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第一章 転生そして成長
第65話 才能
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東雲によるルアとロレットへの指導が始まって早数時間が経過した。ルアはもう少しで柔軟な魔力のコツを掴めそうだが、一方のロレットはとっくの昔に魔力が尽きているにもかかわらず、ドラグーンスラストを無理に連発し、息も絶え絶えといった様子だ。
前に由良がルアに魔力の扱い方を教えた時、魔力の枯渇は力の枯渇と同じと言った。そこで言った力の枯渇とは、いうところのスタミナの枯渇と同じなのだ。
つまり、今のロレットの状態を例えるならば……フルマラソンを全力で走り切ったのにもかかわらず、そこからさらにトライアスロンをしているようなものなのだ。
並の人間ならばとっくに体の限界を迎え、死んでしまってもおかしくない状態だが……なぜ彼女はいまだまだ息も絶え絶えな状態で生きていられるのか、それは彼女が身体能力、そして潜在能力にも優れた龍種であるからに他ならない。
もしロレットの立場が他の種族であれば……無理な魔力行使を繰り返した代償として命が削られていたことだろう。
こんな課題を課した東雲はロレットが龍種であるから、こんな課題を押し付けたのだ。
そしてまた……肩で息をしながらも、剣を持ち立ち上がったロレットの姿を見て東雲は心のなかでクスリと笑う。
(くくくくく、コレットよ。お前の孫は……いつかお前を越えるやもしれんなぁ。)
東雲がそう思った根拠は一つだ。先程からロレットは魔力が底をついても、体の中にある魔力の源泉から少しずつ……少しずつ魔力が沸いてきているからだ。
そして、その沸き上がる魔力量が、魔力が底をつく度に増えてきている。
これはロレットの内にある魔力の源泉の器が大きくなっていることを示している。つまり、基の魔力量を上回り始めているということだ。
(ルアの魔力の扱い方も上手くなってきている。だが、もう一押し……と言ったところか。)
頑張っているルアの方を見て、成長を感じた東雲だったが……。ふと、城の中からとても強く濃い魔力を感じ取った。
その魔力の源の方に視線を向けると、東雲はまたクスリと笑う。
(くくくくく、才能とは恐ろしいものだ。真琴との戦いでまた一つ殻を破ったか。古来より、敗北を多く経験し乗り越えた者ほど強くなるとは言われているが……一度の敗北だけでここまで力を高めるとは……。)
この魔力を放っているものの正体を知っている東雲は、心の中で呆れたようにつぶやく。
(改めてこの世に生を受け、はじめは面倒なことを押し付けられたと思ったものだが……これはこれでなかなか面白いことになってきた。二度目の人生というのも案外悪くはないものだな。)
そう東雲が思っていた時だった。
「東雲さん!!できました!!ほら見てくださいッ!!」
「ん、どれ……。」
ルアがようやく柔軟な魔力を作り出せたと言うので、東雲はルアの方へと歩み寄った。
すると、ルアの手に集まった魔力がしっかりと狐の姿を象っていた。
「ふむ、合格だ。では次は応用だ。その魔力を維持したまま、手を覆うようにするのだ。」
「こう……ですね?」
「うむ。」
ルアは東雲に言われた通りに魔力を動かしてみせた。あっさりとやってのけたルアを見て、また東雲は思う。
(こやつもこやつで、ただの人間だというのに……魔力の扱いはなかなか筋が良い。あの女神が言っていた特別な存在というものと何か関係があるのか?)
じっ……とルアのことを見つめていた東雲に、ルアは首を傾げながら問いかける。
「あ、あの東雲さん?」
「ん?あぁ……すまぬ、少し考え事をしていた。さて、次は戦闘中に自在に魔力の形を変えられるようになるのだ。例えば……攻撃を流す水のような形から、鋭い剣のような形に即座にかえられるようにしろ。」
「水から剣に…………。」
ルアは手に集まった魔力を動かして剣のような形を象った。しかし、それを見た東雲はクスクスと笑う。
「くくくくく、そんなへなちょこな剣では何も切れぬぞ?それに形を変えるのも遅い。いざ戦いになればその形を変えるときの一瞬の隙が命取りになるぞ?」
東雲は笑いながら魔力を色々な形に瞬時に変えてみせた。
「う~……そんなこと言われても難しいですよ~!!」
「何事も修練あるのみだ。何度も何度も繰り返し馴染ませるのだ。」
そうルアに言いつけると、東雲はロレットのもとへと歩み寄る。彼女は未だに東雲に言われた通りドラグーンスラストを何度も何度も魔力が空になりながらも打ち続けていた。
そんなロレットに一度手を止めるように東雲は言った。
「一度手を止めろロレット。」
「むっ!?な、なんだ東雲……我はまだまだ…………。」
まだまだやれると言い張るロレットだったが、東雲に話しかけられた瞬間……手から力が抜け、剣を地に落としてしまった。
「っ!!」
「今日のところはこのぐらいにしておけ。でないと明日に影響が出る。今からの時間は魔力と体力の回復に努めよ。ルアも今日はここまでだ。」
「え、は、はいっ。わかりました。」
東雲はルアの方へと歩み寄ると、ピョンと跳ねて頭の上に飛び乗った。
そして城の方を指し示す。
「飯の時間だルア。妾はまたあの……中国?と言ったかその国の料理を所望する。」
「中華料理ですね。わかりました。」
「我も食べるぞルアッ!!」
そして朝の修練を終えた三人は城の中へと入っていくのだった。
前に由良がルアに魔力の扱い方を教えた時、魔力の枯渇は力の枯渇と同じと言った。そこで言った力の枯渇とは、いうところのスタミナの枯渇と同じなのだ。
つまり、今のロレットの状態を例えるならば……フルマラソンを全力で走り切ったのにもかかわらず、そこからさらにトライアスロンをしているようなものなのだ。
並の人間ならばとっくに体の限界を迎え、死んでしまってもおかしくない状態だが……なぜ彼女はいまだまだ息も絶え絶えな状態で生きていられるのか、それは彼女が身体能力、そして潜在能力にも優れた龍種であるからに他ならない。
もしロレットの立場が他の種族であれば……無理な魔力行使を繰り返した代償として命が削られていたことだろう。
こんな課題を課した東雲はロレットが龍種であるから、こんな課題を押し付けたのだ。
そしてまた……肩で息をしながらも、剣を持ち立ち上がったロレットの姿を見て東雲は心のなかでクスリと笑う。
(くくくくく、コレットよ。お前の孫は……いつかお前を越えるやもしれんなぁ。)
東雲がそう思った根拠は一つだ。先程からロレットは魔力が底をついても、体の中にある魔力の源泉から少しずつ……少しずつ魔力が沸いてきているからだ。
そして、その沸き上がる魔力量が、魔力が底をつく度に増えてきている。
これはロレットの内にある魔力の源泉の器が大きくなっていることを示している。つまり、基の魔力量を上回り始めているということだ。
(ルアの魔力の扱い方も上手くなってきている。だが、もう一押し……と言ったところか。)
頑張っているルアの方を見て、成長を感じた東雲だったが……。ふと、城の中からとても強く濃い魔力を感じ取った。
その魔力の源の方に視線を向けると、東雲はまたクスリと笑う。
(くくくくく、才能とは恐ろしいものだ。真琴との戦いでまた一つ殻を破ったか。古来より、敗北を多く経験し乗り越えた者ほど強くなるとは言われているが……一度の敗北だけでここまで力を高めるとは……。)
この魔力を放っているものの正体を知っている東雲は、心の中で呆れたようにつぶやく。
(改めてこの世に生を受け、はじめは面倒なことを押し付けられたと思ったものだが……これはこれでなかなか面白いことになってきた。二度目の人生というのも案外悪くはないものだな。)
そう東雲が思っていた時だった。
「東雲さん!!できました!!ほら見てくださいッ!!」
「ん、どれ……。」
ルアがようやく柔軟な魔力を作り出せたと言うので、東雲はルアの方へと歩み寄った。
すると、ルアの手に集まった魔力がしっかりと狐の姿を象っていた。
「ふむ、合格だ。では次は応用だ。その魔力を維持したまま、手を覆うようにするのだ。」
「こう……ですね?」
「うむ。」
ルアは東雲に言われた通りに魔力を動かしてみせた。あっさりとやってのけたルアを見て、また東雲は思う。
(こやつもこやつで、ただの人間だというのに……魔力の扱いはなかなか筋が良い。あの女神が言っていた特別な存在というものと何か関係があるのか?)
じっ……とルアのことを見つめていた東雲に、ルアは首を傾げながら問いかける。
「あ、あの東雲さん?」
「ん?あぁ……すまぬ、少し考え事をしていた。さて、次は戦闘中に自在に魔力の形を変えられるようになるのだ。例えば……攻撃を流す水のような形から、鋭い剣のような形に即座にかえられるようにしろ。」
「水から剣に…………。」
ルアは手に集まった魔力を動かして剣のような形を象った。しかし、それを見た東雲はクスクスと笑う。
「くくくくく、そんなへなちょこな剣では何も切れぬぞ?それに形を変えるのも遅い。いざ戦いになればその形を変えるときの一瞬の隙が命取りになるぞ?」
東雲は笑いながら魔力を色々な形に瞬時に変えてみせた。
「う~……そんなこと言われても難しいですよ~!!」
「何事も修練あるのみだ。何度も何度も繰り返し馴染ませるのだ。」
そうルアに言いつけると、東雲はロレットのもとへと歩み寄る。彼女は未だに東雲に言われた通りドラグーンスラストを何度も何度も魔力が空になりながらも打ち続けていた。
そんなロレットに一度手を止めるように東雲は言った。
「一度手を止めろロレット。」
「むっ!?な、なんだ東雲……我はまだまだ…………。」
まだまだやれると言い張るロレットだったが、東雲に話しかけられた瞬間……手から力が抜け、剣を地に落としてしまった。
「っ!!」
「今日のところはこのぐらいにしておけ。でないと明日に影響が出る。今からの時間は魔力と体力の回復に努めよ。ルアも今日はここまでだ。」
「え、は、はいっ。わかりました。」
東雲はルアの方へと歩み寄ると、ピョンと跳ねて頭の上に飛び乗った。
そして城の方を指し示す。
「飯の時間だルア。妾はまたあの……中国?と言ったかその国の料理を所望する。」
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そして朝の修練を終えた三人は城の中へと入っていくのだった。
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