もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第78話 メタモルフォーゼ レト

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「ふっ!!」

 音もなくミリアはルアとの距離を一気に詰めようとした。先程までならば、ルアには彼女の姿を捉えることはできなかったのだが。

(……あれ、なんかすごい……ゆっくりに見える。)

 今のルアの目にはまるでスローモーションのように、ゆっくり……ゆっくりとミリアが近付いてくるのがはっきりと見えていた。

 そしてミリアがやっとルアの間近にちかづくと、彼女は手に持っていた鎌をルアの首へと向けて薙ぐように振る。

 すると、ルアの体は彼の意思とは別に勝手に動きミリアの鎌を柔軟な魔力を纏わせた手で軽々と受け止めた。

「うっ……そ!?」

 あっさりと受け止められてしまったことに思わずミリアは驚いた表情を浮かべた。

「くぅっ……はっ!!」

 体を回転させ、別の角度から再び鎌を振り下ろそうとしたミリアだったが、彼女の攻撃は虚しく空を切ることとなった。

「~~~っ!?どこに……」

 突如として目の前から消えたルアの姿を探すミリア。しかし、闘技場の中に彼の姿は見当たらない。
 が、ふと足元に目を移すと影が二つあった……。

「上かっ!!」

 ミリアが上を向くと、それと同時に彼女の目の前にルアの踵が迫っていた。
 
(当たったら……ヤバい。)

 そう一瞬で判断したミリアは体を無数の蝙蝠へと分裂させ、間一髪ルアの踵落としをかわすことに成功する。

 そして自分の予感が当たっていたことを目の当たりにすることとなった。

 先程自分へと向かって落ちてきたルアの踵落としは、先程まで彼女がいた地面を深く切り裂いており、まるで巨大で鋭利な刃物で地面を抉ったかのような跡がそこには残っていた。

 もしあれをまともに喰らっていたら……という思考がいっしゅんミリアの頭をよぎる。すると、彼女の頬を冷や汗が一粒流れ落ちた。

「あはは……まさか一番弱いって思ってた君が、そんな力を隠してたなんてね。」

 苦笑いを浮かべるミリア。しかし、一瞬まばたきをしたその時、間近にルアの姿があった。そしてあることを問いかけられる。

「まだ……やりますか?」

「っ!!」

 思わずミリアは後ろへと飛び退くが、ドン……と闘技場の壁に背中を打ってしまう。

「あはは……まったく、今の私じゃ君に勝てないかもしれないね。」

「なら降参してください。」

「あはっ♪それはね。」

 ニヤリとミリアは笑うと先程まで片手で持っていた鎌を両手で構える。
 すると、真っ赤なオーラが鎌に集まっていく……それと同時に少しずつミリアの体が痩せ始めた。

「これが正真正銘……今出せる全力の一撃だよ。仮に君が……これを正面から受け止めきれたら、敗けを認めるよ。」

「……本当ですね?」

「あぁ……本当さ。じゃあ……受けてみなよ。鮮血に染まる十字星ブラッドクロス!!」

 ミリアは鎌を十字を描くように大きく振ると、真っ赤な斬擊が具現化し、加速しながらルアへと向かって飛んでいく。

 地面を切り裂きながら凄まじい速度で迫ってくる斬擊に対して、ルアは両手を差し出して受け止める態勢に入った。

「あはは……ホントに受け止めるつもりかい?」

「もちろん、それで敗けを認めてもらえるなら……。やりますッ!!」

 そしてルアは手の先に集めた柔軟な魔力を硬く、硬く練り上げると、ミリアが放った一撃を受け止めた。

「くっ……うぅ……凄い力。」

 受け止めたのは良いものの、ミリアの放った鮮血に染まる十字星ブラッドクロスは勢いを落とさない。それどころか少しずつルアの方が押し負けてきていた。

 そんな時、頭の中に声が響いてきた。

(ボクちゃんそれじゃあダメよ~?)

「っ!!レト……さん?」

(その服を最大限に活用するなら……守るんじゃなく、攻めなきゃ。ねっ?)

「攻める……ってここから攻撃しろってことですか?」

(その通り、まだボクちゃんはそれの使い方をわかってないみたいだから、ここで教えてあげる。いい?まずはドレスと自分を魔力で繋げるの。そうすることで本来の力を引き出せるわ。)

「で、でも今魔力を動かしたら……。」

(大丈夫、ドレスが守ってくれるわ。だから安心して魔力をドレスに流しなさい?)

「…………っわかりました。」

 ルアが手に集めていた魔力を消し、ドレスへと流し込むと、ドクン……とドレスから鼓動が聞こえたような感じがした。
 それと同時に、ドレスから無限に力が沸いてくるような不思議な感覚に襲われる。

(それで後は思いっきりぶっぱなしちゃいなさ~い!!)

「っ!!はあぁぁぁぁぁっ!!」

 ルアがドレスから溢れ出てきた力を思いっきり前へと打ち出すと、ミリアの鮮血に染まる十字星ブラッドクロスが打ち消された。

「っ!!あはは…………受け止められるどころか、打ち消された……か。私の……敗け…………だよ。」

 最後に呆れたようにミリアは笑うと、膝から崩れ落ちたのだった。
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