もんむすッ!めたもるふぉ~ぜ☆~世界に♂はボク一人!?~

しゃむしぇる

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第二章 呪われた運命

第154話 レトの決意

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 ルア達がなんとか天使達の軍勢を退けたことを確認して、天界にいるレトはホッと安心したようにため息を吐き出した。

「なんとか退けてくれたみたいね。」

 安堵の息を吐き出しながら、レトは大きな縫い針のようなもので天界と地上を繋いでしまった穴を縫い塞ぐ。

「これでよし。」

 一仕事終えたレトはパンパンと手を叩き、額から流れた汗をぬぐう。

「にしてもまさか……アポロンが天使と一緒にやって来るとはね。私もそろそろ動く時かしら。」

 レトがそうポツリと呟いたとき、彼女の後ろから声が聞こえた。

「お母様?」

「ん?あ、あぁ……アル、来てたのね?」

「うん……それで、天使から聞いたんだけど……今回の天使の襲来は兄様が…………。」

 アルが全て言い終える前にレトは口を開いた。

「その通りよ。今回天使を地上に送る原因になったのはアポロンの攻撃のせい。」

「やっぱり兄様がっ…………。」

 ギリリと音をたてて握りこむアルの手のひらからはポツポツと鮮血が滴り落ちていた。

 レトはそんな彼女をフワリと抱き締める。

「あなたは何も気にする必要はないわ。子供の粗相は親の責任……つまり私に責任があるわ。」

「え、そ、それって……。」

「……アポロンは私がわ。」

「っ!!」

 耳元でそう囁いたレトに、アルは体の芯から凍え上がるような寒気を感じた。

「まぁ、あなたは今は力を取り戻すことに専念しなさい。天使三人を倒すのに力を殆ど使いきったでしょ?」

「うっ……ふ、不甲斐ないです。」

「それでも今回、あなたの活躍があったからこそ……被害なく襲撃を避けられたわ。ありがとう。」

 不甲斐ない……と頭を下げたアルの頭に優しくレトは手を置き、お礼の言葉を述べながら撫でた。

「そ、そんな私の活躍なんて……微々たるものです。殆どの天使はあの子が倒しましたし……。ってそれよりも、あの子のあの力……あれはいったいなんなんですか?」

「ん~、簡単に説明するなら……私の力の一部って感じかしら。」

「お母様の力の一部……ということはあれも闇の力なんですね?」

「その通り。闇は全てを呑み込んで一体化する……そういう性質の力をあの子には与えたのよ。呑み込むモノはあの子の思うがまま……神の力を得たいと思えば一時的ではあるけれど、神の力を扱えるようになるわ。私の場合は、このドレスを貸し出してるだけだけどね。」

 ポンと突然レトは自分の手元に先ほどまでルアが身に纏っていたドレスを出現させた。そしてほのかに温もりが残っているドレスに顔を埋め、レトは大きく深呼吸すると表情を蕩けさせた。

 そんな彼女に呆れながらアルが言う。

「ドレスを貸し出してるだけって……よく言いますよね?そのドレス……とんでもなく濃い濃度のお母様の力が凝縮されてるじゃないですか。」

「うふふっ♪そりゃあそうよ。だってあの子は今の私の生き甲斐でもあるし、私が創った世界の唯一の男の子よ?死なれちゃ困るわ。」

 楽しげに笑うレトにアルがとあることを問いかける。

「それで……これからどうするつもりですか?」

「どうするって…そういう何を?」

「兄様がまた襲撃に来るかもしれないじゃないですか。それに今度は名付きの天使も送ってくるかもしれませんよ?」

「本当なら大本のあのを消し去ってやりたいところだけど……あいついっつも私のの近くにいるのよね。」

「一番はお父様が止めてくれれば良いんですけどね。」

 苦虫を噛み潰したような表情になったレトに、アルは思わず苦笑いを浮かべる。

「あの人のことよ。ど~せあの女の尻に敷かれてるに決まってるわ。」

 諦め口調でそう話したレトにアルが問いかける。

「お母様はお父様に復縁の申し出とかをするつもりは……。」

「無いわっ!!」

 アルの問いかけにレトはそう即答した。

「仮にもし次に結婚するなら相手は~、ん~やっぱりボクちゃんかしらね~♥️可愛いし、素直だし、やっぱり可愛いし?」

 顔を赤らめ、くねくねと体を動かしながらレトは言った。

「あはは……もうお母様はあの子一筋ですね。」

「当たり前よ~。何のためにあの子の魂をこっちに持ってきて転生させたと思ってるの。あ、もちろん第一婦人は私だけど、第二婦人ならアルに譲っても良いわよ?」

「えぇっ!?わ、私はべつに………。」

 話をふられた瞬間、そっぽを向いて顔を赤らめたアルに、レトは何かを確信しゆらりと歩み寄った。

「ふ~ん?本当に?」

「うっ……。」

 レトがずいっと顔を近付けてくると、視線を合わせないように明後日の方向を向いたアル。そんな彼女の近くでわざとらしくレトは鼻をならしながら言った。

「クンクン……クンクン?う~ん、なにやら甘酸っぱ~い香りがするわねぇ~?」

「し、しないですっ!!わ、私はそろそろ地上に帰りますっ、お母様の無事も確認できたし……そ、それではっ!!」

 恥ずかしさを紛らわすようにアルは地上へと戻っていってしまった。そんな彼女の後ろ姿をレトは微笑みながら見送った。
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