アナザーワールドシェフ

しゃむしぇる

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第一章 龍の料理人

第109話

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 盛り付けた肉とコトコトと沸いた鍋をカミル達のもとに運ぶと……。

「おぉ~!!肉の花が咲いておるのじゃ!!これはなんじゃ?どうやって食えばよいのじゃ?」

「その肉をこの鍋に入れて火を通して食べるんだ。野菜とかと一緒にな。」

「ほぉ~…………ってその鍋とやらは一つしかないが、もしやこれを皆で食うのか?」

「その通り、皆で一つの鍋を囲って食べる……これがこの鍋という料理の食べ方だ。……あぁ、安心してくれ。肉とか野菜のおかわりはたくさんあるからな。」

 鍋の説明をすると、目を輝かせながらアベルが言った。

「へぇ~、面白そうな料理だね。皆でこれを食べるんだ……食材の奪い合いになりそうな予感。」

「まぁ、今回は鍋奉行は私がやるから……食材の奪い合いには極力ならないように頑張るよ。」

「「「「鍋奉行?」」」」

 聞いたことがない言葉に皆は一様に首をかしげた。

「鍋に入った肉や野菜の火の通り具合、配分を取り仕切る役目のことだ。」

「なるほどね、それはミノルが一番適任ね。私は異議な~し。」

「妾も異論ないのじゃ~。」

「私も無し。」

「要はミノルがそれをやれば常に美味しい状態のお肉が食べれるってことだよね?それならボクも異論ないや。」

 カミル達は私が鍋奉行を務めることに異議はないらしい。

「ノノはどうだ?」

「大賛成ですっ!!」

「そうか、なら皆賛成ってことで今日は私が鍋奉行を務めさせてもらおう。」

 となれば早速肉を……。

 肉を人数分入れようと思い箸に手を伸ばしたとき、ふとカミルが呟いた。

「そういえば今日はあの米?じゃったか、あれはないんじゃな?」

「ん?あるぞ?あそこに……。」

 私は火口の上に置かれた土鍋を指差した。

「む?ではなぜ、ここにないのじゃ?」

「まぁそれは後でわかる。今は鍋の肉と野菜を食べることに集中しててくれ。」

「ミノルがそう言うのなら……わかったのじゃ。」

 カミルを納得させ、私は鍋に肉を入れていく。そして火が入った肉を野菜と共にカミル達の器に取り分けていく。

「おぉ~来たのじゃ~肉っ、肉じゃ~。」

「野菜もとろとろで美味しそうね。」

 カミル達は取り分けられた肉と野菜を見て目を輝かせていた。

「さっ、熱いうちに食べてくれ。一応火傷には気を付けてな。」

「むっふっふ~妾に火傷など関係ないのじゃ~っ!!」

 熱々で未だ湯気が上がる肉と野菜をカミルは一口で口に運んだ。

「んん~!!美味い!!美味いのじゃ~。」

「あぁいう獣の肉って血生臭いのかと思ってたけど、全然そんなことないわね~。」

「野菜もとろとろで甘い。」

「こんな風にベネノボアを毒抜きして食べれたら財政策になるんだけどなぁ~。美味しいし……。でもミノル無しじゃ今のところ無理だからなぁ~。ま、これはボク達だけが食べられる特別な物ってことにしとこっかな。」

 アベル曰くどうやらこの抽出という魔法を使えるのは私だけらしいからな。量産は無理だろう。
 そんなことを思っていると、私のとなりに座るノノが必死に肉に息をふ~…ふ~と吹き掛けていた。

「ノノはやっぱり熱いものは苦手か?」

「はい……まだちょっと苦手です。」

 猫舌ってやつだな。まぁノノ自身猫の獣人みたいだし、性質上仕方のないことだろう。大人になるにつれて熱いものの食べ方がわかってくることを願うか。

「ま、ゆっくり食べるといい。肉も野菜も逃げないからな。最初も言ったが、火傷には気を付けてな?」

「はいっ!!」

 さて、そろそろまたカミル達に肉と野菜をよそってやらないとどやされそうだからな。

 カミル達が不自由しないように私は肉と野菜を鍋に足していった。

 そして鍋の出汁だけが残り、野菜と肉をほとんど食べ尽くした頃……私は皆に問いかけた。

「皆まだお腹空いてるだろ?」

「そうじゃな。米を食っとらんし、全然腹に空きはあるのじゃ。」

「私もまだまだ食べられるわよ~?」

「私も全然いける。」

「ボクもまだ食べれるよ?」

「ノノも食べれますっ!!」

「良し、じゃあ最後……鍋の〆といこうか。」

 私は土鍋で炊いた米をさっと水で洗い、出汁の入った鍋へと入れた。その上に少し余った肉と野菜を敷き詰め、更にその上から卵を流し込んだ。

「後は卵に火が通るまで蓋をしてっと。」

 鍋に蓋をして少し蒸らしている最中、カミルが私に問いかけてきた。

「のぉ、ミノル鍋の〆……とはなんじゃ?」

「最後に汁だけ鍋に余っただろ?それに米とか麺をいれて食べることを鍋の〆って言うんだ。まぁ簡単に言えば鍋を最後まで味わい尽くす方法って言えばわかるな?」

「なるほどのぉ~、無駄がない料理じゃな。」

「その通り……っとそろそろだな。」

 カポッという音を立てて鍋の蓋を開けると、鍋の中から出汁をたっぷりと吸ったご飯と、とろとろの卵が姿を現した。

「「「「「おぉ~っ!!」」」」」

「っとまぁ今回の鍋の〆は雑炊だ。満足がいくまで食べてくれ。」

 そして鍋の〆まできっちりとカミル達は味わって食し、お腹を膨らませたのだった。寒くなってきたこれからの季節時々こういう風に鍋をやるのも悪くないかもな。
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