にして学友と食べたばかりでして。お茶だけで。」
「その焼き鳥の話を詳しく聞いても???」
レオンハルト様が私服で部屋に来た。笑顔がなんか怖いけれど。問題ないから席をすすめてお茶とおかわりを用意してもらってメイドたちには一度下がってもらう。イザーク様はユーリ様に報告しているのだろうか。
ミカエラはレオンハルトに聖女()とそこから発生した新興宗教に関しての話をしておく。魅了にかかっているだから有害ではあるけれど、次男三男や魔道具がない貴族だから経済力もたかが知れているので直接手を出すことはないが、それなりに迷惑はしていることを報告しておく。こういうことで嘘をつくよりはきちんと報告しておく必要があり、ミカエラは自分の主観と感想も合わせて説明をしておくと部屋の温度が徐々に下がっている気がする。私に関係ないのに部屋の温度を下げないでほしい。鳥肌が立っている。膝に掛けられていたブランケットを肩に羽織ってお茶を飲んで誤魔化す。
「ミカエラ?」
「急に部屋が冷えたので。」
「……ごめん。スープか新しいお茶を持って来させるね。」
暖炉を使う必要はないけれど上着とストールで防寒をしっかりして話をするが冷える。
「レオンハルト様、お怒りはわかりますが、ミカエラが風邪を拗らせます。」
イザークに指摘されて怒気と殺気が混ざり魔力が垂れ流しになっていた。ロズウェル侯爵家は水や風が多いがレオンハルトはユーリよりは持っている量は少ないし、本人も内包量こそあるが使いこなすより体を動かす方が得意なので最低限の制御だ。感情が大きく揺れると魔力が垂れ流しになる。レオンハルトの氷属性を帯びた魔力が垂れ流されて室温が氷室ほどに下がっている。
怒られてしょんぼりしたレオンハルトはユーリから怒られてこい。と言われて部屋から出された。イザークは毛布を出して暖炉に火をくべて暖炉の前に彼女を移動させて冷えてしまった身体を温めるようにする。
「大丈夫ですか?」
「レオンハルト様も魔力が多いんですね。」
「侯爵家の令息ですから普通に多いですよ。本人が魔力操作より騎士として剣を振るうことを得意としていましたし、繊細なことは苦手ですので。良くも悪くも大雑把です。夏場では騎士団で重宝されると大喜びされていましたし。」
人型製氷機だろうか。そんな認識でいいのだろうか。騎士団内でそういう呼び方や認識されていても信頼とかがあれば問題なかったりするのだろうか。
暖炉に手を伸ばして指先、足先を温めて随分冷えていたのだろう。と、改めて実感する。そう思っていると背もたれにするように引き倒された。
「む…」
「肌が乾燥しますから保湿するので顔だけこちらにかしてください。」
ぺたぺたと顔にスキンケアの薬を塗り塗りされて頬をもちもち維持される。そして髪、手足に暖炉前で座っているからと乾燥するところに塗りたくられた。ぬくぬく。もう十分だと思うのだけれども絨毯もふかふか。眠いと思いながらもたれかかり、あくびが出て来てしまった。
「ミカエラ?眠いなら眠ってしまっていいですよ。」
「ユーリ様は?」
「私から大雑把に伝えていますし、レオンハルト様が怒られた後にでも報告しているから大丈夫でしょう。」
そういう話をして眠いと思いながら素直に睡魔に負けてしまおうと思って腕の中に収まって眠る。
イザークは腕の中で眠ってしまった彼女を見つめて暖炉の火を消してベッドに寝かせておく。夕食前に起こして起きなかったらそのまま眠らせて軽食でも残しておくように指示を出した。
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