もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第二章 呪われた運命

第149話 ルア防衛戦

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 飛び出していった東雲達を追いかけるように、アル達も城の外へと飛び出していった。すると、彼女達の前に天使達が降り立った。

「大人しくそこの♂を渡しなさい。さすれば命だけはとりません。」

 降り立った天使の放った言葉に、ビキリと額に青筋を浮かべたものがいた。

「わしの可愛い可愛いルアを渡せ……じゃと?ふざけたことを……。」

「ふざけてなどいません。この滅び行く運命の世界ならば繁殖も必要ない……違いますか?」

 無表情でそう言った天使に、ロレットが口を出した。

「滅び行く運命の世界……か。いったいその運命とやらは誰が決めたのだ?」

「もちろん我らが主神です。その決定は揺らぐことはありません。」

「ほぅ?ならば貴様らの主神を倒せば滅びは避けられそうだな。」

「なんですって?」

 クスリと笑ったロレットに初めて天使は怒りの表情を浮かべた。

「やはり裏切り者が造り出した世界の者は愚かですね。下界の者が神に楯突くなど……。」

 天使は怒りの表情を浮かべながら、背中の羽を大きく広げた。

「主神を侮辱した罪はその身をもって償ってもらいましょう。」

「フフフフ……そう来なくては面白くない。我らはその滅びの運命に……全力で抵抗させてもらうぞっ!!」

 ロレットは強く地面を踏み込むと、天使に向かって切りかかる。

「っ!?これはっ…………!!」

 滑らかに防御の体勢をとった天使だったが、ロレットの剣に大きく吹き飛ばされていった。

「まだまだ、我の力はこんなものではないぞっ!!」

 吹き飛んでいった天使へと向かってロレットは追撃しに向かう。

「下界の者が……まさか……。」

 その様子を見ていた他の天使が呆然としていると、彼女達に由良はゆっくりと歩み寄った。

「よそ見している余裕があるのかの?」

「ッ!!いつの間に……。」

「ルアを奪いたいのならば……まずはわしを越えていってもらおうかのぉ~?」

「由良さん、私達も手伝いますっ!!」

「ルアちゃんは渡しませんよぉ~っ!!」

 由良と共に天使達の前にクロロとエナも立ちはだかり、臨戦態勢に入った。

「さっさとそこの♂を渡せば命を失うことはなかったというのに……。」

 呆れ顔でそう呟く天使。そんな天使にクロロは急接近し、腰の短刀を引き抜いた。

「隙ありッ!!」

「ッ!!愚か者が……私の言葉を遮るなッ!!」

「わわっ!?」

 天使が放った攻撃をクロロは驚きながらも回避する。すると、避けた本人が驚きの声をあげた。

「おぉ……避けれる…………。私でも避けれるっ!!」

「一度避けた程度で……図に乗るなっ!!人間っ!!」

「させませんっ!!」

 再び攻撃を加えようとする天使の前にエナが立ち塞がり、天使の攻撃からクロロを守る。

「チッ……邪魔を……。」

「エナちゃんありがとっ!!」

 着地したクロロは由良の横に降り立つ。

「クロロ、わしのサポートに回れ。わしが奴等の動きを止める。」

「由良さん……了解ですっ!」

「うむ、では行くぞ。」

 そして由良たちも天使と戦いを始めてしまった。そんな彼女達の様子を見て、ルアのとなりに立っていたアルは満足そうに大きく頷いた。

「うんうん、ただの天使ぐらいならあの子達でも問題なさそうね。あっちはどうかしら?」

 アルはチラリと空中の方へと目を向けた。すると、一人の天使に三人で向かっていく東雲達の姿があった。

「……問題なさそうね。」

 ほっと安心したように一つ息を吐き出したアル。そんな彼女の前に三人の天使が降り立った。

「高みの見物とは……良いご身分ですね。女神アルテミス。」

「あら、私を呼び捨てにするなんて……一介の天使の癖に偉そうね?」

「私たちはあなたより高位の神によって産み出されました。故に、あなたに敬意を払う必要はありません。」

「へぇ?言ってくれるじゃない。」

 にこやかに笑いながらも、アルの瞳の奥深くには怒りの色が浮かんでいた。

「最後に聞いておきます。そこの♂を渡すつもりはないのですか?」

「ないわ。」

 そう即答したアルに、三人の天使たちは呆れた表情を浮かべた。

「ふむ……あなたはあの太陽の神とは違いますね。血が繋がった兄妹と言えど、思想は裏切り者……ですか。」

「太陽の神ですって!?それは兄様のこと!?」

「その通り、彼は良い仕事をしてくれましたよ。私達の道を開いてくれたのですからねぇ。」

「やっぱり……兄様が…………。」

 ふるふるとアルは爪が掌に食い込むほど拳を握りしめ、怒りで体を震わせる。

「あ、アルさん?」

 そんな時、彼女に冷静さを取り戻させたのは、隣にいるルアの声だった。

「……はっ!?私としたことがつい感情的になってたわ。ありがとね。」

 我に返ったアルは優しくルアの頭を撫でた。そして天使達に向き直る。

「兄様が開けた道は私が塞ぐ。これ以上あんた達の好き勝手にはさせないわよ。」

 アルは背中に背負った銀色の弓を手に取り、天使たちへと向かってその弦を強く引いた。
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