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第ニ章
レッツフィッシング
しおりを挟む仕掛けを投げてすぐに、シアの竿に当たりがきた。
「わっわっ!!お兄さんすごい引っ張ってくるよ!?」
「おぉ、一番の当たりはシアか。それじゃあ負けないようにシアも竿を引くんだ。」
「うんわかった!!ん~っ!!」
シアが力を込めて引っ張ると、どんどん大きな魚影が陸へと引っ張られてきた。
そして、バシャアァン!!という音とともに水面を跳ねて陸へとうち上げられたものは…………。
「うん?こいつは……。」
この特徴的な長い角に鋭い牙……間違いないソードフィッシュだ。
こいつが増殖している魔物なのか?
「あれ?このお魚さん……昨日シアがとった気がする。」
あれシアが採ってたのか。よくこんな危ない魔物を捕まえられたものだ。
そして、水から釣り上げられて、びちびちと跳ねていたソードフィッシュだったが、どうやらこちらを敵と認識したようだ。
シアの隣にいた、一番体の小さいグレイスにその鋭利な角で突進していったのだ。
「えいっす!!」
しかし、無情にもあっさりとグレイスの前足で頭をはたかれ、ソードフィッシュは地面に伏した。
体格差があるからといっても、グレイスはワイバーンだ。実力に差があったんだろう。
「あ、ワタシにもかかったわ!!」
「アタイのにも来たねぇっ!!」
二人の竿にも当たりが来たようだ。
実力のある二人は、軽々とソードフィッシュを釣り上げ速攻で倒していた。
それからはもう入れ食いで、3人は次々にソードフィッシュを釣り上げていた。
しかし一方俺の竿には、一向に当たりが来る気配がない。
「つ、釣れない。なんでだ?」
隣で入れ食い状態の3人に目をやって、一人俺はため息を吐くのだった。
一方その頃湖の中では……。
ソードフィッシュの群れが投げ込まれる餌を奪い合い、争っていた。
しかし、一つの餌には見向きもしないし、近付きもしない。
その1つの餌の先からは、確実な死の予感がしているのをソードフィッシュ達は敏感に感じとり、残る他の餌に向かうしか無かったのだ。
その餌はヒイラギのものである。彼の圧倒的ステータスがソードフィッシュ達に伝わり、彼らの生存本能が意識的にその釣り針を避けているのだ。
そんなことを知るはずもないヒイラギは、自分の竿に当たりが来るのを待ちながら、シア達が釣ったソードフィッシュをひたすらバッグに放り込んでいくのだった。
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