もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第9話 報告会

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 ギルドを後にしたルア達は、ルアの家……つまり由良のもとへと向かっていた。

 その道中……

「はいっ!これルアちゃんの取り分ね~。」

 クロロは先ほど報酬金としてメルルアにもらった金額のうち、金貨の方をルアに差し出した。

「え……こんなにもらっていいの?」

「いいのいいの~。オーガを倒したのはルアちゃんだし?それに、これだけ大銀貨があれば良いマタタビ酒買えるし~。」

 ふにゃ~っと表情を緩めながらクロロは言った。

 彼女が言っているマタタビ酒というのは、その名の通りマタタビを酒につけた物のことだ。アルコール度数は20~30度でそこそこ高い。
 その値段はピンキリだが、上質なマタタビを使い、さらに長期間熟成させているものはとても高価である。

 クロロ曰く、高価なマタタビ酒はショットグラスで一杯飲むだけでベロンベロンに酔っぱらってしまうのだとか……。

「クロロさんホントにマタタビ酒好きですよね……。」

「にししし~、ルアちゃんも大人になったら一緒に飲もうね~?案外ハマっちゃうかもよ?」

 ちなみにこの世界では飲酒は、成人とみなされる20歳からと決まっている。なんでも、数百年前から変わっていないらしい。

「ルアちゃんは、そのお金何に使うの~?新しい武器でも買う?」

「う~ん……どうしようかな。でもとりあえずいつも通り、半分はお母さんに預けようかな。」

 ルアはいつも魔物退治で得たお金は半分は由良に預けている。彼なりに、育ててくれているという恩返しのようなものらしい。

「健気だね~……。(多分由良さんって死ぬほどお金持ってると思うけど。)」

 由良との付き合いがとても長いクロロは、由良のお財布事情もよ~く知っている。だが、クロロはそれをわかった上でルアにはその事は伝えなかった。
 それを言ってしまったらルアと由良の気持ちを踏みにじってしまうのをわかっていたからだ。

 そしてお金の使い道を話ながら歩いていると、あっという間に家についた。

「お母さんただいま~!!」

「お邪魔しまーす!」

 ガチャリとドアを開けて中へと入ると……。

「お帰りなのじゃ~っ!!」

「わぷっ!?」

 由良はガバッと覆い被さるようにルアを押し倒した。その光景を見てクロロは思わず苦笑いを浮かべている。

「怪我はなかったかの?ルアや。」

「うん大丈夫!!」

「お~っ、それは良かったのじゃ~。わしはお主が怪我をしておったらと気が気でなかったのじゃ~。」

 ぎゅ~っとルアの事を抱き締めて、すりすりと顔を擦り付ける由良。

 ルアがこの世界に来てからというものの、由良はすっかり親バカになってしまっていたのだ。
 
「あ、あの~由良さん?私もいるんですけど~……。」

「む、なんじゃクロロもおったのか?ルアの影に隠れて気が付かなんだ。」

 クロロに話しかけられた由良は、キョトンとした表情を浮かべながら言った。しかし、ぴっとりとルアにくっついたまま離れる気配はない。

「あ、あはは……(それは由良さんがルアちゃんに夢中だったからね~。)」
 
「それでルアや、今日は何を倒してきたのか教えてくれるかの~?」

「うん!!」

 ルアの手を引いて、テーブルの方へと向かう由良。

「ほれ、クロロもそんなところで突っ立ってないで、こっちに来て座ったらどうじゃ?茶ぐらい出してやるのじゃ。」

「あ、いただきま~す!!」

 そして、ルアとクロロが椅子に腰かけると、二人の前に由良がお茶と茶菓子を差し出す。

「よっと……さてさて、今日のルアの武勇伝を聞かせてもらおうかのぉ~。」

 にこにこと微笑みながら由良は、今日のルアがどんな活躍をしたのか聞くことを心待ちにしている。
 そんな彼女の期待に応えるように、ルアは話し始めた。

 しかし、そんな二人の傍らで一人冷や汗を流しているクロロ。

「今日はね、初めてゴブリンを一人で倒せたんだ!!」

「おぉ!!成長したのぉ~。」

「それだけじゃなくてね、ボク、オーガも倒したんだよ!!」

 ルアのその言葉にピコン……と由良の耳が反応する。

「オーガ……じゃと?」

「ひぅっ!?」

 ギロリと鋭い視線を由良はクロロに向ける。その視線にクロロは震え上がった。

「くっくっくっ……その話、よ~~~く聞かせてもらっても良いかの?」

「うん!!えっとね…………。」

 そしてルアは、どうしてオーガと戦うことになったのかを由良に話し始めた。
 話を聞いている由良の額には徐々に青筋が浮かんでいく。その様子を見ていたクロロは、ふるふると全身を小刻みに震わせていた。

 一連の話を聞き終わった由良は、お茶を一口飲むと一つ息を吐き出した。

「……なるほどのぉ~。ゴブリンの村を治めておったのがオーガじゃったというわけか。それで、クロロが戦ったが敵わず後始末をルアがしたと……。」

「は、恥ずかしながら…………そういうことです。」

 頭を垂れて、ひどく申し訳なさそうにクロロは言った。

「まぁ、仮にルアに何かあったのなら……仕置きを施すところじゃが。今回はルアが無事だったことを鑑みて不問とする。」

 由良の言葉にクロロはパァッと表情を明るくした。

「それで、ルアや……そのオーガを倒したという技をわしに見せてはくれんかの?」

「いいけど……多分エナさんの家に行った方が良いかも?」

「ほぅ?ならば善は急げじゃ、早速エナの家に向かうぞ。ほれ、クロロも早う準備をせい。」

「は、はいっ!!」

 そして三人は、ミノタウロスのエナの家へと足を運ぶのだった。
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