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6.大精霊編
9.苦悩のはじまり
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「ルシンダちゃん」
ルシンダが魔術部に出勤するようになって、セラは彼女をそう呼ぶようになっていた。
王城や魔術部で必要なことは全部、セラがルシンダに教えてくれていた。
「セラさん~聞いて下さいよ~!」
ルシンダはいつもそう言って、ちょっとした愚痴から細かい相談まで、何でもセラに話をするようになっていた。
また、年の近いアンナとルシンダはすぐに打ち解け、研究室に2人の明るい笑い声が響くようになった。
セラは、それを嬉しそうに傍から眺めていた。
「セラ?」
クルーズが懐疑的な表情をしていた。
「何ですか?」
クルーズの言いたいことは分かっていたが、セラは気づかないふりをした。
クルーズはややこしい相手だ。隙を見せないほうが無難だった。
そんなある日、ルシンダはたまたま一人で研究室の留守番をしていた。
クルーズとセラはアンナを連れて、魔法部隊の予算協議に出ていた。
「暇だな~」
ルシンダは掃除をしたり、本を読んだりしていたが、すぐに飽きてしまっていた。
トントントン
ルシンダがソファに寝転がっている時、ドアを叩く音がした。
ルシンダは驚いて飛び起きた。
「はい!」
ルシンダの返事とともに、ドアが開いた。
「クルーズは?」
開口一番そう言ったのは、アスラン・ターリーであった。
「あ、失礼。あれ?君はライトの奥さんだよね?」
アスランはルシンダが魔術部で働いていることを知らないようだった。
「先日から、こちらで働かせていただいております。あの、クルーズ様もセラさんも会議に出席していらっしゃいまして、今は私ひとりなんです」
アスランを目の前にして、ちゃんと説明できたことが、ルシンダには奇跡的なことであった。
それだけ、どんどん速く心臓が音を上げていた。
なんて、なんて素敵な人なの…
「そうだったのか…と、いうことは君は魔力を有しているのかな?」
アスランが不思議そうに聞いた。
「そうです。大した魔力ではないと思っていたのですが、クルーズ様に是非、魔法部隊にと言って頂きまして…」
「へー!あのクルーズがそう言ったのか?すごいな。ルシンダ殿と言ったよね?期待してるよ」
アスラン様がルシンダに近づいてきて言った。
そして、徐にルシンダの髪を触った。
「え?!」
ルシンダの顔は真っ赤になってしまった。
「あ…!すまない!髪にゴミが付いていたみたいだったもので。無意識でした。本当にすまない」
アスランはもの凄く焦って平謝りした。
「ご、ゴミか…」
掃除していた時か、ソファに寝転んだ時についたのだ。
ルシンダは情けなかった。
きっとアスランは、身なりの構わない奴だと思ったに違いない。
穴があったら入りたいよ…
「こちらこそすいません…こんな醜態を晒してしまって…恥ずかし…」
ルシンダは下を向いて、呟くように言った。
「ふふっ。そんなことないですよ。可愛らしいな。そんな顔しないでください。こちらも、若い方を相手に無遠慮でしたね。以後、気をつけます」
アスランが微笑みながら言った。
あぁ、無理だな
こんな笑顔忘れるなんて無理だし
好きにならないなんて、
無理だわ
「そんな…気をつけなくてもいいです!」
ルシンダは思わず言ってしまった。
アスランは驚いた顔をしたが、すぐにその顔が緩んだ。
「ありがとう。また話できたらいいな」
アスランは心の中で思っただけのつもりだったが、小さく声に出てしまっていた。
「私も…私もです…!」
ルシンダがそう言うと、アスランは切なそうに彼女の顔を見た。
「また来る、とクルーズに伝えてください」
そう言って、アスランは魔術部を出ていった。
その後、クルーズたちが魔術部に戻ってきた。ルシンダは、アスランが来たことをクルーズに伝えた。しかし、アスランに対するこの気持ちをセラに相談することなどできる訳がなかった。
それでもセラは、ルシンダの少し赤らんだ頬を見逃しはしなかった。
ルシンダが魔術部に出勤するようになって、セラは彼女をそう呼ぶようになっていた。
王城や魔術部で必要なことは全部、セラがルシンダに教えてくれていた。
「セラさん~聞いて下さいよ~!」
ルシンダはいつもそう言って、ちょっとした愚痴から細かい相談まで、何でもセラに話をするようになっていた。
また、年の近いアンナとルシンダはすぐに打ち解け、研究室に2人の明るい笑い声が響くようになった。
セラは、それを嬉しそうに傍から眺めていた。
「セラ?」
クルーズが懐疑的な表情をしていた。
「何ですか?」
クルーズの言いたいことは分かっていたが、セラは気づかないふりをした。
クルーズはややこしい相手だ。隙を見せないほうが無難だった。
そんなある日、ルシンダはたまたま一人で研究室の留守番をしていた。
クルーズとセラはアンナを連れて、魔法部隊の予算協議に出ていた。
「暇だな~」
ルシンダは掃除をしたり、本を読んだりしていたが、すぐに飽きてしまっていた。
トントントン
ルシンダがソファに寝転がっている時、ドアを叩く音がした。
ルシンダは驚いて飛び起きた。
「はい!」
ルシンダの返事とともに、ドアが開いた。
「クルーズは?」
開口一番そう言ったのは、アスラン・ターリーであった。
「あ、失礼。あれ?君はライトの奥さんだよね?」
アスランはルシンダが魔術部で働いていることを知らないようだった。
「先日から、こちらで働かせていただいております。あの、クルーズ様もセラさんも会議に出席していらっしゃいまして、今は私ひとりなんです」
アスランを目の前にして、ちゃんと説明できたことが、ルシンダには奇跡的なことであった。
それだけ、どんどん速く心臓が音を上げていた。
なんて、なんて素敵な人なの…
「そうだったのか…と、いうことは君は魔力を有しているのかな?」
アスランが不思議そうに聞いた。
「そうです。大した魔力ではないと思っていたのですが、クルーズ様に是非、魔法部隊にと言って頂きまして…」
「へー!あのクルーズがそう言ったのか?すごいな。ルシンダ殿と言ったよね?期待してるよ」
アスラン様がルシンダに近づいてきて言った。
そして、徐にルシンダの髪を触った。
「え?!」
ルシンダの顔は真っ赤になってしまった。
「あ…!すまない!髪にゴミが付いていたみたいだったもので。無意識でした。本当にすまない」
アスランはもの凄く焦って平謝りした。
「ご、ゴミか…」
掃除していた時か、ソファに寝転んだ時についたのだ。
ルシンダは情けなかった。
きっとアスランは、身なりの構わない奴だと思ったに違いない。
穴があったら入りたいよ…
「こちらこそすいません…こんな醜態を晒してしまって…恥ずかし…」
ルシンダは下を向いて、呟くように言った。
「ふふっ。そんなことないですよ。可愛らしいな。そんな顔しないでください。こちらも、若い方を相手に無遠慮でしたね。以後、気をつけます」
アスランが微笑みながら言った。
あぁ、無理だな
こんな笑顔忘れるなんて無理だし
好きにならないなんて、
無理だわ
「そんな…気をつけなくてもいいです!」
ルシンダは思わず言ってしまった。
アスランは驚いた顔をしたが、すぐにその顔が緩んだ。
「ありがとう。また話できたらいいな」
アスランは心の中で思っただけのつもりだったが、小さく声に出てしまっていた。
「私も…私もです…!」
ルシンダがそう言うと、アスランは切なそうに彼女の顔を見た。
「また来る、とクルーズに伝えてください」
そう言って、アスランは魔術部を出ていった。
その後、クルーズたちが魔術部に戻ってきた。ルシンダは、アスランが来たことをクルーズに伝えた。しかし、アスランに対するこの気持ちをセラに相談することなどできる訳がなかった。
それでもセラは、ルシンダの少し赤らんだ頬を見逃しはしなかった。
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