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第ニ章

神華樹より出てて……

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 できたての親子丼を持ってテーブルへと向かった。

 グレイスがちゃんとみんなを起こしていたらしく、みんな少し眠そうにしながらも席についていた。

 ちなみにここに料理を運んで来てから、ずっとグレイスが俺の回りをパタパタと待ちきれなさそうに飛び回っている。

「グレイスはこっち!!えいっ!!」

 すると、飛んでいるところをシアにがっちりキャッチされた。そしてそのままギューッと抱き締められている。

「ヒ、ヒイラギさん……た、助け……ぐぇっ。」

 あ、落ちた。……なんかすまん。

 なんやかんやありながらも、みんなでテーブルを囲む。

「今日のは何かしら~?」

「今日は親子丼って言ってな、出汁で味をつけた鶏肉を卵で絡めた料理だ。」

「卵がトロトロしてて美味しそうだねぇ。」

「シアとろとろ玉子大好き!!」

「じ、自分もっ!!はやく食べたいっす~。」

 あぁ、グレイスもう復活したのか。食事を前にして意地で目覚めたか?

「よし、それじゃあ冷めないうちに食べよう。」

「「「いただきま~す!!」」」

 恒例の食前の挨拶を皆で済ませて食べ始めた。

「あーむっ!!ん~美味しい!!卵とろとろ~♪」

「ご飯ととっても合うわね~、食べる手がが止まらないわ。」

「優しい味で、お腹にするする入ってくよ。」

「ガツガツ……んぐんぐっ、止まらないっす!!」

 朝からみんな食べるなぁ……特にグレイス、もう半分以上食べてるじゃないか。

 朝食を頬張るみんなの様子を見ながら、コーヒーを味わっていたのだが、ふと窓際に目がいった。

「ん?あんな観葉植物あったか?」

 窓際に置かれた植木鉢に、とても綺麗な花をつけた木が一本あったのだ。

「あっ!?まさか……嘘だろ?」

 その観葉植物に近づいて鑑定を使った。

「か、鑑定……。」

 神華樹

・清い心の持ち主しか育てることができない神樹。
・神が宿る神木。
・その花はどんな病や怪我も治す事が可能。
・死後間もない者は蘇生も可能。
・果実はとても美味で1つ食べれば10年寿命が伸びる。


 …………何でだ?マジックバッグの中は時間が止まっているはず。
 バッグからハウスキットを出していた時間を考えても、せいぜい1日程度だ。

 思いも寄らない出来事に思考を巡らせていると……。

「ふふっ♪その答えは私がお答えしましょうか?」

 神華樹から妖精サイズのイリスが出てきた。

「な、なんでイリスがここにいるんだ?」

「ふっふっふ~♪それはですね、この神華樹を私の神木にしたからですよっ!!」

「はっ!?」

「つまりですね、教会という私のお家からこの神華樹という新居に引っ越したってことです♪」

 なんでそんな簡単に……。

 突然の来訪者に頭を抱えていると、俺の背後から朝食を食べ終えたシアがひょっこりと顔を出した。

「お兄さん、その人だぁれ?」

「こんにちわ、シアちゃん。私はイリス。この世界の女神ですよ~♪」

「えっ!?な、なんでシアのこと知ってるの!?」

「それはですね、いつも上から見ていたからです。」

 驚くシアの前で自己紹介をするイリス。

 そして騒ぎを聞きつけたドーナとランの2人も現れた。

「あらあらヒイラギ、その女は誰かしら?」 

「もちろんアタイ達に説明はしてくれるんだよねぇ?」

「……あ、あの~二人とも?きっと凄い誤解をしているんだ。このイリスって人は……。」

 俺が説明し終える前に、イリスは二人の前に飛んでいくと自己紹介を始めた。
                       
「はじめまして、私の名前はイリス。女神です♪」

 自己紹介と同時にイリスは、とんでもない爆弾を投下していったのだ。
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