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2章 呪われた炎
第26話 双子メイドのスキルについて
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リキュールチョコの酔いがさめて、ピャーねぇが目を覚ましたら、僕たちは、ピャーねぇのことをめいいっぱい接待した。酔わせてスキルを授与させた罪悪感を少しでも紛らわすためだ、というのは、正直自覚していた。
最初ピャーねぇは不思議そうにしていたが、途中から「お誕生日の予行練習かしらー!」と都合の良い勘違いを始めて上機嫌になってくれた。
可愛かったので頭を撫でたい気分だったが自重して、つい先ほど、自宅まで送り届けたところだ。
そして、すっかり空も暗くなった時間、自宅にて作戦会議がはじまる。会議の参加者は、僕と僕の従者3人だ。ダイニングテーブルを囲んで、僕の隣にカリン、正面に双子メイドが座っている。
「じゃあ、ディセとセッテのスキルについて、どんな力があるか確認しようか」
「はい!」
「うん!」
「スキルが発現したあとは、鑑定してもらわなくても、なんとなく何ができるか感じとれると思うんだけど、2人はどうかな?」
僕は自分の経験をもとに2人に確認する。
「ディセは!物を浮かせれると思います!」
「えっとえっと!セッテは!みんなを元気にできると思うよ!」
「ふむふむ、なるほど?じゃあ、ディセからスキルを見せてくれるかな?まずは、このカップとか浮かせれそう?」
僕は、空のティーカップをディセの前に差し出す。
「はい!やってみます!」
ディセが緊張した面持ちで両手を前に出す。
「むむむ……グラビティ」
そして、集中した顔をしながら、呪文を唱えると、ゆっくりとティーカップが上昇し、ディセの顔の高さくらいまで上がり、ふわふわと浮き続けた。
「わぁー!」
「おねえちゃんすごい!」
「ホントだね!すごいぞ!ディセ!」
「ありがとうございます!」
僕が褒めると笑顔で頭を下げるディセ。すると、ティーカップが机に向かって降下する。僕は、机に落ちるギリギリのところでそれをキャッチした。
「あっ!ごめんなさい、ジュナ様……」
「ううん、大丈夫。ディセの重力魔法は、目を離すと効果が切れるのかな?」
「それか、集中が切れると、効果も切れるのかもしれませんね」
とカリン
「たしかに、そのあたりは、後でもうちょっと実験してみようか」
「はい!わかりました!」
「じゃあ、次はセッテ、お願いできるかな?」
「うん!えっとえっと」
セッテは〈みんなを元気にできる〉と言っていた。つまり、治癒魔法が使えるのだろうか?
「あ、僕が軽く、」怪我でもしてみようか?と言い出す前にタタタっと台所に走っていくセッテ。どうしたんだろう?
「これ!この子を元気にします!」
セッテが持ってきたのは、プチトマトを育てている小さな鉢だった。緑色の実がなってはいるが、ところどころ葉っぱに元気がない。
「ほほう?」
セッテは鉢植えを机に置くと、「うーん!元気になぁれ!元気になぁれ!」とメイド喫茶ばりの呪文を唱える。すぐにセッテの両手から緑の光が発せられ、その光はプチトマトに吸収されていった。すると、元気がなかったプチトマトの葉っぱが綺麗な緑色になり、緑色だったプチトマトの実が薄い赤色になる。
「おぉ~、これはすごいね」
「セッテすごい!」
「えへへ!そうかな!」
「うん、スゴいね!ディセもセッテもすごい才能の持ち主だ!」
「なるほど、セッテは治癒魔法でしょうか?だとすると、人間の傷が治せるかも実験しないとですね」
テンションが上がっている僕らに対して、カリンは冷静だ。顎に手を当ててセッテのスキルを分析しはじめた。
「だね、じゃあ僕が適当にナイフで傷を」
「それはダメ!」
「ダメです!」
「ご自愛ください、ご主人様」
僕が腰の短剣を取り出すと、みんなに反対される。
「でも、それじゃあ実験できないよ?」
「私がやります。短剣を渡してください」
僕の方に手のひらを差し出すカリン。
「ダメだ。カリンは女の子だろ」
「女の子……ふふ。……いえ、その前に私はご主人様の従者です」
「逆だよ。カリンは僕の従者の前に女の子だ。怪我はさせられない」
「ご主人様……カリンは、幸せです……」
「……」
なんだか、カリンの目がハートになりかけてる気がするが見なかったことにする。
「あー……Bランクの治癒魔法って、どれくらいの怪我まで治せるんだろうね?」
「ディセたちが調べてきます!」
「うん、お願い。その結果を聞いてから、僕の身体を使って実験してみよう。これは決定事項だ」
また3人が顔を歪めるので、強引に話を終わらせる。
「じゃ、ディセの重力魔法の実験をしようか。どれくらいの重さまで浮かせられるか、何個まで同時に動かせるか、色々試すことはあるぞ」
「はい!ディセがんばります!」
そして、夜遅くまでディセの重力魔法の実験は続いた。
♢
実験によって判明したディセの重力魔法の効果だが、まず、大人2人くらいなら同時に浮かせられることがわかった。
小さいものなら、5つまでは同時に動かせるようだが、重い物になると、4つ、3つと動かせる数が減っていく。つまり、数の上限値と重さの上限値が決まっているようだ。あと、一度浮かせてしまえば、目を離しても継続して動かせるようだが、自分が離れすぎると効果が切れてしまう。
それに、最初から何も見ずにイメージだけで物を浮かせることはできない。あくまで一度浮かせてから、集中を切らさずに目を離すのはいける、という能力らしい。
ディセの能力はだいたいわかったので、セッテの治癒魔法の実験は、治癒魔法について詳しく調べてから行おうという話になった。
最初ピャーねぇは不思議そうにしていたが、途中から「お誕生日の予行練習かしらー!」と都合の良い勘違いを始めて上機嫌になってくれた。
可愛かったので頭を撫でたい気分だったが自重して、つい先ほど、自宅まで送り届けたところだ。
そして、すっかり空も暗くなった時間、自宅にて作戦会議がはじまる。会議の参加者は、僕と僕の従者3人だ。ダイニングテーブルを囲んで、僕の隣にカリン、正面に双子メイドが座っている。
「じゃあ、ディセとセッテのスキルについて、どんな力があるか確認しようか」
「はい!」
「うん!」
「スキルが発現したあとは、鑑定してもらわなくても、なんとなく何ができるか感じとれると思うんだけど、2人はどうかな?」
僕は自分の経験をもとに2人に確認する。
「ディセは!物を浮かせれると思います!」
「えっとえっと!セッテは!みんなを元気にできると思うよ!」
「ふむふむ、なるほど?じゃあ、ディセからスキルを見せてくれるかな?まずは、このカップとか浮かせれそう?」
僕は、空のティーカップをディセの前に差し出す。
「はい!やってみます!」
ディセが緊張した面持ちで両手を前に出す。
「むむむ……グラビティ」
そして、集中した顔をしながら、呪文を唱えると、ゆっくりとティーカップが上昇し、ディセの顔の高さくらいまで上がり、ふわふわと浮き続けた。
「わぁー!」
「おねえちゃんすごい!」
「ホントだね!すごいぞ!ディセ!」
「ありがとうございます!」
僕が褒めると笑顔で頭を下げるディセ。すると、ティーカップが机に向かって降下する。僕は、机に落ちるギリギリのところでそれをキャッチした。
「あっ!ごめんなさい、ジュナ様……」
「ううん、大丈夫。ディセの重力魔法は、目を離すと効果が切れるのかな?」
「それか、集中が切れると、効果も切れるのかもしれませんね」
とカリン
「たしかに、そのあたりは、後でもうちょっと実験してみようか」
「はい!わかりました!」
「じゃあ、次はセッテ、お願いできるかな?」
「うん!えっとえっと」
セッテは〈みんなを元気にできる〉と言っていた。つまり、治癒魔法が使えるのだろうか?
「あ、僕が軽く、」怪我でもしてみようか?と言い出す前にタタタっと台所に走っていくセッテ。どうしたんだろう?
「これ!この子を元気にします!」
セッテが持ってきたのは、プチトマトを育てている小さな鉢だった。緑色の実がなってはいるが、ところどころ葉っぱに元気がない。
「ほほう?」
セッテは鉢植えを机に置くと、「うーん!元気になぁれ!元気になぁれ!」とメイド喫茶ばりの呪文を唱える。すぐにセッテの両手から緑の光が発せられ、その光はプチトマトに吸収されていった。すると、元気がなかったプチトマトの葉っぱが綺麗な緑色になり、緑色だったプチトマトの実が薄い赤色になる。
「おぉ~、これはすごいね」
「セッテすごい!」
「えへへ!そうかな!」
「うん、スゴいね!ディセもセッテもすごい才能の持ち主だ!」
「なるほど、セッテは治癒魔法でしょうか?だとすると、人間の傷が治せるかも実験しないとですね」
テンションが上がっている僕らに対して、カリンは冷静だ。顎に手を当ててセッテのスキルを分析しはじめた。
「だね、じゃあ僕が適当にナイフで傷を」
「それはダメ!」
「ダメです!」
「ご自愛ください、ご主人様」
僕が腰の短剣を取り出すと、みんなに反対される。
「でも、それじゃあ実験できないよ?」
「私がやります。短剣を渡してください」
僕の方に手のひらを差し出すカリン。
「ダメだ。カリンは女の子だろ」
「女の子……ふふ。……いえ、その前に私はご主人様の従者です」
「逆だよ。カリンは僕の従者の前に女の子だ。怪我はさせられない」
「ご主人様……カリンは、幸せです……」
「……」
なんだか、カリンの目がハートになりかけてる気がするが見なかったことにする。
「あー……Bランクの治癒魔法って、どれくらいの怪我まで治せるんだろうね?」
「ディセたちが調べてきます!」
「うん、お願い。その結果を聞いてから、僕の身体を使って実験してみよう。これは決定事項だ」
また3人が顔を歪めるので、強引に話を終わらせる。
「じゃ、ディセの重力魔法の実験をしようか。どれくらいの重さまで浮かせられるか、何個まで同時に動かせるか、色々試すことはあるぞ」
「はい!ディセがんばります!」
そして、夜遅くまでディセの重力魔法の実験は続いた。
♢
実験によって判明したディセの重力魔法の効果だが、まず、大人2人くらいなら同時に浮かせられることがわかった。
小さいものなら、5つまでは同時に動かせるようだが、重い物になると、4つ、3つと動かせる数が減っていく。つまり、数の上限値と重さの上限値が決まっているようだ。あと、一度浮かせてしまえば、目を離しても継続して動かせるようだが、自分が離れすぎると効果が切れてしまう。
それに、最初から何も見ずにイメージだけで物を浮かせることはできない。あくまで一度浮かせてから、集中を切らさずに目を離すのはいける、という能力らしい。
ディセの能力はだいたいわかったので、セッテの治癒魔法の実験は、治癒魔法について詳しく調べてから行おうという話になった。
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