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第三章 終焉を呼ぶ七大天使
第241話 夕食の前に
しおりを挟む目を覚ましたルアとロレットが窓から夕陽を眺めていると、コンコン……と部屋の扉がノックされ、その奥から寧々の声が……。
「お客様、御夕食の前のサウナのご用意ができましたのでどうぞご利用ください。」
「む?さうな……とはなんだ?」
「え、ロレットさんサウナ知らないんですか?」
「ルアはわかるのか?」
「はい、サウナっていうのは蒸し風呂のことですよ。」
「蒸し風呂か。蒸気で体を熱するのか?」
「そうですね、サウナに入った後水風呂に入って……その後風に当たるとすっごく気持ち良いんですよ!!」
少し興奮ぎみにルアは語る。
「そ、そうなのか。では物は試しだ、サウナとやらに入ってみるか。」
そしてルアとロレットは部屋の外にいた寧々に連れられ、サウナ室へと案内される。その途中ルアは寧々に問いかける。
「そういえば、他の皆は……?」
「ほかの皆様でしたらもう既にあちらで……。」
そう言って彼女が指差した方には、木製の長椅子に水着姿でゆったりとしている由良達の姿があった。
どうやらもう既に彼女達はサウナに入った後で、現在は整えている最中らしい。
「お二方が最後ですので、ごゆっくりお楽しみ頂けますよ。」
「それは楽しみだな。それにここでもルアと二人きりに……ふふふふふ。」
「ロレットさん、サウナが楽しみなのは良いことですけど無理はしちゃだめですよ?」
「む?サウナとは無理するものなのか?」
一切サウナの知識がないロレットに、この旅館の女将である寧々がクスクスと笑いながら言った。
「サウナは湯船の温度よりも遥かに高い温度に体を晒しますから、逆上せやすいんですよ。」
「湯船の温度よりも高い温度……か、熱くはないのか?」
「多少は熱さは感じるかもしれませんが、こちらでしっかりと温度管理しますので火傷したりするようなことはありません。」
そんなことを話ながらルアとロレットはサウナ室の隣にある脱衣場に通されると、そこで用意されていた水着へと着替える。
そして着替え終えた二人を寧々は85度と表示されているサウナ室へと誘う。
「では温度が逃げないうちにお入りください。」
「わ~!!ありがとうございます!!」
「あ、おいルア!?」
寧々がスッと開けたサウナ室へと飛び込んでいくルア。少しためらいながらも足を進めるロレットの背中を寧々が軽く押した。
「はいはい、お入りくださいね~。」
「む、むぉぅ!?」
そしてロレットを強引にサウナ室へと押しながら、寧々もサウナ室へと一緒に入る。すると、既にルアはほっこりとしながら腰かけていた。
そのとなりにロレットも座る。
「おぉ……空気が熱い。まるで火山の近くにいるようだな。」
「これからもっと熱くなりますよ~。」
にっこりと寧々は笑うとおもむろに熱された石の隣に置いてあった桶から水を汲み上げると、それを熱された石へ勢いよくかけた。すると、サウナ室に熱い水蒸気が一気に充満していく。
「むっ!?な、なかなか熱いぞ!?ルアは大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ~、このぐらいならまだ。」
「そ、そうなのか。」
そして寧々は大きなタオルを両手で手にすると、熱い水蒸気を全体に回すべく扇ぎ始めた。
「ほへぇ~……気持ちいいです~。」
「熱っ!?熱いぞ!?さ、サウナとはこんなに熱いものなのか!?」
気持ち良さそうに風を受けるルアとは対照的に、龍ながらも熱がるロレット。
「もう少し扇ぎますよ~。」
「ま、まだ来るのか……。」
そして幾度か寧々は扇ぐとにこりと笑いながらペコリとお辞儀をした。
「それではお楽しみ下さいね。」
「はーい!!」
「う、ぅむ。」
それからルアとロレットのサウナ室での我慢対決が幕を開けるのだった。
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