沈黙のういザード 

豚さん

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22話 大人の女子トーク ※R15

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二人の肩は、触れるか触れないかの距離。
沈黙が、夜の音に溶けていく。
しばらくして、理恵がぽつりと言った。

「なあ、憂」

「……はい?」

「修学旅行の夜ってさ、みんなで変な話するよな」

理恵は少し声を潜めて、くすくす笑う。

「文化祭のときの演奏もすごかったけど……今度はもっと、女子同士の話しようぜ」

憂の胸が、きゅっと鳴る。

「……え、どんな話……ですか?」

理恵は横を向き、はっきりとした声で言った。

「恋の話だよ。人にどう見られたいかとか、どうやってドキドキさせるかとか」

憂の目が潤む。

「……そんな、恥ずかしいです……」

理恵はにやりと笑う。

「いいじゃん、夜くらいさ。
 例えばよ……色とか、雰囲気で人の視線が変わるって知ってる?」

憂は布団に顔を半分埋めながらも、耳を澄ませる。

「……どんな……ですか?」

「清純ぶった可愛い色、例えば淡い緑とかピンクとか……お前の透き通った感じにすげえ映えるぜ」

理恵の声が、少し掠れる。

「でもよ……ギャップって大事なんだよな。
 普段は清楚なのに、急に黒とか深い赤の服着たら……息止まるぜ」

憂は息を詰め、布団の中で体を縮こまらせる。

「ちょ、ちょっと……理恵さんっ……!
 そんな話、聞きたくないです……恥ずかしいですっ……!」

しかし理恵は、楽しげに続ける。

「逆に、あたしみたいな女は……純白が一番効くんだよ。
 ギャップ萌えみたいな感じ……実はドキドキさせるんだぜ」

憂は布団に顔を深く埋め、息を乱していた。

「や、やめてください……そんな話、聞きたくないです……!
 わたし……体型とか、コンプレックスで……」

理恵はくすくすと笑う。
でも、その笑いには優しさが滲んでいる。

「はは……そんなの、全然気にするなよ。
 人って、演出に弱いんだよ。フェチってやつがあるだろ?」

憂の耳が赤くなる。

「……フェチ……ですか?」

「例えば、葉月みたいなポニーテールなら……汗ばんだテニスウェア姿で髪を直すだけで、男はもう終わりだぜ。
結衣みたいなボーイッシュなら、ユニフォームからチラッと見えるラインとか……」

憂は小さく声を漏らす。

「んっ……! やだっ、そんな話……想像しちゃいます……!」

理恵は少し声を弾ませて続ける。

「そういえばよ、葉月から聞いたぞ。文化祭で憂、メイド服着て大繁盛したんだってな」

憂の顔が、さらに真っ赤になる。

「え……あ、あれは……その……
 そ、そんな話、出さないでください……恥ずかしいですっ……!」

理恵はにやりと笑う。

「いいじゃねえか、そういうことだよ。
 メイド服で人を喜ばせて、笑顔にさせるシチュエーション――それが人を幸せにする最高の演出なんだぜ。
 相手が喜ぶ顔見て、自分もドキドキして……それが恋の始まりだってこともあるんだからな」

憂は布団に顔を深く埋めながらも、どこか興味深そうに耳を澄ませている。
理恵はさらに声を潜めて、憂の耳元に囁くように。

「小鈴の着物も、素敵だね……
 あの、布が滑る音とか、うなじがチラッと見える瞬間……抑えきれなくなるよ」

憂は小さく震える。

「ひゃんっ……! く、首の話とか……やめてくださいっ……!」

理恵の声が、遠くを懐かしむように柔らかくなる。

「浴衣型の寝間着なんて……あれ着てたら、相手は毎晩、ドキドキしっぱなしだぜ……」

憂は必死に首を振るような声を漏らす。

「だめ……そんな話、聞いちゃダメです……!」

理恵は、憂の耳元にさらに優しく囁く。

「恋するのも、いいぞ……
 誰かを好きになって、その人のためだけに少し大胆になる瞬間……
 息が重なって、相手の鼓動が伝わってくる……それが、どれだけ甘くて、熱くて、幸せか……」

憂は布団に顔を埋めながらも、指の力が少しずつ緩んでいく。

「……そ、それで……その後は……?」

小さな、掠れた声で、憂がつい聞いてしまう。
頰は真っ赤で、目は潤んでいるのに、好奇心が抑えきれず、理恵の次の言葉を待ちわびるような瞳になっていた。
理恵はそれに気づき、くすりと満足げに笑う。

「それでよ……夜の営みってのは……」

理恵は、憂の耳元にさらに唇を寄せ、甘く、濃密な言葉を紡ぎ始めた。

低く、熱を帯びた声で、理恵は囁く。

「誰かを好きになって、その人のためだけに体を預ける瞬間……肌が触れ合って、息が重なって、相手の鼓動が自分
の胸に伝わってくる……それが、どれだけ甘くて、熱くて、たまらなく幸せか……」

指が、布団の中で憂の手をそっと握る。

「だめ……そんな話、聞いちゃダメです……!」

「相手の指が震えながら、お前の体を優しく撫でて……『好きだ』って何度も耳元で囁かれて……体が溶けるみたい
に熱くなって、全部委ねたくなる……そんな愛の魅力、味わってみろよ……」

憂は必死に首を振って抵抗するような声を漏らしたが、理恵の生々しい体験談は止まらない。

さらに詳細に、熱く、リアルに耳元に語り続けていく。

最初は恥ずかしさで布団に顔を深く埋め、両手で耳を塞ごうとしていた憂だった。

けれど、理恵の言葉があまりに生々しく、熱を帯びて響くにつれ、指の力が少しずつ緩んでいく。

息が乱れ、布団の中で体をくねらせるようにもぞもぞと動かし始め、耳元に注がれる吐息に小さく震えながら……いつの間にか、顔を埋めていた布団からそっと顔を上げ、理恵の唇に視線を奪われていた。

「……そ、それで……その後は……?」

小さな、掠れた声で、憂がつい聞いてしまう。

頰は真っ赤で、目は潤んでいるのに、好奇心と興味が抑えきれず、理恵の次の言葉を待ちわびるような瞳になっていた。

理恵はそれに気づき、くすりと満足げに笑う。

「ふふ……興味出てきたな? いいぜ、もっと教えてやるよ……」

もう、逃げられない。

甘い囁きは、夜が更けるまで続いた。

触れ合う体温、絡み合う吐息、震える肌。

理恵の言葉は、まるで魔法のように、憂の心と体を解きほぐしていった。

その夜、憂は理恵から――
甘く、濃密で、恥ずかしくてたまらなくて、でも抗えない――
大人の世界を、魂ごと、たっぷりと叩き込まれたのだった。
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