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第一章 転生そして成長
第99話 レトとアル
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地上でのルア達の成長を眺めて、喜びを感じている人物が東雲の他にももう一人いた。
「うふふふふ♪良い感じに育ってきてるわね。やっぱり私が見込んだ通り、東雲ちゃんに任せて正解だったわ。」
それはルアをこの世界に転生させ、さらには一度命を落とした東雲を復活させた自称野良女神のレトだ。
レトは地上を見下ろしながら、ある分厚いファイルのようなものを手に出現させるとおもむろにページを捲った。
すると、彼女は愛しいものを眺めるように楽しそうな表情を浮かべる。
「ん~っ♪だんだんルアちゃんのコレクションも埋まってきたわね。」
レトが開いたファイルには、たくさんのルアの写真が収められていた。しかも、彼がメタモルフォーゼを使い変身した後の姿ばかりがファイルの中に入っている。
いつ、どこで、どうやってそれがとられたのかはわからないが……。何かしら彼女がやっているのは間違いない。
「それにしても……まさかメタモルフォーゼで私の力まで使いこなすなんてねぇ~。今後が楽しみだわ♪……いろんな意味で。」
ファイルを捲り、にやけ顔を浮かべ、至福のひとときを過ごしていたレトだったが……そんな時に邪魔者が現れた。
彼女がいる天界の空間に突如として彼女のことを囲むように、たくさんの天使達が現れたのだ。
そのたくさんの天使の中で、一人明らかに雰囲気が違う天使がレトに向かって歩み寄り口を開く。
「裏切り者には断罪を……しかし我らが女神様は実に慈悲深い。貴様が素直に罪を認めるならば贖罪の機会を与えると言っておられる。」
「ふ~ん?随分と上から目線なのね。」
呆れたようにレトは歩み寄ってきた天使にそう言った。
「貴様は罪を犯したものを敬うか?敬わないだろう?それと同じだ。」
「あっ、そう。」
「え゛ぁっ?」
冷たくレトは天使に向かってそう答えると、歩み寄ってきた天使を一瞬で消し去った。
名を名乗ることなく消えた天使の短い断末魔に、レトを囲む天使達がどよめき始める。
どよめく天使達にレトは瞳の奥に怒りの炎を宿らせ、ため息混じりに言った。
「はぁ……確かさっきの天使、罪を犯したものを敬うか~とかって言ってたわね。」
レトの衣装がどんどん黒く染まっていく……。
そして、彼女の身に付けていたドレスが漆黒に染まると、再びレトは口を開いた。
「もちろん答えはNOよ。私のお楽しみの時間を邪魔する……っていう罪を犯したあんた達を敬うことなんてしないわ。」
きっぱりとレトは言い切ると、あっという間に自分を取り囲んでいた天使達を倒し、消し去った。
「はぁ……時間の無駄だったわ。さっ、続き続き~♪」
レトは何もなかった空間にテーブルと椅子、そしてルアの写真集を手に取ると鼻唄を歌いながらそれを眺め始めた。
そんな彼女の後ろに気配もなく歩み寄る者が一人……。
「お~かぁさまっ!!」
ガバッとレトの背後からお母様と口にし、その者は彼女のことをぎゅっと抱き締めた。
「ん?あら、アルじゃない。」
「お久しぶりですっ!」
レトのことをお母様と呼んだアルという名の彼女は、エメラルドグリーンの長髪を頭の後ろで結び、背中にはキラキラと金色に輝く三日月のような形をした弓を背負っている。
「あれ?何ですか?それ……。」
アルはレトが眺めていたルアの写真集を見て首をかしげた。
「あぁ、これ?私のお気に入りの子の写真集よ。可愛いでしょ?」
「ほぇ~……お母様そんな趣味ありましたっけ?」
「長生きしてるとねぇ~、こういう可愛いものに癒されたくなるのよ。あなたもあと千年位生きればわかるわ。」
「そんなものですかね~……。って!!それよりも今日は大事な報告があるんです!」
アルはレトが座っている向かい側に椅子を出現させると、レトと向かい合うようにして座った。そして先ほどまでのはつらつとした表情とは打って変わって、真剣な面持ちになりながらレトのことを見つめた。
「大事な報告?」
「はいっ……あの……すっごい言いにくいんですけど、兄様が裏切りました。」
アルのその言葉に、レトは思わずルアの写真集を捲る手を止めた。そしてゆっくりとそれを閉じると、アルの瞳の奥をじっと見つめながら問いかけた。
「…………裏切ったっていう根拠は?」
「これを見てもらえればわかります。」
アルは手を宙に翳すと、二人の間に映画のスクリーンのような画面が現れた。そこに映っていたのは、アルの持つ金色の弓と対を為すように作られた銀色の弓を放ち、動物や植物、そしてそこに生きている人々を無差別に殺している男の姿だった。
そしてその男と必死に戦うアルの姿も映っていた。
「…………なるほどね。これは信じない訳にはいかないわね。」
そして映像の最後には、殺戮を行っていた男が星に向かって矢を放ち、その世界ごと消し去っている姿が映っていた。
「ご覧の通り兄様によって私の世界は消されてしまいました。」
「事情はわかったわ。兎に角、アル……あんたはしばらく私の世界で身を潜めてなさい。今のあんたじゃ、その金の弓引けないでしょ?」
「お恥ずかしながら…………すみません。」
「良いのよ。昔から子を守るのは母の勤めって言うしね。」
「あはは……この歳になってお母様を頼るのもあれですけど。すみません、よろしくお願いします。」
苦笑いを浮かべながらアルはペコリと頭を下げた。
そしてレトは先ほど見せられた映像を見て、心の奥底で大きな溜め息を吐いた。
(まさかあの子が裏切るなんてね……まぁこれも運命ってやつなのかしら。)
そう心のなかでポツリと呟いたレトは少し悲しそうな表情を浮かべていた。
「うふふふふ♪良い感じに育ってきてるわね。やっぱり私が見込んだ通り、東雲ちゃんに任せて正解だったわ。」
それはルアをこの世界に転生させ、さらには一度命を落とした東雲を復活させた自称野良女神のレトだ。
レトは地上を見下ろしながら、ある分厚いファイルのようなものを手に出現させるとおもむろにページを捲った。
すると、彼女は愛しいものを眺めるように楽しそうな表情を浮かべる。
「ん~っ♪だんだんルアちゃんのコレクションも埋まってきたわね。」
レトが開いたファイルには、たくさんのルアの写真が収められていた。しかも、彼がメタモルフォーゼを使い変身した後の姿ばかりがファイルの中に入っている。
いつ、どこで、どうやってそれがとられたのかはわからないが……。何かしら彼女がやっているのは間違いない。
「それにしても……まさかメタモルフォーゼで私の力まで使いこなすなんてねぇ~。今後が楽しみだわ♪……いろんな意味で。」
ファイルを捲り、にやけ顔を浮かべ、至福のひとときを過ごしていたレトだったが……そんな時に邪魔者が現れた。
彼女がいる天界の空間に突如として彼女のことを囲むように、たくさんの天使達が現れたのだ。
そのたくさんの天使の中で、一人明らかに雰囲気が違う天使がレトに向かって歩み寄り口を開く。
「裏切り者には断罪を……しかし我らが女神様は実に慈悲深い。貴様が素直に罪を認めるならば贖罪の機会を与えると言っておられる。」
「ふ~ん?随分と上から目線なのね。」
呆れたようにレトは歩み寄ってきた天使にそう言った。
「貴様は罪を犯したものを敬うか?敬わないだろう?それと同じだ。」
「あっ、そう。」
「え゛ぁっ?」
冷たくレトは天使に向かってそう答えると、歩み寄ってきた天使を一瞬で消し去った。
名を名乗ることなく消えた天使の短い断末魔に、レトを囲む天使達がどよめき始める。
どよめく天使達にレトは瞳の奥に怒りの炎を宿らせ、ため息混じりに言った。
「はぁ……確かさっきの天使、罪を犯したものを敬うか~とかって言ってたわね。」
レトの衣装がどんどん黒く染まっていく……。
そして、彼女の身に付けていたドレスが漆黒に染まると、再びレトは口を開いた。
「もちろん答えはNOよ。私のお楽しみの時間を邪魔する……っていう罪を犯したあんた達を敬うことなんてしないわ。」
きっぱりとレトは言い切ると、あっという間に自分を取り囲んでいた天使達を倒し、消し去った。
「はぁ……時間の無駄だったわ。さっ、続き続き~♪」
レトは何もなかった空間にテーブルと椅子、そしてルアの写真集を手に取ると鼻唄を歌いながらそれを眺め始めた。
そんな彼女の後ろに気配もなく歩み寄る者が一人……。
「お~かぁさまっ!!」
ガバッとレトの背後からお母様と口にし、その者は彼女のことをぎゅっと抱き締めた。
「ん?あら、アルじゃない。」
「お久しぶりですっ!」
レトのことをお母様と呼んだアルという名の彼女は、エメラルドグリーンの長髪を頭の後ろで結び、背中にはキラキラと金色に輝く三日月のような形をした弓を背負っている。
「あれ?何ですか?それ……。」
アルはレトが眺めていたルアの写真集を見て首をかしげた。
「あぁ、これ?私のお気に入りの子の写真集よ。可愛いでしょ?」
「ほぇ~……お母様そんな趣味ありましたっけ?」
「長生きしてるとねぇ~、こういう可愛いものに癒されたくなるのよ。あなたもあと千年位生きればわかるわ。」
「そんなものですかね~……。って!!それよりも今日は大事な報告があるんです!」
アルはレトが座っている向かい側に椅子を出現させると、レトと向かい合うようにして座った。そして先ほどまでのはつらつとした表情とは打って変わって、真剣な面持ちになりながらレトのことを見つめた。
「大事な報告?」
「はいっ……あの……すっごい言いにくいんですけど、兄様が裏切りました。」
アルのその言葉に、レトは思わずルアの写真集を捲る手を止めた。そしてゆっくりとそれを閉じると、アルの瞳の奥をじっと見つめながら問いかけた。
「…………裏切ったっていう根拠は?」
「これを見てもらえればわかります。」
アルは手を宙に翳すと、二人の間に映画のスクリーンのような画面が現れた。そこに映っていたのは、アルの持つ金色の弓と対を為すように作られた銀色の弓を放ち、動物や植物、そしてそこに生きている人々を無差別に殺している男の姿だった。
そしてその男と必死に戦うアルの姿も映っていた。
「…………なるほどね。これは信じない訳にはいかないわね。」
そして映像の最後には、殺戮を行っていた男が星に向かって矢を放ち、その世界ごと消し去っている姿が映っていた。
「ご覧の通り兄様によって私の世界は消されてしまいました。」
「事情はわかったわ。兎に角、アル……あんたはしばらく私の世界で身を潜めてなさい。今のあんたじゃ、その金の弓引けないでしょ?」
「お恥ずかしながら…………すみません。」
「良いのよ。昔から子を守るのは母の勤めって言うしね。」
「あはは……この歳になってお母様を頼るのもあれですけど。すみません、よろしくお願いします。」
苦笑いを浮かべながらアルはペコリと頭を下げた。
そしてレトは先ほど見せられた映像を見て、心の奥底で大きな溜め息を吐いた。
(まさかあの子が裏切るなんてね……まぁこれも運命ってやつなのかしら。)
そう心のなかでポツリと呟いたレトは少し悲しそうな表情を浮かべていた。
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