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2話
2話 ②
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「声がでけーんだよ」
運転手は後部座席のドアを開け、加州さんは私をそこに座らせた。
「そうだ、玄関にあったスーツケース。あれは莉乃のか?」
「はい、そうです……」
「フジイ、取ってこい」
「はい! わかりました!」
フジイ、と呼ばれた運転手は飛んでいくように玄関に入っていく。加州さんはその後姿を見ながら「だから、声がでかいんだよ」と小さな声で文句を言っていた。
「あの、これからどこへ……?」
「俺の家。莉乃は、今日からそこで暮らすんだ」
「きゅ、急にそんな事を言われても困ります!」
「言っただろ? お前は、俺のモノになったんだ。一緒に暮らすのは当たり前だ」
有無を言わせない彼の言葉に、私は押し黙ってしまう。けれど、それについて納得したわけじゃない。車のトランクが閉まる音が聞こえて、フジイという男性が戻ってきた。
「車出しますね」
彼はそう告げると、車はあっという間に斉藤さん宅から離れていった。出ていけと言われてから数時間、まさかこんなことになるとは思わなかった。私は隣に座る加州さんを見つめると、彼は相変わらず涼しい顔をしている。
「あの、あなたは、一体何者なんですか……?」
私が恐る恐るそう尋ねるが、彼は私のことをちらりと一瞥するだけだった。フジイさんは私たちの様子を見て、小さく噴き出していた。
「何笑ってんだ、お前」
「いや。暁生さんは相変わらず自分の事はお話にならないなと思って」
ヤルことはヤッてきたみたいですけど、とそう付け加えて彼はバックミラーでちらりと私を見た。恥ずかしくなって、とっさに顔を伏せる。それを見て、またフジイさんは笑う。
「暁生さんは加州組組長の一人息子で、次期後継ぎってやつです」
「おい、フジイ」
「言っておいた方がいいでしょう、こういうことは」
彼の刺青を見た時からうすうす分かっていたけれど、やはり彼はヤクザだったみたいだ。しかも、組長の息子だなんだ……恐ろしくて、背筋が震える。
「でもこのご時世、ヤクザも締め付けが厳しいですから……表向きは経営者っていうことになってますけどね。バーやクラブ、居酒屋を複数店舗持っている、中々のやり手ですよ」
私が怯えているのに気づいていないようで、フジイさんは話を続ける。彼が例にあげたクラブの中には、以前琴音さんと一緒に遊びに行った場所も含まれていた。
車はあっという間に、高級高層マンションの地下駐車場にたどり着いていた。ドアが開き、私は加州さんに再び抱き上げられる。
「靴がないからな」
と、彼はそう呟く。見上げると彼の顔が近くて、どうしても心臓がざわめいてしまった。それが恐怖なのか、情に流されてしまっているのか、混乱している今の私にはそれが判別できなかった。車のトランクからフジイさんがスーツケースを取り出して、私たちはエレベーターに向かっていた。エレベーターはどんどん高層階に向かっていき、外の景色を見ると、地上は遠ざかっていくのが分かった。
「ここが俺の家だ。今日からは、お前の家でもある」
加州さんは私を抱き上げたまま、ある一室を開けていく。
「ここが、お前の部屋」
「え、私の部屋ですか?!」
「必要だろ」
彼は小さく「よいしょ」と呟いて、私を下ろした。ベージュ色のカーテンに、同じようにベージュのカバーがかかったベッド、こじんまりとしたドレッサー。とてもシンプルな部屋だけど、実家にあった私の部屋よりきれいだし、何よりも広い。
運転手は後部座席のドアを開け、加州さんは私をそこに座らせた。
「そうだ、玄関にあったスーツケース。あれは莉乃のか?」
「はい、そうです……」
「フジイ、取ってこい」
「はい! わかりました!」
フジイ、と呼ばれた運転手は飛んでいくように玄関に入っていく。加州さんはその後姿を見ながら「だから、声がでかいんだよ」と小さな声で文句を言っていた。
「あの、これからどこへ……?」
「俺の家。莉乃は、今日からそこで暮らすんだ」
「きゅ、急にそんな事を言われても困ります!」
「言っただろ? お前は、俺のモノになったんだ。一緒に暮らすのは当たり前だ」
有無を言わせない彼の言葉に、私は押し黙ってしまう。けれど、それについて納得したわけじゃない。車のトランクが閉まる音が聞こえて、フジイという男性が戻ってきた。
「車出しますね」
彼はそう告げると、車はあっという間に斉藤さん宅から離れていった。出ていけと言われてから数時間、まさかこんなことになるとは思わなかった。私は隣に座る加州さんを見つめると、彼は相変わらず涼しい顔をしている。
「あの、あなたは、一体何者なんですか……?」
私が恐る恐るそう尋ねるが、彼は私のことをちらりと一瞥するだけだった。フジイさんは私たちの様子を見て、小さく噴き出していた。
「何笑ってんだ、お前」
「いや。暁生さんは相変わらず自分の事はお話にならないなと思って」
ヤルことはヤッてきたみたいですけど、とそう付け加えて彼はバックミラーでちらりと私を見た。恥ずかしくなって、とっさに顔を伏せる。それを見て、またフジイさんは笑う。
「暁生さんは加州組組長の一人息子で、次期後継ぎってやつです」
「おい、フジイ」
「言っておいた方がいいでしょう、こういうことは」
彼の刺青を見た時からうすうす分かっていたけれど、やはり彼はヤクザだったみたいだ。しかも、組長の息子だなんだ……恐ろしくて、背筋が震える。
「でもこのご時世、ヤクザも締め付けが厳しいですから……表向きは経営者っていうことになってますけどね。バーやクラブ、居酒屋を複数店舗持っている、中々のやり手ですよ」
私が怯えているのに気づいていないようで、フジイさんは話を続ける。彼が例にあげたクラブの中には、以前琴音さんと一緒に遊びに行った場所も含まれていた。
車はあっという間に、高級高層マンションの地下駐車場にたどり着いていた。ドアが開き、私は加州さんに再び抱き上げられる。
「靴がないからな」
と、彼はそう呟く。見上げると彼の顔が近くて、どうしても心臓がざわめいてしまった。それが恐怖なのか、情に流されてしまっているのか、混乱している今の私にはそれが判別できなかった。車のトランクからフジイさんがスーツケースを取り出して、私たちはエレベーターに向かっていた。エレベーターはどんどん高層階に向かっていき、外の景色を見ると、地上は遠ざかっていくのが分かった。
「ここが俺の家だ。今日からは、お前の家でもある」
加州さんは私を抱き上げたまま、ある一室を開けていく。
「ここが、お前の部屋」
「え、私の部屋ですか?!」
「必要だろ」
彼は小さく「よいしょ」と呟いて、私を下ろした。ベージュ色のカーテンに、同じようにベージュのカバーがかかったベッド、こじんまりとしたドレッサー。とてもシンプルな部屋だけど、実家にあった私の部屋よりきれいだし、何よりも広い。
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