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第一章 龍の料理人
第49話
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いつも通りカミルの快適な空中飛行で私は城へと運んでもらう。カミルが私を抱えて中庭に降り立つと、それに続いてヴェルとマームも降りてきた。
「と~ちゃ~く。な~のじゃ~。」
「いつも助かるよ。ありがとう。」
中庭に降ろしてもらった後に、私はカミルにお礼を言った。いつも運んでもらっているからな。お礼ぐらいは言わないと……な。
「これぐらいどうってことないのじゃ~。」
そう言ったカミルは人の姿に変身すると私の耳元で囁く。
「ヴェルの飛行は乱暴だったじゃろ?」
「少しな。」
クスリと笑いながら囁いたカミルに、私は苦笑いしながら人差し指と親指で少し……と言うのを表現した。
「ちょっと~内緒話~?」
「あ、いや今日のご飯のメニューを話し合ってたんだ。」
怪しそうにこちらをジト~っと見つめてきたヴェルは、鼻からフン……と息を吐き出し何度かうなずいた。
「ふ~ん、まぁそういうことにしといてあげようかしら。私ももうおなか減っちゃったしぃ~?」
「私もお腹ペコペコ。ミノル早く料理作って?あ、お菓子も忘れちゃダメ。」
「あぁ、さっそく調理に入らせてもらうよ。」
そして私は引きずられる前に厨房へ向かおうと、足早に歩きだすが……。不意にカミルに右手を掴まれる。
「さぁ、そうと決まれば早く行くのじゃ~。」
「はぁ……もう何も言わないよ。」
もう料理のことしか頭にないカミルは、一刻も早く私に料理を作らせるため、いつものように私を引きずって厨房へと連れていく。もう抵抗しないほうが無駄に体力を消耗しないことがわかったので今更抵抗する意味はない。
引きずられる私の後ろ姿を見てヴェルとマームはつぶやく。
「ミノルも大変ね~。」
「でもミノルは嫌がってないよ?むしろ楽しそう……。」
「ふふっ、それは間違ってないかもね~。さ、私たちも置いていかれないように早く行きましょ?」
「うん。」
ヴェルとマームの二人はミノルの後を追うように城の中へと入っていったのだった。
そして一方その頃カミルに引きずられているミノルの方では、ミノルの頭にしがみつくシルフが引きずられるミノルを見てぽつりとつぶやいた。
「いっつもこんな感じなのカ~?」
「まぁな、カミルは料理のことになると自分を忘れることがよくあるんだ。もう慣れっこさ。」
「お前も大変だナ~。」
シルフが私に同情するような様子を見せていると、あっという間に厨房が見えてきた。
「そういえばシルフは……嫌いなものとかってあるのか?」
調理を始める前に、私はシルフに苦手なものなどを聞いた。
「ン~……わかんないナ~。」
「じゃあ普段食べてるものはなんだ?」
「森に実ってる果物とか食べてるゾ?」
なるほどな。いかにも精霊らしい食べ物だ。
「肉とか魚は食べないのか?」
「あんまり食べないナ~。エルフが肉食べないからオイラ達もあんまり食べないんダ~。」
「ふむ、なるほど?」
シルフの説明に納得していると、私達の話を聞いていたカミルが言った。
「エルフは遥か昔から菜食主義を貫いておる種族じゃ。精霊とエルフの繋がりは深い。じゃから双方の食文化が似てくるのは仕方のないことじゃな。」
「だが、シルフは肉とか魚を食べられないってわけじゃないんだろ?あくまでも主食が果物ってだけで……。」
「まぁナ~。エルフみたいに禁止されてはいないゼ?」
なら何の問題もなさそうだな。普通に今回買った魚を使った料理を提供してもよさそうだ。
もしあれだったら野菜と果物だけの料理を作ろうかと、一瞬頭の中で考えたが……余計だったみたいだ。
「じゃあ今日は普通に買ってきた魚を使って料理を作らせてもらうよ。……カミル、危ないからちょっとシルフを預かっててくれないか?」
「わかった。ほれ、こっちに来い。」
調理中は危ないから、頭に乗っていたシルフをカミルに預かっていてもらう。頭の上……とはいえ高温の油が跳ねたりするからな。
そんなやり取りをしていると、厨房の中にヴェルとマームの二人も遅れて入ってきた。すると皆一ヶ所に集まって他愛のない会話を始めた。
「さて……やるか。」
キュッと純白の前掛けを腰に結び着け、私は調理を始めることにした。
「まずは買ってきた魚を全部水洗いして……三枚に下ろすところからだな。」
買ってきた魚を水で洗いながら鱗を落として、頭と内臓を抜いて綺麗にして次々に三枚に下ろしていく。
異世界の魚とはいえ、体の構造は地球に生息していたものと何ら変わらない。それ故あっという間に下ろし終わってしまった。
「よし、身の中で血は凝固してない。」
三枚に下ろした身を観察してみると、白身魚の透明な身にも血が残っている様子はない。やはり私の目利きに間違いはなかったな。
「え~……っと、先ずはお造り用に幾つか柵を取って……後は別な料理にしよう。」
正直醤油という生魚に最高に相性のいい調味料がないから、お造りの量はそんなに多くなくていい。とはいえ、せっかくいっぱい買ったし……食べ比べとして一応全種類作りにはするけどな。
そして全種類の魚の柵を取り終えたので、手早くそれらをお造りにしていく。
「付け合わせに飾り切りした野菜を乗せて……これでよし。後は冷蔵庫で十分に冷やしておこう。」
さて、お造りは終わった……次は何にしようか?この前カミルにはキラーフィッシュを使って焼き物を作ったよな。
なら、今日は志向を変えて揚げ物でいこうか。丁度ライネル商会で購入したアレを試したかったし、いい機会だ。
「と~ちゃ~く。な~のじゃ~。」
「いつも助かるよ。ありがとう。」
中庭に降ろしてもらった後に、私はカミルにお礼を言った。いつも運んでもらっているからな。お礼ぐらいは言わないと……な。
「これぐらいどうってことないのじゃ~。」
そう言ったカミルは人の姿に変身すると私の耳元で囁く。
「ヴェルの飛行は乱暴だったじゃろ?」
「少しな。」
クスリと笑いながら囁いたカミルに、私は苦笑いしながら人差し指と親指で少し……と言うのを表現した。
「ちょっと~内緒話~?」
「あ、いや今日のご飯のメニューを話し合ってたんだ。」
怪しそうにこちらをジト~っと見つめてきたヴェルは、鼻からフン……と息を吐き出し何度かうなずいた。
「ふ~ん、まぁそういうことにしといてあげようかしら。私ももうおなか減っちゃったしぃ~?」
「私もお腹ペコペコ。ミノル早く料理作って?あ、お菓子も忘れちゃダメ。」
「あぁ、さっそく調理に入らせてもらうよ。」
そして私は引きずられる前に厨房へ向かおうと、足早に歩きだすが……。不意にカミルに右手を掴まれる。
「さぁ、そうと決まれば早く行くのじゃ~。」
「はぁ……もう何も言わないよ。」
もう料理のことしか頭にないカミルは、一刻も早く私に料理を作らせるため、いつものように私を引きずって厨房へと連れていく。もう抵抗しないほうが無駄に体力を消耗しないことがわかったので今更抵抗する意味はない。
引きずられる私の後ろ姿を見てヴェルとマームはつぶやく。
「ミノルも大変ね~。」
「でもミノルは嫌がってないよ?むしろ楽しそう……。」
「ふふっ、それは間違ってないかもね~。さ、私たちも置いていかれないように早く行きましょ?」
「うん。」
ヴェルとマームの二人はミノルの後を追うように城の中へと入っていったのだった。
そして一方その頃カミルに引きずられているミノルの方では、ミノルの頭にしがみつくシルフが引きずられるミノルを見てぽつりとつぶやいた。
「いっつもこんな感じなのカ~?」
「まぁな、カミルは料理のことになると自分を忘れることがよくあるんだ。もう慣れっこさ。」
「お前も大変だナ~。」
シルフが私に同情するような様子を見せていると、あっという間に厨房が見えてきた。
「そういえばシルフは……嫌いなものとかってあるのか?」
調理を始める前に、私はシルフに苦手なものなどを聞いた。
「ン~……わかんないナ~。」
「じゃあ普段食べてるものはなんだ?」
「森に実ってる果物とか食べてるゾ?」
なるほどな。いかにも精霊らしい食べ物だ。
「肉とか魚は食べないのか?」
「あんまり食べないナ~。エルフが肉食べないからオイラ達もあんまり食べないんダ~。」
「ふむ、なるほど?」
シルフの説明に納得していると、私達の話を聞いていたカミルが言った。
「エルフは遥か昔から菜食主義を貫いておる種族じゃ。精霊とエルフの繋がりは深い。じゃから双方の食文化が似てくるのは仕方のないことじゃな。」
「だが、シルフは肉とか魚を食べられないってわけじゃないんだろ?あくまでも主食が果物ってだけで……。」
「まぁナ~。エルフみたいに禁止されてはいないゼ?」
なら何の問題もなさそうだな。普通に今回買った魚を使った料理を提供してもよさそうだ。
もしあれだったら野菜と果物だけの料理を作ろうかと、一瞬頭の中で考えたが……余計だったみたいだ。
「じゃあ今日は普通に買ってきた魚を使って料理を作らせてもらうよ。……カミル、危ないからちょっとシルフを預かっててくれないか?」
「わかった。ほれ、こっちに来い。」
調理中は危ないから、頭に乗っていたシルフをカミルに預かっていてもらう。頭の上……とはいえ高温の油が跳ねたりするからな。
そんなやり取りをしていると、厨房の中にヴェルとマームの二人も遅れて入ってきた。すると皆一ヶ所に集まって他愛のない会話を始めた。
「さて……やるか。」
キュッと純白の前掛けを腰に結び着け、私は調理を始めることにした。
「まずは買ってきた魚を全部水洗いして……三枚に下ろすところからだな。」
買ってきた魚を水で洗いながら鱗を落として、頭と内臓を抜いて綺麗にして次々に三枚に下ろしていく。
異世界の魚とはいえ、体の構造は地球に生息していたものと何ら変わらない。それ故あっという間に下ろし終わってしまった。
「よし、身の中で血は凝固してない。」
三枚に下ろした身を観察してみると、白身魚の透明な身にも血が残っている様子はない。やはり私の目利きに間違いはなかったな。
「え~……っと、先ずはお造り用に幾つか柵を取って……後は別な料理にしよう。」
正直醤油という生魚に最高に相性のいい調味料がないから、お造りの量はそんなに多くなくていい。とはいえ、せっかくいっぱい買ったし……食べ比べとして一応全種類作りにはするけどな。
そして全種類の魚の柵を取り終えたので、手早くそれらをお造りにしていく。
「付け合わせに飾り切りした野菜を乗せて……これでよし。後は冷蔵庫で十分に冷やしておこう。」
さて、お造りは終わった……次は何にしようか?この前カミルにはキラーフィッシュを使って焼き物を作ったよな。
なら、今日は志向を変えて揚げ物でいこうか。丁度ライネル商会で購入したアレを試したかったし、いい機会だ。
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2025/12/7
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