53 / 66
2章 呪われた炎
第52話 血まみれの2人
しおりを挟む
「見つかりませんわ……シューネはどこに行ったのかしら?心配ですわ……」
「んー?もうピャーねぇの家に帰ってるのかもよ?」
「そうでしょうか?」
城下町から帰ってきた僕とピャーねぇは、僕の家の前で立ち話をしていた。僕たちの話し声を聞いて、ディセとセッテが窓から顔を出す。そこに、
「はぁ、はぁ……ご、ご主人様……」
「え?」
血みどろのカリンが、誰かを背負って、現れた。
「カリン?カリン!!」
僕は、カリンの悲惨な姿を見て一瞬固まったが、すぐに駆け出して、大切な従者を抱きしめる。僕に抱きしめられたカリンからはどんどん力が抜けていき、僕にもたれかかってきた。
「申し訳……ございません……」
「なにを!?なにがあった!」
「それは……」
「いや!今はいい!ディセ!セッテ!ポーションを!」
僕がカリンを運ぼうと肩を貸すと、カリンが背負っていた人物が背中から転げ落ちる。
赤い髪の人物だった。誰だ?
「しゅ……シューネ?」
え?でも、シューネさんの髪は白で……違った。気を失ってるその少女は、大量の血を浴びて、髪が赤く染まっていたのだ。そして……
「手が……」
両手が無かった。僕は固まってしまう。頭が働かない。
「シューネ!わたくしが!絶対助けます!気をしっかりもって!」
ピャーねぇがシューネさんに駆け寄って、そのまま背負った。
「ジュナも早く!」
「え?……ああ!うん!」
僕はカリンを、ピャーねぇはシューネさんを背負って、急いで僕の家に駆け込む。
「じゅ、じゅじゅ!ジュナ様これ!」
セッテが震えながらポーションを差し出してくれる。
「ありがとう!」
僕はすぐにその瓶の蓋を開けてカリンの傷口にかけた。背中がバッサリと斬られていた。傷口にかけたポーションはふんわり光り、コポコポと傷口を治癒していく。でも、傷口は完全には塞ぎきらなかった。
「シューネ!シューネ!がんばって!」
隣でピャーねぇもディセから受け取ったポーションをシューネさんにかけていたが、こちらと似た状況のようだ。ポーションが、これだけじゃ足りないんだ。
「上級ポーションは!?」
僕は焦った声で双子メイドに確認する。
「さっきの2本で最後で……」
「そんな……」
僕は絶望感を覚え焦燥する。
大切な人が目の前で苦しんでいる。それなのに何もできない無力感に思考が停止しかけていた。でも、ピャーねぇは違った。
「ディセ!これで買ってきてくださいまし!」
「は!はい!」
ピャーねぇが金貨の袋を取り出してディセに渡す。
「セッテ!わたくしの家に行って!お母様にポーションをありったけもらってきてください!」
「うん!任せて!」
2人がピャーねぇの指示を聞いて、部屋を出ていく。
「ジュナは包帯と糸と針!それと火が出るものを!」
「え?」
「はやく!」
「う、うん!わかった!」
僕はピャーねぇに指示されて、あわてて言われたものを取りに行った。
♢
「何する気?」
ピャーねぇが僕が渡した針に糸を通し、その針を火で炙っている。
「ひどい傷口だけでも、わたくしが縫いますわ」
「そんなこと、できるの?」
「やるしかありませんわ!」
「ぐ……お願いします」
僕が何もできなくておろおろしている間に、ピャーねぇが緊張した顔をして、でも覚悟を決めてシューネさんの傷口を縫いはじめる。
カリンの方はというと、セッテがピャーねぇの家から持ってきたポーションで治療したおかげで、だいぶ落ち着いているように見えた。危機的状況は脱したように見える。でも、依然として顔色は悪いままだ。
「なんでこんなことに……」
シューネさんは両腕を失っていて、身体の正面は斬り傷だらけだった。まるで、刀のようなもので斬られたかのような……
……刀?
働いていなかった頭が急速に回り出す。
「まさか……あいつが……」
「……う……ご、しゅじんさま……」
「カリン!?」
カリンの声が聞こえて、隣のベッドに移動する。すぐに彼女の手を取った。
「申し訳……ございません……」
「謝らなくていい!無理しないで!しゃべらなくていいから!」
「いえ……報告、致します……」
カリンは大量に失った血のせいで朦朧としながらも、口を動かしてくれる。僕は、手を握ったまま、その言葉を聞いた。
「私たちを斬ったのは……マーダスです……」
「……そうか……」
予想が当たり、怒りがこみ上げてくる。でも、今はカリンの言葉を聞かないと。
「先ほど……マーダスに虐待されているシューネ様を見つけ……助けに入ったのですが……逆に私がシューネ様に助けられて……そのときに、シューネ様は両手を……」
「なんて無茶を……ごめん……カリンを1人で戦わせて……」
「いえ……シューネ様の容体は?」
カリンは、向こうのベッドの方を見ようとする。
「……今、姉さんが治療してくれてるよ……」
厳しい状態だとは伝えない。
「そう、ですか……でも、手が……」
「うん……」
「あの、ご主人様……」
「なに?」
「セーレン・ブーケ様を……ここに……」
「セーレンさんを?」
「シューネさまの……手、を……」
「カリン?カリン!!」
話している途中で気を失うように目をつむってしまったカリンを見て、僕は焦って声をかけ続ける。
「カリン!カリン!」
「ジュナ様落ち着いて!カリンちゃん寝ただけだよ!」
「ね、寝た?」
よく見ると、カリンはゆっくり息を吐いて寝息をたてていた。
「そ、そうか……寝た、だけ……」
僕は、気を抜きそうになる。でも、本当に重体なのはカリンじゃなかった。
「ジュナ!」
「は、はい!セッテ!ディセ!カリンを!」
「うん!」
「はい!」
僕はピャーねぇに呼ばれて、すぐにシューネさんのベッドに向かった。
「シューネの体温が!どんどん冷たく!」
「そんな!?」
シューネさんは、か細い息で「ひゅー……ひゅー……」と呼吸をしていて、顔は真っ青だった。ピャーねぇが頑張って傷口を縫ってポーションでなんとか治療したけど、カリン以上に血液を失ったせいなのか、状況は好転していなかった。
「どうすれば!?ジュナ!なんでもいいですので!ジュナの知識をください!」
「え?えっと……」
僕は必死で持っている知識を思い出す。小さい頃から色んな本を読んできた。その中には医学書もあって、血が足りないときはどうしていた?
「血液を失って……危ないないときは……輸血をするとか……」
思い出したことを、ぽそりとつぶやく。
「輸血というのは!?」
「健康な人の血液を、チューブを通して分けることだけど……医者でもないのに、そんなこと……」
「やりましょう!!わたくしの血をシューネに!」
「ま!待って!輸血っていうのは血液型が合ってないと!」
「わたくしとシューネは同じ血液型です!」
「ほんとに?」
「間違いありませんわ!」
「で、でも……」
「いいからやりますわよ!」
僕は、ピャーねぇの剣幕におされて、道具を集めにいく。そして、本棚から持ってきた医学書と照らし合わせながら、本当に見よう見まねで、輸血をはじめようとしていた。
ピャーねぇがシューネさんの隣に寝転ぶ。シューネさんよりも少し高い位置に寝てもらった。血が、低い方に流れるようにだ。
そして、まずピャーねぇの腕に針とそれに接続したチューブを刺し込む。ピャーねぇの腕から血液が流れ出て、チューブの反対側から血が出るのを見てから、チューブを紐で縛った。次に、もう片方の針をシューネさんの腕に刺し、ピャーねぇと繋げ、結び目をほどく。血液が流れ始めた。
一応、僕の目には、ピャーねぇからシューネさんの方に血が入っていってるように見えた。
「……こんなの……本当にうまくいってるのか、僕にはわからないよ……ピャーねぇだって危険だ……」
ここまでやっておいて、僕は弱音を吐く。本当に自信がなかった。輸血には拒絶反応とかがあったはずだ。
シューネさんのことを見る。痙攣とかはしてないけど……こんな素人の輸血なんて……
「いいから!ジュナはセーレンさんを!」
「セーレンさん?」
「そうです!すぐに呼んできてくださいませ!」
カリンにも言われたことを、輸血中のピャーねぇに言われて思い出す。そうだ、彼が来てくれればすべて解決するんだ。Sランクの治癒魔法でシューネさんの腕だって治るし、ピャーねぇがこんな危険なことをする必要もない。
「そ、そうだね。うん!わかった!ディセ!」
「セーレン様はクリオ南部のトレアという町に滞在してるはずです!」
「トレアなら馬で1日で行けるはずだ!すぐに行ってくる!」
「セッテ!ディセ!カリンと姉さんとシューネさんを頼む!」
「はい!」
「はい!」
僕は双子メイドにあとのことを任せて、出ていこうとする。でも、その前にひとつ、大切なことを任せる必要があることに気づく。
「……ディセ、馬屋の位置を教えて欲しい。ちょっとこっちに」
「?……はい」
僕の表情から不穏なものを感じたのか、不安そうについてくるディセ。僕は、部屋を出たところでディセにあるお願いをする。
「シューネさんへの輸血だけど、あまり長い時間やり過ぎるとピャーねぇが危険だ」
「はい……」
「僕が家を出て、この砂時計が落ちきったら、チューブの紐を結んで輸血を止めてくれ」
「わかりました……」
「もし、ピャーねぇが抵抗しても、無理やりにでも止めるんだ。わかったね?」
「はい……」
「ごめん。でも頼んだ」
「お、お任せください……」
ディセの同意を聞いてから、僕は全力で走り出した。まずは、城下町で馬を調達する。
「んー?もうピャーねぇの家に帰ってるのかもよ?」
「そうでしょうか?」
城下町から帰ってきた僕とピャーねぇは、僕の家の前で立ち話をしていた。僕たちの話し声を聞いて、ディセとセッテが窓から顔を出す。そこに、
「はぁ、はぁ……ご、ご主人様……」
「え?」
血みどろのカリンが、誰かを背負って、現れた。
「カリン?カリン!!」
僕は、カリンの悲惨な姿を見て一瞬固まったが、すぐに駆け出して、大切な従者を抱きしめる。僕に抱きしめられたカリンからはどんどん力が抜けていき、僕にもたれかかってきた。
「申し訳……ございません……」
「なにを!?なにがあった!」
「それは……」
「いや!今はいい!ディセ!セッテ!ポーションを!」
僕がカリンを運ぼうと肩を貸すと、カリンが背負っていた人物が背中から転げ落ちる。
赤い髪の人物だった。誰だ?
「しゅ……シューネ?」
え?でも、シューネさんの髪は白で……違った。気を失ってるその少女は、大量の血を浴びて、髪が赤く染まっていたのだ。そして……
「手が……」
両手が無かった。僕は固まってしまう。頭が働かない。
「シューネ!わたくしが!絶対助けます!気をしっかりもって!」
ピャーねぇがシューネさんに駆け寄って、そのまま背負った。
「ジュナも早く!」
「え?……ああ!うん!」
僕はカリンを、ピャーねぇはシューネさんを背負って、急いで僕の家に駆け込む。
「じゅ、じゅじゅ!ジュナ様これ!」
セッテが震えながらポーションを差し出してくれる。
「ありがとう!」
僕はすぐにその瓶の蓋を開けてカリンの傷口にかけた。背中がバッサリと斬られていた。傷口にかけたポーションはふんわり光り、コポコポと傷口を治癒していく。でも、傷口は完全には塞ぎきらなかった。
「シューネ!シューネ!がんばって!」
隣でピャーねぇもディセから受け取ったポーションをシューネさんにかけていたが、こちらと似た状況のようだ。ポーションが、これだけじゃ足りないんだ。
「上級ポーションは!?」
僕は焦った声で双子メイドに確認する。
「さっきの2本で最後で……」
「そんな……」
僕は絶望感を覚え焦燥する。
大切な人が目の前で苦しんでいる。それなのに何もできない無力感に思考が停止しかけていた。でも、ピャーねぇは違った。
「ディセ!これで買ってきてくださいまし!」
「は!はい!」
ピャーねぇが金貨の袋を取り出してディセに渡す。
「セッテ!わたくしの家に行って!お母様にポーションをありったけもらってきてください!」
「うん!任せて!」
2人がピャーねぇの指示を聞いて、部屋を出ていく。
「ジュナは包帯と糸と針!それと火が出るものを!」
「え?」
「はやく!」
「う、うん!わかった!」
僕はピャーねぇに指示されて、あわてて言われたものを取りに行った。
♢
「何する気?」
ピャーねぇが僕が渡した針に糸を通し、その針を火で炙っている。
「ひどい傷口だけでも、わたくしが縫いますわ」
「そんなこと、できるの?」
「やるしかありませんわ!」
「ぐ……お願いします」
僕が何もできなくておろおろしている間に、ピャーねぇが緊張した顔をして、でも覚悟を決めてシューネさんの傷口を縫いはじめる。
カリンの方はというと、セッテがピャーねぇの家から持ってきたポーションで治療したおかげで、だいぶ落ち着いているように見えた。危機的状況は脱したように見える。でも、依然として顔色は悪いままだ。
「なんでこんなことに……」
シューネさんは両腕を失っていて、身体の正面は斬り傷だらけだった。まるで、刀のようなもので斬られたかのような……
……刀?
働いていなかった頭が急速に回り出す。
「まさか……あいつが……」
「……う……ご、しゅじんさま……」
「カリン!?」
カリンの声が聞こえて、隣のベッドに移動する。すぐに彼女の手を取った。
「申し訳……ございません……」
「謝らなくていい!無理しないで!しゃべらなくていいから!」
「いえ……報告、致します……」
カリンは大量に失った血のせいで朦朧としながらも、口を動かしてくれる。僕は、手を握ったまま、その言葉を聞いた。
「私たちを斬ったのは……マーダスです……」
「……そうか……」
予想が当たり、怒りがこみ上げてくる。でも、今はカリンの言葉を聞かないと。
「先ほど……マーダスに虐待されているシューネ様を見つけ……助けに入ったのですが……逆に私がシューネ様に助けられて……そのときに、シューネ様は両手を……」
「なんて無茶を……ごめん……カリンを1人で戦わせて……」
「いえ……シューネ様の容体は?」
カリンは、向こうのベッドの方を見ようとする。
「……今、姉さんが治療してくれてるよ……」
厳しい状態だとは伝えない。
「そう、ですか……でも、手が……」
「うん……」
「あの、ご主人様……」
「なに?」
「セーレン・ブーケ様を……ここに……」
「セーレンさんを?」
「シューネさまの……手、を……」
「カリン?カリン!!」
話している途中で気を失うように目をつむってしまったカリンを見て、僕は焦って声をかけ続ける。
「カリン!カリン!」
「ジュナ様落ち着いて!カリンちゃん寝ただけだよ!」
「ね、寝た?」
よく見ると、カリンはゆっくり息を吐いて寝息をたてていた。
「そ、そうか……寝た、だけ……」
僕は、気を抜きそうになる。でも、本当に重体なのはカリンじゃなかった。
「ジュナ!」
「は、はい!セッテ!ディセ!カリンを!」
「うん!」
「はい!」
僕はピャーねぇに呼ばれて、すぐにシューネさんのベッドに向かった。
「シューネの体温が!どんどん冷たく!」
「そんな!?」
シューネさんは、か細い息で「ひゅー……ひゅー……」と呼吸をしていて、顔は真っ青だった。ピャーねぇが頑張って傷口を縫ってポーションでなんとか治療したけど、カリン以上に血液を失ったせいなのか、状況は好転していなかった。
「どうすれば!?ジュナ!なんでもいいですので!ジュナの知識をください!」
「え?えっと……」
僕は必死で持っている知識を思い出す。小さい頃から色んな本を読んできた。その中には医学書もあって、血が足りないときはどうしていた?
「血液を失って……危ないないときは……輸血をするとか……」
思い出したことを、ぽそりとつぶやく。
「輸血というのは!?」
「健康な人の血液を、チューブを通して分けることだけど……医者でもないのに、そんなこと……」
「やりましょう!!わたくしの血をシューネに!」
「ま!待って!輸血っていうのは血液型が合ってないと!」
「わたくしとシューネは同じ血液型です!」
「ほんとに?」
「間違いありませんわ!」
「で、でも……」
「いいからやりますわよ!」
僕は、ピャーねぇの剣幕におされて、道具を集めにいく。そして、本棚から持ってきた医学書と照らし合わせながら、本当に見よう見まねで、輸血をはじめようとしていた。
ピャーねぇがシューネさんの隣に寝転ぶ。シューネさんよりも少し高い位置に寝てもらった。血が、低い方に流れるようにだ。
そして、まずピャーねぇの腕に針とそれに接続したチューブを刺し込む。ピャーねぇの腕から血液が流れ出て、チューブの反対側から血が出るのを見てから、チューブを紐で縛った。次に、もう片方の針をシューネさんの腕に刺し、ピャーねぇと繋げ、結び目をほどく。血液が流れ始めた。
一応、僕の目には、ピャーねぇからシューネさんの方に血が入っていってるように見えた。
「……こんなの……本当にうまくいってるのか、僕にはわからないよ……ピャーねぇだって危険だ……」
ここまでやっておいて、僕は弱音を吐く。本当に自信がなかった。輸血には拒絶反応とかがあったはずだ。
シューネさんのことを見る。痙攣とかはしてないけど……こんな素人の輸血なんて……
「いいから!ジュナはセーレンさんを!」
「セーレンさん?」
「そうです!すぐに呼んできてくださいませ!」
カリンにも言われたことを、輸血中のピャーねぇに言われて思い出す。そうだ、彼が来てくれればすべて解決するんだ。Sランクの治癒魔法でシューネさんの腕だって治るし、ピャーねぇがこんな危険なことをする必要もない。
「そ、そうだね。うん!わかった!ディセ!」
「セーレン様はクリオ南部のトレアという町に滞在してるはずです!」
「トレアなら馬で1日で行けるはずだ!すぐに行ってくる!」
「セッテ!ディセ!カリンと姉さんとシューネさんを頼む!」
「はい!」
「はい!」
僕は双子メイドにあとのことを任せて、出ていこうとする。でも、その前にひとつ、大切なことを任せる必要があることに気づく。
「……ディセ、馬屋の位置を教えて欲しい。ちょっとこっちに」
「?……はい」
僕の表情から不穏なものを感じたのか、不安そうについてくるディセ。僕は、部屋を出たところでディセにあるお願いをする。
「シューネさんへの輸血だけど、あまり長い時間やり過ぎるとピャーねぇが危険だ」
「はい……」
「僕が家を出て、この砂時計が落ちきったら、チューブの紐を結んで輸血を止めてくれ」
「わかりました……」
「もし、ピャーねぇが抵抗しても、無理やりにでも止めるんだ。わかったね?」
「はい……」
「ごめん。でも頼んだ」
「お、お任せください……」
ディセの同意を聞いてから、僕は全力で走り出した。まずは、城下町で馬を調達する。
37
あなたにおすすめの小説
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる