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4話 鹿肉カレー
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焚き火の火が落ち着き、鍋の中のカレーが、静かに完成を告げる。
「……できたよ」
葉月が皿によそい、丁寧に秋香の前へ差し出す。
「どうぞ。葉月ちゃん特製鹿肉カレー、温かいうちに」
「まあ……」
秋香は両手で受け取り、湯気を見つめながら、嬉しそうに微笑んだ。
「香りからして……とても上品ですわ」
「緊張するなぁ……」
葉月は自分の皿を持ちながら、そっと様子をうかがう。
秋香は姿勢を正し、スプーンで一口分をすくった。
――ぱくり。
「……っ」
一瞬、目を見開き、それから、ふわっと表情がゆるむ。
「……ちょっと……これは……やば……」
「出たーー」
葉月が即座に突っ込む。
「秋香ちゃんの、清楚ギャル語」
「……失礼しました」
秋香は小さく咳払いし、けれど、もう一口運ぶ。
「……改めまして」
ゆっくり噛みしめるように。
「鹿のお肉が、とても柔らこうて……臭みが一切ございません」
声は落ち着いているのに、頬はほんのり緩んだまま。
「噛むほどに旨みが出てきて……カレーのスパイスとも、実によく合いますわ」
「やっぱり、隠し味のらっきょの酢が、ちゃんと効いてるわ」
「ええ……そのおかげで、後味が締まりますわ」
秋香は感心したように頷く。
「後味が重くならず、すっと引いていく感じ……とても葉月さんらしいです」
また一口。
「……やば……普通に……めっちゃ美味しいんですけど……」
「後半にもギャル語きた」
葉月は笑いながらも、その表情は、隠しきれないほど嬉しそうだった。
「だって……」
秋香はスプーンを置き、葉月を見る。
「ほんまに、おいしいんですわ」
まっすぐな視線。
飾りのない声。
「このカレー……やさしくて、あったかくて……気づいたら、心まで満たされてます」
葉月の胸が、きゅっと鳴る。
「……それ、嬉しすぎる」
秋香は、少しだけ照れたように微笑み、小さく続けた。
「それに……葉月さんが作ってくださった、というだけで……特別に感じてしまいますの」
「……もう」
葉月は照れ隠しのように笑いながら、そっと秋香の手に触れる。
指先が重なり、自然に、そのまま留まる。
「また、作るから」
「……はい」
秋香は静かに頷き、もう一度カレーを口に運んだ。
「次は……少しだけ、大盛りでお願いしたいですわ」
「ふふ。いくらでも作るよ」
焚き火の音と、スプーンの小さな音。
その間に流れる空気は、静かで、あたたかくて――
確かに、恋の温度を帯びていた。
「……できたよ」
葉月が皿によそい、丁寧に秋香の前へ差し出す。
「どうぞ。葉月ちゃん特製鹿肉カレー、温かいうちに」
「まあ……」
秋香は両手で受け取り、湯気を見つめながら、嬉しそうに微笑んだ。
「香りからして……とても上品ですわ」
「緊張するなぁ……」
葉月は自分の皿を持ちながら、そっと様子をうかがう。
秋香は姿勢を正し、スプーンで一口分をすくった。
――ぱくり。
「……っ」
一瞬、目を見開き、それから、ふわっと表情がゆるむ。
「……ちょっと……これは……やば……」
「出たーー」
葉月が即座に突っ込む。
「秋香ちゃんの、清楚ギャル語」
「……失礼しました」
秋香は小さく咳払いし、けれど、もう一口運ぶ。
「……改めまして」
ゆっくり噛みしめるように。
「鹿のお肉が、とても柔らこうて……臭みが一切ございません」
声は落ち着いているのに、頬はほんのり緩んだまま。
「噛むほどに旨みが出てきて……カレーのスパイスとも、実によく合いますわ」
「やっぱり、隠し味のらっきょの酢が、ちゃんと効いてるわ」
「ええ……そのおかげで、後味が締まりますわ」
秋香は感心したように頷く。
「後味が重くならず、すっと引いていく感じ……とても葉月さんらしいです」
また一口。
「……やば……普通に……めっちゃ美味しいんですけど……」
「後半にもギャル語きた」
葉月は笑いながらも、その表情は、隠しきれないほど嬉しそうだった。
「だって……」
秋香はスプーンを置き、葉月を見る。
「ほんまに、おいしいんですわ」
まっすぐな視線。
飾りのない声。
「このカレー……やさしくて、あったかくて……気づいたら、心まで満たされてます」
葉月の胸が、きゅっと鳴る。
「……それ、嬉しすぎる」
秋香は、少しだけ照れたように微笑み、小さく続けた。
「それに……葉月さんが作ってくださった、というだけで……特別に感じてしまいますの」
「……もう」
葉月は照れ隠しのように笑いながら、そっと秋香の手に触れる。
指先が重なり、自然に、そのまま留まる。
「また、作るから」
「……はい」
秋香は静かに頷き、もう一度カレーを口に運んだ。
「次は……少しだけ、大盛りでお願いしたいですわ」
「ふふ。いくらでも作るよ」
焚き火の音と、スプーンの小さな音。
その間に流れる空気は、静かで、あたたかくて――
確かに、恋の温度を帯びていた。
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