144 / 249
第二章 呪われた運命
第142話 エルフの集落へ
しおりを挟む
そして東雲から行き先を聞いたクロロは、なぜ今になってエルフの集落へ行くのか……と疑問に思い問いかける。
「エルフの集落に行くのはわかったんですけど、何でまたそんなところに行くんですか?」
「観光だ。」
そう即答した東雲にクロロは怪しむように目を細めた。
「東雲さんが観光ですか~?」
「なんだ、悪いか?」
「な~んか怪しいなぁ……。」
「怪しいとはなんだ!!相変わらず失礼なやつだ。」
「だって東雲さんって観光とかそういうの興味なさそうですもん。」
「なっ、クロロ貴様ぁ……言ってくれるな。」
ハッキリとそう言ったクロロに、東雲は詰め寄った。
「だってホントのことじゃないですか。東雲さん観光とかそういうのよりも修行の方が好きですよね?」
「くっ……それは……そうだが。」
言葉が詰まる東雲。それもそのはずである。なぜなら、クロロの言っていることは全て的を射ていたからだ。
「ほら何にも言い返せないじゃないですか。」
「こいつっ……口だけは達者だな。胸は小さいくせに……。」
「胸の大きさは関係ないじゃないですか!!それにこの前トリトニーさんに測ってもらって一緒の大きさだったじゃないですか。」
「あれは何かの間違いだ!!妾と貴様が同じバストサイズな訳がないだろう!!」
ルアの前でクロロと東雲の二人は言い争いを始めてしまう。そんな二人の争いを治めるためにルアが口を開く。
「クロロさん、本当にボクと東雲さんはエルフの集落に観光に行くだけなんです。」
「え、ホントなの?」
嘘をついている様子の無いルアにクロロは思わずきょとんとした表情を浮かべた。
「だから最初からそうだと言っているだろうが!!」
「だって東雲さんも観光はあんまり興味ないって雰囲気だったじゃないですか。そりゃあ疑いますよ。」
「ふん、そんなに気になるのなら着いてくればいいだろう。」
「え、いいんですか?」
「別に構わん。ここで時間を食っているよりマシだ。」
やれやれと言った様子でパチンと東雲が指を鳴らすと、三人の足元に魔法陣が現れ、そこから溢れ出た光が三人を包み込んだ。
そして三人が次に目を開けたとき……一行は青々とした木々に囲まれた森の中にいた。
「さて、ここから少し歩くぞ。」
東雲が先頭に立って歩きだすと、ルアとクロロの二人も彼女のあとに続いた。
「ふぇ~……綺麗な森~。やっぱりエルフが護ってると違うなぁ~。ルアちゃんもそう思わない?」
「なんか空気が違いますよね。澄んでるっていうか……何て言うか……。」
ルアも普通の森とは違う雰囲気を感じ取っていた。
そして少し歩くと……奥の方に集落らしきものが見えてきた。
「あそこがエルフの集落だ。」
東雲が指差した先には、木で造られた建造物がいくつも並んでいる。そしてその入り口には、弓矢を背中に担いだ耳の長い女性が門番のように立っていた。
そしてルア達がエルフの集落に近付くと、その二人が声をあげた。
「止まれ。」
「ここから先は我らエルフの集落だ。何用でここまでやって来た?」
「妾達はエルフの朝市を見に来ただけだ。お主らに危害を加えるつもりは一切ない。」
「朝市が目的か……よかろう通るがいい。だが、中で問題を起こせば二度とこの地を踏めぬことになると肝に銘じておけ。」
「もちろんだ。」
門番のエルフ達から許可を得てルア達はエルフの集落の中へと入る。
「あのエルフの人達……凄い怖かったですね。町に来るエルフとは全然雰囲気が違う。」
「当たり前だ。あやつらはこの集落の守り人……つまりエルフの中でも腕利きの者。邪悪な者を見分けるため目を光らせているのだ。」
「へぇ~……。」
そして三人がエルフの集落の中を歩いていると、ようやく目的の朝市が目前に見えてきた。
「うむ、ここも以前から変わらず……だな。」
「ふわぁ~っ!!」
ルアの目に飛び込んできたのは、エルフ達が様々な野菜や果物等々を並べ、売買している様子だった。
一際彼の目を惹いたのは、見たことのない果物や野菜がたくさん並べられているということ。
キラキラと目を輝かせているルアに、ひっそりと東雲は歩み寄ると、ボソリと彼の耳元で囁いた。
「ルア、妾の目的は忘れていないだろうな?ナッツだぞ、ナッツ。」
「わ、わかってます……で、でも他にも何か買ってもいいですよね?」
「構わん。ナッツさえ忘れなければ好きにして良い。」
そしてルアから少し東雲は距離をおくと、クロロに見えないところでニヤリと笑ったのだった。
(くくくくく、クロロ……貴様の察しの良さには驚かされたが、妾の本当の目的まではわからなかったようだな。)
「エルフの集落に行くのはわかったんですけど、何でまたそんなところに行くんですか?」
「観光だ。」
そう即答した東雲にクロロは怪しむように目を細めた。
「東雲さんが観光ですか~?」
「なんだ、悪いか?」
「な~んか怪しいなぁ……。」
「怪しいとはなんだ!!相変わらず失礼なやつだ。」
「だって東雲さんって観光とかそういうの興味なさそうですもん。」
「なっ、クロロ貴様ぁ……言ってくれるな。」
ハッキリとそう言ったクロロに、東雲は詰め寄った。
「だってホントのことじゃないですか。東雲さん観光とかそういうのよりも修行の方が好きですよね?」
「くっ……それは……そうだが。」
言葉が詰まる東雲。それもそのはずである。なぜなら、クロロの言っていることは全て的を射ていたからだ。
「ほら何にも言い返せないじゃないですか。」
「こいつっ……口だけは達者だな。胸は小さいくせに……。」
「胸の大きさは関係ないじゃないですか!!それにこの前トリトニーさんに測ってもらって一緒の大きさだったじゃないですか。」
「あれは何かの間違いだ!!妾と貴様が同じバストサイズな訳がないだろう!!」
ルアの前でクロロと東雲の二人は言い争いを始めてしまう。そんな二人の争いを治めるためにルアが口を開く。
「クロロさん、本当にボクと東雲さんはエルフの集落に観光に行くだけなんです。」
「え、ホントなの?」
嘘をついている様子の無いルアにクロロは思わずきょとんとした表情を浮かべた。
「だから最初からそうだと言っているだろうが!!」
「だって東雲さんも観光はあんまり興味ないって雰囲気だったじゃないですか。そりゃあ疑いますよ。」
「ふん、そんなに気になるのなら着いてくればいいだろう。」
「え、いいんですか?」
「別に構わん。ここで時間を食っているよりマシだ。」
やれやれと言った様子でパチンと東雲が指を鳴らすと、三人の足元に魔法陣が現れ、そこから溢れ出た光が三人を包み込んだ。
そして三人が次に目を開けたとき……一行は青々とした木々に囲まれた森の中にいた。
「さて、ここから少し歩くぞ。」
東雲が先頭に立って歩きだすと、ルアとクロロの二人も彼女のあとに続いた。
「ふぇ~……綺麗な森~。やっぱりエルフが護ってると違うなぁ~。ルアちゃんもそう思わない?」
「なんか空気が違いますよね。澄んでるっていうか……何て言うか……。」
ルアも普通の森とは違う雰囲気を感じ取っていた。
そして少し歩くと……奥の方に集落らしきものが見えてきた。
「あそこがエルフの集落だ。」
東雲が指差した先には、木で造られた建造物がいくつも並んでいる。そしてその入り口には、弓矢を背中に担いだ耳の長い女性が門番のように立っていた。
そしてルア達がエルフの集落に近付くと、その二人が声をあげた。
「止まれ。」
「ここから先は我らエルフの集落だ。何用でここまでやって来た?」
「妾達はエルフの朝市を見に来ただけだ。お主らに危害を加えるつもりは一切ない。」
「朝市が目的か……よかろう通るがいい。だが、中で問題を起こせば二度とこの地を踏めぬことになると肝に銘じておけ。」
「もちろんだ。」
門番のエルフ達から許可を得てルア達はエルフの集落の中へと入る。
「あのエルフの人達……凄い怖かったですね。町に来るエルフとは全然雰囲気が違う。」
「当たり前だ。あやつらはこの集落の守り人……つまりエルフの中でも腕利きの者。邪悪な者を見分けるため目を光らせているのだ。」
「へぇ~……。」
そして三人がエルフの集落の中を歩いていると、ようやく目的の朝市が目前に見えてきた。
「うむ、ここも以前から変わらず……だな。」
「ふわぁ~っ!!」
ルアの目に飛び込んできたのは、エルフ達が様々な野菜や果物等々を並べ、売買している様子だった。
一際彼の目を惹いたのは、見たことのない果物や野菜がたくさん並べられているということ。
キラキラと目を輝かせているルアに、ひっそりと東雲は歩み寄ると、ボソリと彼の耳元で囁いた。
「ルア、妾の目的は忘れていないだろうな?ナッツだぞ、ナッツ。」
「わ、わかってます……で、でも他にも何か買ってもいいですよね?」
「構わん。ナッツさえ忘れなければ好きにして良い。」
そしてルアから少し東雲は距離をおくと、クロロに見えないところでニヤリと笑ったのだった。
(くくくくく、クロロ……貴様の察しの良さには驚かされたが、妾の本当の目的まではわからなかったようだな。)
0
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる