もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第一章 転生そして成長

第93話 覚醒?③

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 薄暗い森の中でクロロの目が紅く揺らめくように光っている。

 バチン!!

 またもや鞭打つような音が聞こえると、真琴の前からクロロの姿が消えた。

(…………速いねぇ。)

 一瞬で消えたクロロに、ふと真琴がそう思ったときだった。真琴は自分の背後からまるで鋭利な刃物で切られるかのような鋭い殺気を感じた。

 しかしそんな殺気を当てられながらも、ゆったりと真琴は後ろを振り返ると自分の首元にクロロの短刀の刃が迫ってきていた。

(今度はあっこでえぇね。)

 ちらりと真琴は遠くの方に落ちていた木の葉の方に目を向けた。そしてクロロの短刀が届くと同時に真琴の体は白煙に包まれクロロの前から消える。
 そして先ほど彼女が目を向けた木の葉があった位置に真琴は突然現れた。

「……………。」

 消えては現れ消えては現れを繰り返している真琴。そんな彼女にクロロは赤く光る瞳を向けると再び鞭打つ音とともに姿を消した。

「今のあんさんに聞こえとるかはわからんけど、同じ技は芸がないどすえ?」

 ポツリと真琴がそうつぶやくと、彼女の周りでクロロが移動したときに聞こえるバチンという音が何度も何度も木霊し始めた。

 しかし真琴は動じず、その場で薄ら笑みを浮かべたまま立っている。

 そんな真琴の懐に突然姿を現したクロロは再び短刀を振るう。だが、やはり真琴はまたもや別な場所へとすぐに移動してしまった。
 余裕の笑みを浮かべていた真琴だったが、突然彼女の表情が驚愕に染まる。

「っ!!」

 移動した真琴へと向かってクロロのもう片方の短刀が勢いよく飛んできたのだ。
 飛んできた短刀は真琴の後ろにある木に深く突き刺さった。

 自分の化けに対応し始めたクロロに真琴はニヤリと笑みを浮かべた。

「んふふふ、楽しゅうなってきたわぁ~。」

 真琴は木に突き刺さった短刀を引き抜くと、刃の部分を親指でなぞる。

「えぇ切れ味……こないなもん刺さったらって思ったら、さぶいぼでるわ。」

 まじまじと短刀を眺める真琴を警戒し、その場から動かずにいるクロロ。

「あては包丁以外使えんどす。やけん、これ返すわ。」

 短刀の刃の部分を指先で摘まむと、真琴はクロロへと向かってそれを投げつけた。
 返ってきた短刀をクロロは簡単に掴み取り、再び構えた。

「ほな、今度はあてから………。」

 真琴は胸元からなにやらお札のようなものを取り出すと、それを人差し指と中指で挟みながら口を開いた。

「変化……火玉。」

 真琴がそう呟くと、彼女の周りの木の葉が宙に舞い上がり、拳位の大きさの火の玉に変わった。
 そしてその火の玉はクロロへと向かって飛んでいく。

「……………っ。」

 クロロは向かってくるそれを前に進みながら避ける。……が、彼女の後ろに通り抜けていった火の玉は急に軌道を変え、後ろからクロロへと向かって飛び始めたのだ。

「んふふふ、あんさんに当たるまでなんぼでも追いかける火の玉や。た~んと味わいや?」

 ニヤリと笑う真琴に向かってクロロは一気に走り始めた。彼女の後ろからは無数の火の玉が追いかけてきている。

 そして鞭打つ音が響くと同時にクロロの姿が真琴の前から消えた。しかし、火の玉は真琴へと向かって飛んできている。

「なるほど……考えたもんやねぇ。」

 感心したようにポツリと真琴は呟く。しかし、次の瞬間には口角を吊り上げて、ニヤリと笑った。

「でも残念♪」

 真琴に向かって真っ直ぐに飛んできていた火の玉は、まるで真琴のことを避けるように軌道を変えて、彼女の背後に潜んでいるクロロへと向かって行った。

 そして彼女の後ろで火の玉がぶつかり、爆発音が響き渡る。

「んにゃあぁぁぁぁっ!?」

 爆発音が響き渡ると同時にクロロの悲鳴が森の中に響き渡った。

 真琴はニヤニヤと笑いながら自分の後ろの茂みを覗くと、そこには毛先が少しチリチリと焦げているクロロの姿があった。

「なんとか致命傷は避けたって感じやね。それと同時に覚醒も覚めてもうたね。」

 ツンツンと地面に横たわるクロロのことをつつきながら真琴は笑う。

「んにゃぅぅぅ…………体が動かない。」

「あれだけやくたい動きしはったんや当然やろ。こことか特にしんどいやろ?」

「んにゃあっ!?」

 ツンッ!!と指が軽く沈み込むぐらいの強さで真琴がクロロの太ももを突っつくと、クロロの体がビクンと跳ねた。

「んふふふ♪ほんま虐めがいがある子やわぁ~。あ~楽し♪」

「んにゃっ!?あぁぁぁぁぁぁっ!!」

 真琴につつかれる度に悲鳴をあげ、体を跳ねさせるクロロ。そんな彼女に少なからず真琴は興奮しているようだった。
 どうやら真琴は多少Sっ気があるようだ。

「さて、あっちも終わったみたいやし……今日のところはこの辺やね。」

 ピクピクと体を震わせるクロロのことを担ぎ上げると、真琴はどこかへと歩きだした。
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