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第ニ章
夕食の準備②
しおりを挟むこちらが計り終えると同時に、ドーナとランの方もどうやら野菜も切り終わったらしい。
「ちゃんと切れてると思うけどねぇ。」
二人の切った野菜を確認すると、大きさも揃っていて、上手に切れていた。
「あぁ、キレイに切れてるぞ。やるじゃないか二人とも。」
「えっへん♪当然よ!!」
「あ、あぁ。」
堂々と胸を張るランの隣で、ドーナは少し恥ずかしそうに頬を赤らめた。
そんな彼女をランがイジり始める。
「あらあら~、ガラにもなく照れちゃって~。もしかしてそういうトコでヒイラギを誘ってるの?」
「ちっ、違う!!そういうのじゃ……。」
更に顔を真赤にして必死に弁解しようとするドーナ。
なんというか、普段しっかりしてるだけあって、こういう必死に恥ずかしさを隠しているところは、なかなか……。これが世にいうギャップ萌えというやつなのだろうか?
兎にも角にも、そろそろドーナイジりを止めてあげるか。
「ラン、その辺でそろそろ。」
「ウフフッ、ついつい可愛くって♪」
「う~……後で覚えてるんだよラン。」
「もう忘れたわ♪」
「なぁっ!?こ、この……。」
すっかりランの良いようにやられているドーナ。
しっかし、あれだけ最初はお互いに啀み合ってたってのに……今ではこれか。
案外二人の相性は良いのかもしれないな。
遠目で二人を眺めつつ、俺はシアに言った。
「さ、シア後は俺がやっておくから、二人を連れてあっちで待っててくれるかな?」
「うん!!」
すると、シアは二人の元へと小走りで近付いて、二人の腕を掴むとズルズルと向こうへと引きずっていった。
「さて、とっとと仕上げるか。」
二人が切ってくれた野菜を高温の油を馴染ませたフライパンで炒める。そして色艶が出たらさきほどシアと計った調味料を入れて軽く沸騰させる。
最後に水溶き片栗粉でしっかりと、とろみをつけてあげれば……あんかけの完成だ。
「あとは揚がったソードフィッシュの切り身を盛り付けて……上からたっぷりとあんかけをかけてやればっと。」
特製ソードフィッシュの甘酢あんかけの完成だ。
「今日はみんな疲れただろうからな。大盛りで盛り付けよう。」
炊きあがったご飯を丼に山に盛る。ドーナとシアの分はまぁ普通の大盛りご飯レベルだが、ランとグレイスの分はまた規模が違う。
これを全部食べきれるっていうのだから驚きだ。流石はドラゴンとワイバーン。
そして出来上がったソードフィッシュの甘酢あんかけと大盛りのご飯をお盆に乗せて、みんなの待つテーブルへと向かうのだった。
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