107 / 249
第二章 呪われた運命
第105話 視線
しおりを挟む
それ以降……ルアはどこからか視線を感じるようになり、東雲が言っていた通り、本当に幽霊がいるのではないかと不安を感じるようになっていた。
そんな彼は、この辺りで幽霊が出たりするのかを城の主であるロレットに聞きに行っていた。
そして事情を聴いたロレットは、ふむ……と考えるような仕草を見せると、口を開いた。
「幽霊……か。我もここに住んで長いが……そういった類いのものは聞いたことがないな。」
「うぅ……そ、そうですか。」
ロレットの答えに残念そうにルアは肩を落とした。
「だが、気になるな。その見られている……という感覚。そして一度見ることができたという、我ら以外の外部の者。もし本当にそんな輩がいるのならば……我らを脅かす存在になりかねん。」
しかし、ロレットは本当にルアが見たという外部の人間がいた場合のことを冷静に分析する。
「敵なのか味方なのか……今のところ何も情報がない。ただ、これだけ無防備な部分を晒しておいて、何もしてこないところを見るに我らに敵意がある者ではなさそうだが……。」
「ど、どうなんですかね……。」
「だが、何にせよ。もしそういう者がいるのなら……気になるな。」
好奇心に染まった表情でロレットはニヤリと口角を吊り上げて笑う。
そしてロレットはテーブルに置いてあったベルをチリンチリンとおもむろに鳴らした。すると、すぐに誰かがロレットの部屋を訪ねてきた。
「女王様?お呼びですか~?」
「あぁ、トリトニー入ってくれ。」
ロレットの部屋を訪ねてきたのはヒーリングスライムのトリトニーだった。どうやらテーブルの上に置いてあるあのベルはトリトニーを呼び出すためのベルらしい、
「トリトニー、一つ仕事を頼みたいのだが……。」
「はぁい……あ、もしかしてルア君のヒーリングですか?それなら新しいヒーリングを考えてたんですよ~。」
「いや、悪いが今回はルアのヒーリングじゃない。」
「あら、ざんねんです~。」
「君に頼みたいのは、この城の監視だ。」
「監視……ですか~。」
「あぁ、体を分裂させれば城の至るところを監視できるだろう?」
「それはできますけど~、今更になってどうしたんです?」
「いやな、ルアが城の中で不審な人影を見たというのだ。」
そしてロレットはトリトニーにある程度の敬意を説明すると、彼女は事情を把握し頷いた。
「わかりました~。じゃあ……んしょっと!!」
頷いたトリトニーは手のひらから無数の丸いスライムを産み出していく。
「これだけいれば城の全てを監視できると思います~。」
「うむ、映像を記録しておくだけでいい。視界を共有していると疲れるだろう?」
「お気遣いありがとうございます~。じゃあ行ってきて~。」
トリトニーにそう指示されると丸いスライム達は何処かへと行ってしまった。
「では頼んだぞトリトニー。」
「お任せください~。」
ビシッとトリトニーは敬礼すると、部屋を後にしようとする。その途中、何かを思い出したようにルアに近づく。
「ルア君、最近頑張ってるみたいですけど~疲れたらいつでも言ってくださいね~。」
「あ、ありがとうございます……。」
「新しいヒーリング、たっくさん考えてありますから……ねっ?」
それだけルアに告げるとトリトニーは部屋を後にした。
「そういえば、ルアは最近トリトニーのヒーリングを使ってないようだな?」
「あ、は、はい……ちょっとトリトニーさんのあれは、刺激が強すぎるから……。」
「ふむ、ちなみに我やミリアは毎日のようにやってもらっているぞ?」
「えっ!?」
衝撃の事実にルアは思わず目を見開いた。ロレットが毎日使っているのはわかるが、ミリアまでも使っているとは思わなかったのだ。
「どうもミリアのやつはトリトニーの全身マッサージがいたく気に入ったらしくてな。まぁ、我もその一人なんだが……。」
「そ、そうだったんですか……。」
「トリトニーのヒーリングは回復魔法では治せないような精神的な疲れも癒してくれるぞ?最近視線を感じていて多少なりともストレスがあるだろう?この後やってもらったらどうだ?」
「う~ん……か、考えておきます。」
「うむ。まぁ無理にとは言わない。気が向いたら行ってみるといい。」
「わかりました……。」
そしてロレットに悩みの種を打ち明けて少しスッキリしたルアは、そのまま何かを決心した表情で、ある場所へと向かう。
迷わずにある部屋の前に足を運んだルア。彼は少し顔を赤くしながらその扉をノックした。
すると、部屋の中から先程会ったばかりのトリトニーが姿を現した。
彼女はルアが自分の部屋を訪ねてきたことで、何をしてほしいのか察すると、ニコリと笑いながら彼の手を引いて部屋の中へと連れ込んだ。
その日の夜……一晩中トリトニーの部屋からはクチュクチュという水音と、ルアの小さく喘ぐ声が聞こえていた。
そんな彼は、この辺りで幽霊が出たりするのかを城の主であるロレットに聞きに行っていた。
そして事情を聴いたロレットは、ふむ……と考えるような仕草を見せると、口を開いた。
「幽霊……か。我もここに住んで長いが……そういった類いのものは聞いたことがないな。」
「うぅ……そ、そうですか。」
ロレットの答えに残念そうにルアは肩を落とした。
「だが、気になるな。その見られている……という感覚。そして一度見ることができたという、我ら以外の外部の者。もし本当にそんな輩がいるのならば……我らを脅かす存在になりかねん。」
しかし、ロレットは本当にルアが見たという外部の人間がいた場合のことを冷静に分析する。
「敵なのか味方なのか……今のところ何も情報がない。ただ、これだけ無防備な部分を晒しておいて、何もしてこないところを見るに我らに敵意がある者ではなさそうだが……。」
「ど、どうなんですかね……。」
「だが、何にせよ。もしそういう者がいるのなら……気になるな。」
好奇心に染まった表情でロレットはニヤリと口角を吊り上げて笑う。
そしてロレットはテーブルに置いてあったベルをチリンチリンとおもむろに鳴らした。すると、すぐに誰かがロレットの部屋を訪ねてきた。
「女王様?お呼びですか~?」
「あぁ、トリトニー入ってくれ。」
ロレットの部屋を訪ねてきたのはヒーリングスライムのトリトニーだった。どうやらテーブルの上に置いてあるあのベルはトリトニーを呼び出すためのベルらしい、
「トリトニー、一つ仕事を頼みたいのだが……。」
「はぁい……あ、もしかしてルア君のヒーリングですか?それなら新しいヒーリングを考えてたんですよ~。」
「いや、悪いが今回はルアのヒーリングじゃない。」
「あら、ざんねんです~。」
「君に頼みたいのは、この城の監視だ。」
「監視……ですか~。」
「あぁ、体を分裂させれば城の至るところを監視できるだろう?」
「それはできますけど~、今更になってどうしたんです?」
「いやな、ルアが城の中で不審な人影を見たというのだ。」
そしてロレットはトリトニーにある程度の敬意を説明すると、彼女は事情を把握し頷いた。
「わかりました~。じゃあ……んしょっと!!」
頷いたトリトニーは手のひらから無数の丸いスライムを産み出していく。
「これだけいれば城の全てを監視できると思います~。」
「うむ、映像を記録しておくだけでいい。視界を共有していると疲れるだろう?」
「お気遣いありがとうございます~。じゃあ行ってきて~。」
トリトニーにそう指示されると丸いスライム達は何処かへと行ってしまった。
「では頼んだぞトリトニー。」
「お任せください~。」
ビシッとトリトニーは敬礼すると、部屋を後にしようとする。その途中、何かを思い出したようにルアに近づく。
「ルア君、最近頑張ってるみたいですけど~疲れたらいつでも言ってくださいね~。」
「あ、ありがとうございます……。」
「新しいヒーリング、たっくさん考えてありますから……ねっ?」
それだけルアに告げるとトリトニーは部屋を後にした。
「そういえば、ルアは最近トリトニーのヒーリングを使ってないようだな?」
「あ、は、はい……ちょっとトリトニーさんのあれは、刺激が強すぎるから……。」
「ふむ、ちなみに我やミリアは毎日のようにやってもらっているぞ?」
「えっ!?」
衝撃の事実にルアは思わず目を見開いた。ロレットが毎日使っているのはわかるが、ミリアまでも使っているとは思わなかったのだ。
「どうもミリアのやつはトリトニーの全身マッサージがいたく気に入ったらしくてな。まぁ、我もその一人なんだが……。」
「そ、そうだったんですか……。」
「トリトニーのヒーリングは回復魔法では治せないような精神的な疲れも癒してくれるぞ?最近視線を感じていて多少なりともストレスがあるだろう?この後やってもらったらどうだ?」
「う~ん……か、考えておきます。」
「うむ。まぁ無理にとは言わない。気が向いたら行ってみるといい。」
「わかりました……。」
そしてロレットに悩みの種を打ち明けて少しスッキリしたルアは、そのまま何かを決心した表情で、ある場所へと向かう。
迷わずにある部屋の前に足を運んだルア。彼は少し顔を赤くしながらその扉をノックした。
すると、部屋の中から先程会ったばかりのトリトニーが姿を現した。
彼女はルアが自分の部屋を訪ねてきたことで、何をしてほしいのか察すると、ニコリと笑いながら彼の手を引いて部屋の中へと連れ込んだ。
その日の夜……一晩中トリトニーの部屋からはクチュクチュという水音と、ルアの小さく喘ぐ声が聞こえていた。
0
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる