11 / 35
2話
2話 ④
生まれて初めて、男の人の劣情に流された。
どれだけ抵抗しても体の自由を奪われ、口づけされたところはまるで火がともされたみたいに熱くなって、彼の大きな手が私の体を這いまわるたびに、感じたことのない刺激が頭を揺らす。
自分の口から漏れる声が、まるで私自身のものとは思えないくらい甘くなっていった。初めは乱暴のように思えた彼の手付きが、徐々に優しくなっていくのが分かった。今まで自分でも触れたことのない場所に、彼の長い指が触れ、生暖かい舌で舐められて、唇で触れられる。その度に、私の体がびくりと跳ねてしまう。頭の中は何度も雷が落ちたみたいにビリビリと痺れて、息絶え絶えになって、体から力が抜けていく。
その度に、彼は私の耳元で囁くのだ。
「いい子だ。かわいいな、お前は」
それを思い出すと、顔がカーッと熱くなっていった。私は頭を振ってその残像を払おうとしたけれど、一度思い出してしまったものは、簡単に消えてはくれない。
私の体が彼を受け入れる準備が整った時、彼はもう一度こう言った。
「これで……正真正銘、お前は俺のモノだ」
そして、彼自身が私の体の中心に突き立てられていく。痛みもあったけれど、私はそれを嫌だと思わなかった。まるでそれが自然のことなのだと、体も心も、いつの間にか彼を受け入れてしまったみたいだった。
「……変なの」
初対面の男性に半ば無理やり抱かれても嫌だと思わない私も、こんな私を自分のモノにしようとする彼も、何もかもおかしい。帰ってきたら、ちゃんと話を聞かないと……私は久しぶりのお風呂にじっくりと浸かりながら、そう決意を新たにしていた。
そう、加州さんが帰ってきたらちゃんと話をしてみよう。……しかし、あれ以来、彼と遭遇できる機会はほとんどなかった。
まず、彼が帰ってくるのはいつも深夜だった。私は寝ないように頑張ってリビングで待っていたけれど、いつの間にか眠ってしまい……加州さんが運んでくれたのか、朝目覚めた時はベッドに横になっている。もちろん、その時には加州さんはもう外出してしまっている。
それなら、今度は朝早く目覚めて彼が出かける前に捕まえよう……と思ったけれど、夜が明ける前にフジイさんが迎えに来て、彼は足早に出かけて行ってしまうことも多々あった。
そういう訳で、このマンションに連れてこられて数日、私は彼と全く話をしていない。
「……忙しいんだよね、きっと」
ヤクザといえども、フジイさんがバーやクラブに経営もしていると話していた。想像するしかできないけれど、こんなに家にいないなんて、もともと目が回るくらい忙しい人なのだろう。
私はそんな事を考えながら、夕食の支度を始める。加州さんのお言葉に甘えて、台所を勝手に使わせてもらっている。冷蔵庫の中には食材なんてものはなかった(お酒やゼリー飲料くらいしか入っていなかった)ので、タブレットとクレジットカードも借りて、食材も宅配購入した。そのお礼も言いたかったのに、加州さんには声をかける暇もない。
(もしかして、ずっとこうなのかも)
そんな不安が胸をよぎったとき、玄関のドアが開く音が聞こえた。加州さんだと思って慌てて廊下に出るが、靴を脱いでいたのはフジイさんだった。
「あ、莉乃さん、コンバンハ」
「こんばんは……あの、加州さんは?」
「暁生さんですか? 今日は忙しくて泊まりになるから、着替えを持って来いって言われまして……あとついでにクリーニングするものも。莉乃さんの着てた喪服、持って行っていいですか?」
私は喪服を用意して、フジイさんが持ってきたランドリー袋に入れた。その中にはすでに何着かのスーツやワイシャツが入っていた。ふとフジイさんの顔を見ると、目の下にうっすらと隈が出来ているのがわかる。
「お忙しいんですか?」
どれだけ抵抗しても体の自由を奪われ、口づけされたところはまるで火がともされたみたいに熱くなって、彼の大きな手が私の体を這いまわるたびに、感じたことのない刺激が頭を揺らす。
自分の口から漏れる声が、まるで私自身のものとは思えないくらい甘くなっていった。初めは乱暴のように思えた彼の手付きが、徐々に優しくなっていくのが分かった。今まで自分でも触れたことのない場所に、彼の長い指が触れ、生暖かい舌で舐められて、唇で触れられる。その度に、私の体がびくりと跳ねてしまう。頭の中は何度も雷が落ちたみたいにビリビリと痺れて、息絶え絶えになって、体から力が抜けていく。
その度に、彼は私の耳元で囁くのだ。
「いい子だ。かわいいな、お前は」
それを思い出すと、顔がカーッと熱くなっていった。私は頭を振ってその残像を払おうとしたけれど、一度思い出してしまったものは、簡単に消えてはくれない。
私の体が彼を受け入れる準備が整った時、彼はもう一度こう言った。
「これで……正真正銘、お前は俺のモノだ」
そして、彼自身が私の体の中心に突き立てられていく。痛みもあったけれど、私はそれを嫌だと思わなかった。まるでそれが自然のことなのだと、体も心も、いつの間にか彼を受け入れてしまったみたいだった。
「……変なの」
初対面の男性に半ば無理やり抱かれても嫌だと思わない私も、こんな私を自分のモノにしようとする彼も、何もかもおかしい。帰ってきたら、ちゃんと話を聞かないと……私は久しぶりのお風呂にじっくりと浸かりながら、そう決意を新たにしていた。
そう、加州さんが帰ってきたらちゃんと話をしてみよう。……しかし、あれ以来、彼と遭遇できる機会はほとんどなかった。
まず、彼が帰ってくるのはいつも深夜だった。私は寝ないように頑張ってリビングで待っていたけれど、いつの間にか眠ってしまい……加州さんが運んでくれたのか、朝目覚めた時はベッドに横になっている。もちろん、その時には加州さんはもう外出してしまっている。
それなら、今度は朝早く目覚めて彼が出かける前に捕まえよう……と思ったけれど、夜が明ける前にフジイさんが迎えに来て、彼は足早に出かけて行ってしまうことも多々あった。
そういう訳で、このマンションに連れてこられて数日、私は彼と全く話をしていない。
「……忙しいんだよね、きっと」
ヤクザといえども、フジイさんがバーやクラブに経営もしていると話していた。想像するしかできないけれど、こんなに家にいないなんて、もともと目が回るくらい忙しい人なのだろう。
私はそんな事を考えながら、夕食の支度を始める。加州さんのお言葉に甘えて、台所を勝手に使わせてもらっている。冷蔵庫の中には食材なんてものはなかった(お酒やゼリー飲料くらいしか入っていなかった)ので、タブレットとクレジットカードも借りて、食材も宅配購入した。そのお礼も言いたかったのに、加州さんには声をかける暇もない。
(もしかして、ずっとこうなのかも)
そんな不安が胸をよぎったとき、玄関のドアが開く音が聞こえた。加州さんだと思って慌てて廊下に出るが、靴を脱いでいたのはフジイさんだった。
「あ、莉乃さん、コンバンハ」
「こんばんは……あの、加州さんは?」
「暁生さんですか? 今日は忙しくて泊まりになるから、着替えを持って来いって言われまして……あとついでにクリーニングするものも。莉乃さんの着てた喪服、持って行っていいですか?」
私は喪服を用意して、フジイさんが持ってきたランドリー袋に入れた。その中にはすでに何着かのスーツやワイシャツが入っていた。ふとフジイさんの顔を見ると、目の下にうっすらと隈が出来ているのがわかる。
「お忙しいんですか?」
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団の異色男子
ジャスティン・レスターの意外なお話
矢代木の実(23歳)
借金地獄の元カレから身をひそめるため
友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ
今はネットカフェを放浪中
「もしかして、君って、家出少女??」
ある日、ビルの駐車場をうろついてたら
金髪のイケメンの外人さんに
声をかけられました
「寝るとこないないなら、俺ん家に来る?
あ、俺は、ここの27階で働いてる
ジャスティンって言うんだ」
「………あ、でも」
「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は…
女の子には興味はないから」