愛以上、恋未満 ―処女未亡人は、危険なオトコの愛欲に溺れる―

indi子/金色魚々子

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4話

4話 ①

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 シャワーが流れる音で目が覚めた。加州さんが帰って来ているみたいだ、私はベッドから起き上がって、パジャマからちゃんとした服に着替える。やっぱり、気の抜けたような格好で彼の前に出るのは少し恥ずかしい。……例え、それ以上恥ずかしい姿を何度も見られているとしても。

 彼はまだ浴室から出てこない様子なので、私は朝食を二人分用意することにした。ハムエッグとサラダ、トーストにスープ、それらをテーブルに並べたのとほぼ同時に、加州さんはタオルで頭を拭きながらリビングにやってきた。

「莉乃、起きていたのか」
「はい。おはようございます、加州さん」
「おはよう。……なんだか、立派な朝食だな」
「もしお時間あれば、召し上がって行ってください」

 きっと今日も仕事に行ってしまうのだろう、その前に話をしておかなくちゃ……そう思っていたら、テーブルに着いた加州さんが先に口を開いた。

「莉乃、今日何か予定はあるか?」
「へ?」

 突然そう聞かれて、間の抜けた変な声が出てしまう。

「この前の友人に会うとか、出かける予定だったとか」
「いえ、何もないですけど」
「それなら、今日は一緒に出掛けよう」

 加州さんは笑みを見せる。まるで少年のような屈託のなさに、ドキリと心臓が跳ねたのが分かった。

「でも、加州さん、お仕事があるんじゃ」
「だいぶ落ち着いたから、今日は休みにした。莉乃の事を一人きりにしていたから、今日は埋め合わせだ。そうだ、何か欲しいものはないか? これがなくて困っているとか……」

 私は首をひねる。そんな事言われても、急には思いつかない。私が悩んでいるのを見て、加州さんは矢継ぎ早に声をかけてきた。

「服とか靴とか、化粧品とか、アクセサリーもいいな。莉乃が欲しいもの、何だって言ってくれ」

 私は首を傾げながら、リビングを見渡す。キッチンが目に入ったとき、思わず「あ」と声が出てしまった。

「何かあったか?」

 加州さんは身を乗り出す。

「今すぐっていう訳じゃないんですけど……もう少し大きめの鍋とかフライパンとかあったら便利かなって……」

 加州さんが一人で暮らしていたこの部屋にある調理雑貨は、必要最低限なものだけだった。小さな片手鍋と小さなフライパン。使われた形跡がほとんどなかったそれらは、私一人で過ごす分には十分だった。けれど、今日みたいに二人分の食事を作るには小さすぎる。……私がいつまでここにいるのかは、全く分からないけれど。

 私がそう言うと、加州さんは満足そうに笑った。

「よし! 今日はそれを買いに行こう」

 今日の予定が決まってご満悦なのか、ようやっと加州さんは「いただきます」と言って朝食に手を付けた。
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