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第三章 終焉を呼ぶ七大天使
第239話 夢の中で
しおりを挟む正気を取り戻したルアはまた走って旅館の中へと駆け込むと、息を切らしながら部屋へと戻る。
すると、ずいぶん息を切らして帰ってきたルアの姿を見てロレットが首をかしげた。
「む?そんなに疲れた様子でどうしたんだルア?」
「な、何でもないです……。ちょっと横になりますね。」
「うむ、そうするといい。」
ふかふかのベッドにルアは体を預けて、さっきのことを振り返る。
(真琴さんに大変なことしちゃった……。嫌われちゃったかな。)
先ほど自分の心のうちから沸き上がってきた衝動に駆られ、真琴を押し倒してしまったことに罪悪感を感じているルア。
(後でちゃんと謝らないと……。それにしてもさっきのはなんだったんだろう。真琴さんに抱き締められたら何も考えられなくなっちゃった。)
さっぱり自分があんなことをしてしまった原因がわからず、ルアは頭を抱える。
(でも今は収まったし、大丈夫……なのかな?)
色んな可能性がルアの頭をよぎるが、それらは全て憶測に過ぎない。もやもやする気持ちを振り払い、ルアは少し休むべくベッドの上で目を閉じた。
(まだ夕方まで時間があるし……少し休も。うん、きっとそれで大丈夫。)
そしてスーっとベッドに沈みこむように、ルアの意識が吸い込まれるように微睡みの中へと落ちていく。
ふわふわと微睡みの中を漂っていたルアだったが……ふと、意識が覚醒する。
「あ……れ?」
ルアが目を開けると、そこは先ほどまでルアがいた旅館ではなく……どこか別の場所に彼は寝かされていた。
「ここは……どこ?夢?」
夢のようで、現実のような世界観にルアは戸惑う。しかし、現実ならば自分は旅館の中にいるはずだ……と、冷静に考えた彼はここが夢の世界であることを確信する。
「変な夢。」
ポツリとそう呟いて、ルアは寝かされていた大きな円形のベッドの上から降りようとした。
すると、頭上から声が響く。
「あははっ、夢の中へようこそ~♪歓迎するよルアくん?」
「へっ!?」
聞き覚えのあるその声が聞こえてきた方を振り向くと、そこにはクスクスと悪戯に笑うミリアの姿があった。
彼女はフワリとベッドの上に降り立つと、ふかふかのベッドを踏みしめながらルアへと近付く。
「み、ミリア……さん?」
「驚いてるね~ルアくん。まぁ、無理はないよ。ここはルアくんの夢の中。そこに私が入り込んで、ちょ~っと細工した世界っ!!夢の中だから~自分が思ったことは自由自在にできるんだ~。こんな風に……ねっ?」
「わっ!?」
ミリアがくいっと人差し指を曲げると、フワリとルアの体が浮かび上がり、ルアはミリアの目の前へと連れてこられる。
「あはっ♪すごいでしょ?」
「あ、あの……下ろしてくれませんか?ちょっとふわふわして怖いんですけど。」
「あっ、ごめんごめん。今下ろすよ。」
ミリアが再び指を動かすと、ルアの体はゆっくりとベッドの上へと下ろされた。
浮いていた体がベッドの上へと下ろされると、ルアは安堵のため息を吐く。
「あ、あの……それでどうしてボクの夢にミリアさんがいるんです?」
「それはね~、ロレットちゃん一人がキミを独占するのは不公平だからさ~。こうやってルアくんが眠るのを待って、夢の中でイチャイチャしようかな~って思ってね♪」
そう告げると、ミリアはルアの体にぎゅう~っと抱きつく。それと同時にルアの鼻腔を刺激するのは甘ったるい……以前嗅いだことがあるような香り。
そして気がつけば、辺りにはピンク色の霧が漂っていた。
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