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【ペット契約】始まります ⑥

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「大丈夫ですか?」


 頬に付いた髪を取り払いながら、課長は静かに聞いた。課長の声は浴室に反響せず、さっきの私の甘ったるい鳴き声が、まだふわふわと残っている。


「……はい」

「良かった。まだ夜は長いですから。少し休みましょう」

「まだ……?」

「ここでお預けをくらうのは、私も少し辛いんですよ」


 課長は私の手を取り、自身の下腹部に導いた。そこには硬くそそり立った課長の屹立があった。


「コレで、たっぷり貫いてあげますから……」


 その言葉にびくっと震えていると、私の様子をまじまじと見つめていた副島課長はうっとりとした笑みを浮かべた。


「……少し触ってもらってもいいですか?」

「え……? あの、コレをですか?」

「そう、軽く握って、上下に擦る感じで……」


 副島課長の言葉の通り、かたく張り詰める陰茎を私は弱弱しく握る。それだけでも課長にとっては強い刺激だったらしく、はあ……と熱っぽいため息をついた。
課長の屹立は、お風呂のお湯がぬるく感じるくらい熱い。付け根から亀頭まで上下にしごき、指が裏筋にかかるたびに課長の体は細かく震える。少し膨らんだカリは柔らかく、鈴口からはぬるっとした先走り液が次々と溢れ出る。
 コレが、あの日、会社の書庫で私を貫いていたのだと思うと、私も課長のように熱い吐息を吐いていた。


「……ストップ」


 課長は私の腕をつかんで、一層淫靡になっていく私の動きを止めた。


「え……?」

「……これ以上されたら、出てしまいます」

「あ……ごめんなさい……」

「いいえ……のぼせると悪いので、先に上がっていてください。私も体を洗ったらすぐに出るので」

「わ、かりました」


 湯船から出る、足腰にうまく力が入らなくて少しふらふらの足取りのまま脱衣所に向かった。備え付けのバスタオルをかごから出して、体を軽くふいてからそのまま巻き付けた。
ほっと一息ついていると、ドアに立てかけるよう白い紙袋が置いてあった。
悪い予感がする……。畳みかける様な虫の知らせが、私の体中をぞわぞわと駆け抜けていった。
 その私の気配を読み取ったのか、浴室から副島課長が声を張り上げた。


「木下さん、ソレ、着て待っていてください」


 課長が「ソレ」と言ったのは、紙袋に入っている……書庫での情事に使われたあのバニーコスチュームのことだった。ストッキングはこの前課長が破いてしまったので入っていないが、あのレオタードとウサ耳はそっくりそのままだった。


「ソレ、ちゃんと洗ってありますから、安心してくださいね」

「……は、はい……」


 コスチュームは一度洗濯されたせいか、少し生地が伸びてしまっていて……胸を覆う部分が緩くなっていてすぐにずるっと落ちてしまいそうだ。うさ耳のカチューシャをつけて、胸を押さえながら脱衣所を出て部屋に向かう。
ベッドの横にある鏡が私の姿を映し出す。……これから、この姿のまま、また課長に抱かれるのかと思うと喉がなり、心がきゅっと締め付けられた。胸を押さえている手に、胸の高鳴りがドキドキと伝わってくる。甘い劣情が心臓のポンプから押し出されて、体中をめぐっていく。先ほどの愛撫ですっかり熟れきった私の秘部も、またじんわりと潤い始めている。
 私は、もう一度鏡を見た。その表情はすっかりとろけきっていて……まるで……。


「ずいぶん愛らしい表情ですね」

「ひゃあ!」


 脱衣所のドアが開き、バスローブを着た課長が姿をあらわす。……私には、こんなに恥ずかしい格好をさせるのに、自分だけはきっちり腰ひもを巻いたバスローブなんて、少しずるい。課長は冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出し、二つのグラスに注いでいく。


「木下さんも、どうぞ」

「ありがとう、ございます……」


 差し出されたコップを受け取り、少しだけ飲む。冷たい水がおなかに落ちて、火照った体を少しだけ冷やしてくれた。


「木下さん、ベッドに」

「も、もうですか?」

「ええ、我慢できそうにありません。ベッドに寝転んで」


 課長は熱を帯びた目つきで私を見つめた。それが再び私の中の劣情のスイッチを押し、逆らうことができなくなった私は言われた通りベッドに横たわった。左側にある鏡を見ると、目を潤ませる私自身と目が合う。課長はすっと私の頬を撫でた、その手もすっかり熱を持っていて、熱い。
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