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5.仕事編
3.クルーズ・カカリア様
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「アスラン殿、お役目ご苦労さま。もう戻っていいですよ」
その眼鏡の男性が、ニコっと笑って言った。
「いや、ここでの用が済むまでいますよ」
アスラン様もこれまたニコっと笑って言った。
「おかしいなぁ。あなたには、ルシンダ嬢をここまで案内するという任務だけお願いしたはずですが?」
「“ターリー伯爵夫人”をここまで連れてきて、家まで送り届けるの間違いですね。カカリア様」
「やだな。その名を嫌いなの知ってるでしょ。いつも通り呼んでよ」
カカリア様の顔色が険しくなった。
「なら、遠慮なく言わせて頂くが、なんのつもりなのかな?!クルーズ?!」
「だ、か、ら。調査ですよ。あなたの“能力”に関わる大事な調査です」
カカリア様は満足そうだった。
「ルシンダ殿、失礼しましたね。私は、ここ魔術部のクルーズです。一応、部長ね」
カカリア様は、ガミガミ言っているアスラン様を無視して、私に自己紹介された。
「ルシンダ・ターリーと申します。何がお役に立てるのか分かりませんが、宜しくお願い致します」
私は、丁寧に挨拶をした。
「そんな堅苦しいのはいいんですよ。気楽にしてください。どうぞ座って座って!」
カカリア様に促されたが、座るところがない。
椅子やソファには荷物が山積している。
「…あの…」
私はどうしてよいか分からず、困ってしまった。
すると、アスラン様がソファの荷物を持ち上げて、違う荷物の上にドカッと投げるように置いた。
「ちょっとちょっと!手荒に扱わないでよ!」
カカリア様が焦っている。
「ソファは座るものですよ。荷物を置くところではないです!だいたい、なぜここには掃除が入っていないんですか?!」
アスラン様は怒っていらっしゃる。
「だって…」
カカリア様はアスラン様と目を合わそうとしない。
「また、圧力かけましたね?!」
「だって、ちゃんと扱ってくれないんだもん!」
カカリア様は、なんだか子供みたいだ。
「あの…魔術部の他の方は…?」
私は入室した時から、ずっと不思議に思っていた。
ここには、カカリア様以外の方の形跡がないのだ。
「え?魔術部は僕だけだけど…?」
カカリア様は平然と言った。
「え…!?」
私は、驚いた。
しかし、アスラン様は全く驚いてはいない。
それはそうだ。
知っているのだ。
「とにかく座って話そう」
カカリア様が、再びそう促した。
私は恐る恐る、ソファに座った。
「僕がルシンダ殿にここに来ていただいたのは、他でもない、アスラン殿のことです」
「はい!」
そこから私は、カカリア様から色々な質問を受けた。
妖精さんたちのことも隠さず話をした。
私の魔力のことや、何かは分からないが加護を受けているらしい、ということまで、とにかく細かく説明をした。
カカリア様は、それを真剣に聞いてくれたのだ。
「なるほど…結論的に言うと、アスランは既に年を取り始めた、ということだね?そして、そのきっかけとなったのが、君か?ルシンダ」
カカリア様は、何かを考え始めたようだった。
「クルーズ、呼び捨てはよくないな…」
アスラン様は、機嫌があまりよくない。
「え?」
カカリア様は気づいていない。
「いいんです。カカリア様のご意見をお聞きしたいです」
私は、カカリア様の考えをただ聞きたかった。
「とりあえずは、ルシンダの加護がどこからきたのか、調べたいよね…」
カカリア様がボソッと言った。
「私もです!」
私は食いついた。
「やっぱり?一緒に調べない?」
「ルシンダ?!」
カカリア様の言葉を聞いて、アスラン様は首を横に振っている。
「いいんですか??」
こんな機会、もう二度とないだろう。
私は、そう思うと居ても立ってもいられなかった。
アスラン様!ごめんなさい!!
「分かった!ルシンダは、今日から魔術部所属ね!」
カカリア様がそう言われた時、アスラン様は頭を抱えていた。
その眼鏡の男性が、ニコっと笑って言った。
「いや、ここでの用が済むまでいますよ」
アスラン様もこれまたニコっと笑って言った。
「おかしいなぁ。あなたには、ルシンダ嬢をここまで案内するという任務だけお願いしたはずですが?」
「“ターリー伯爵夫人”をここまで連れてきて、家まで送り届けるの間違いですね。カカリア様」
「やだな。その名を嫌いなの知ってるでしょ。いつも通り呼んでよ」
カカリア様の顔色が険しくなった。
「なら、遠慮なく言わせて頂くが、なんのつもりなのかな?!クルーズ?!」
「だ、か、ら。調査ですよ。あなたの“能力”に関わる大事な調査です」
カカリア様は満足そうだった。
「ルシンダ殿、失礼しましたね。私は、ここ魔術部のクルーズです。一応、部長ね」
カカリア様は、ガミガミ言っているアスラン様を無視して、私に自己紹介された。
「ルシンダ・ターリーと申します。何がお役に立てるのか分かりませんが、宜しくお願い致します」
私は、丁寧に挨拶をした。
「そんな堅苦しいのはいいんですよ。気楽にしてください。どうぞ座って座って!」
カカリア様に促されたが、座るところがない。
椅子やソファには荷物が山積している。
「…あの…」
私はどうしてよいか分からず、困ってしまった。
すると、アスラン様がソファの荷物を持ち上げて、違う荷物の上にドカッと投げるように置いた。
「ちょっとちょっと!手荒に扱わないでよ!」
カカリア様が焦っている。
「ソファは座るものですよ。荷物を置くところではないです!だいたい、なぜここには掃除が入っていないんですか?!」
アスラン様は怒っていらっしゃる。
「だって…」
カカリア様はアスラン様と目を合わそうとしない。
「また、圧力かけましたね?!」
「だって、ちゃんと扱ってくれないんだもん!」
カカリア様は、なんだか子供みたいだ。
「あの…魔術部の他の方は…?」
私は入室した時から、ずっと不思議に思っていた。
ここには、カカリア様以外の方の形跡がないのだ。
「え?魔術部は僕だけだけど…?」
カカリア様は平然と言った。
「え…!?」
私は、驚いた。
しかし、アスラン様は全く驚いてはいない。
それはそうだ。
知っているのだ。
「とにかく座って話そう」
カカリア様が、再びそう促した。
私は恐る恐る、ソファに座った。
「僕がルシンダ殿にここに来ていただいたのは、他でもない、アスラン殿のことです」
「はい!」
そこから私は、カカリア様から色々な質問を受けた。
妖精さんたちのことも隠さず話をした。
私の魔力のことや、何かは分からないが加護を受けているらしい、ということまで、とにかく細かく説明をした。
カカリア様は、それを真剣に聞いてくれたのだ。
「なるほど…結論的に言うと、アスランは既に年を取り始めた、ということだね?そして、そのきっかけとなったのが、君か?ルシンダ」
カカリア様は、何かを考え始めたようだった。
「クルーズ、呼び捨てはよくないな…」
アスラン様は、機嫌があまりよくない。
「え?」
カカリア様は気づいていない。
「いいんです。カカリア様のご意見をお聞きしたいです」
私は、カカリア様の考えをただ聞きたかった。
「とりあえずは、ルシンダの加護がどこからきたのか、調べたいよね…」
カカリア様がボソッと言った。
「私もです!」
私は食いついた。
「やっぱり?一緒に調べない?」
「ルシンダ?!」
カカリア様の言葉を聞いて、アスラン様は首を横に振っている。
「いいんですか??」
こんな機会、もう二度とないだろう。
私は、そう思うと居ても立ってもいられなかった。
アスラン様!ごめんなさい!!
「分かった!ルシンダは、今日から魔術部所属ね!」
カカリア様がそう言われた時、アスラン様は頭を抱えていた。
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