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第ニ章
ジュエルサーモンのちゃんちゃん焼き
しおりを挟むようやく森の中に戻ってきて、ハウスキットを展開し一息ついた頃には、もうすっかり陽が落ちて辺りが暗くなり始めていた。
本当はもっと早く帰ってくるつもりだったんだが、思わぬアクシデントに巻き込まれてしまったからな。
そろそろ夕食の支度を始めないと…。
コーヒーを飲みながら頭の中に入っているレシピを引っ張り出す。無数ある料理のレシピの引き出しから、今日の夕食にふさわしいものを一つ選んだ。
「今日はジュエルサーモンのちゃんちゃん焼きにしようか。」
俺が小さい頃はよく食卓に出てきた家庭料理だが、近頃サケが不漁でなかなか食べる機会のなかったものだ。
「ちゃんちゃんやき?」
シアが首をかしげながらどんな料理か想像している。しっぽが?の形になってゆらゆら揺れているのが可愛らしい。
「美味しい料理だから楽しみにしててな?」
「うん!!」
さて、作る料理が決まったのならさっそく調理に取り掛かろう。すぐにコックコートに身を包み厨房に向かうと、後に続いてバタバタとドーナたちもコックコートに着替えてやってきた。
「よし、それじゃあドーナとランには今日も野菜を切ってもらおうか。シアはお米を研いでから俺と一緒に作業をしよう。」
そう伝えるとシアは早速お米を研ぎに行ってくれた。さて、それじゃあ今のうちに二人に野菜の切り方を教えないとな。
「それじゃあ今回切るのは、キャベツとネギと玉ねぎこの三つだ。切り方はこんな感じ。」
キャベツは芯を取り除き適度な大きさにざく切りに、ネギは斜めにスライス、玉ねぎはくし形に切っていく。
簡単な切り方だから二人なら一度見せればすぐにできるだろう。
「それじゃあ、後は任せるよ。手を切らないように気を付けてな?」
「わかったわ、任せて!!」
「こっちの成長の成果も見せないとねぇ。」
野菜を二人に任せ、俺はジュエルサーモンの仕込みに入る。三枚におろした身の中骨を骨抜きで抜いていく。骨が残っていると食べて口の中に入ってきたときにショックだからな。ここはしっかりやろう。
骨を抜き終わった後は切り身にして、上から塩を振って下味をつけ余計な水分を抜いていく。
「お兄さんお米終わったよ~。」
こちらの準備が終わると同時、シアのお米研ぎが終わったらしい。
「ありがとう、今度は一緒に調味料を計ろうか。」
「シアちゃん頑張るっすよ!!」
「頑張るっ!!」
グレイスの声援を受けたシアと一緒に、ちゃんちゃん焼きに使う調味料を計り始めるのだった。
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