冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト

文字の大きさ
16 / 20
第1章

第16話 お兄ちゃんは断れない性格をしているようです

しおりを挟む
 愛海から妹パワーを多量接種した俺は、その副作用によるニヨニヨをどうにか抑えつけながら、リビングの端っこにあるテレビに目を向ける。

「あー、〇リオカートか……」

 正直に言うと、このゲームには嫌な思い出しか残っていない。―――なぜなら、愛海と那月にフルボッコにされたからだ。
 普通に負けるならまだ許せる。ただ、二人ともいろんな意味でたちが悪い。
 愛海は上位層で走行してるくせに無敵の星とか、キノコとか強いアイテムばかり引き当てる。……俺には全く来ないのに。
 それに対して那月は先ほど言った星を使ったうえで何度もぶつかって来たり、沼や溶岩に突き落としてきたりと……とにかく散々な目に遭った。

「お兄ちゃんも、もちろんやるよね?」
「……いやー、やりたいのは山々なんだけどね、宿題が終わってないんだよねー」

 嘘である。俺はこのゲーム、全くやりたくない。今すぐにでもここから逃げ出したい。

「え? レンお兄ちゃんって問題児じゃなかったの?」

 俺の心に50のダメージ!

「問題児……ってのは誰から聞いたのか知らないけど、だからと言って宿題をやってないって決めつけるのはよくないと思うけどなー」

 懐疑の目を向けてくるな、俺もやってることの愚かさは分かってんだよ。

「……この前、夕佳お姉ちゃんが家に来た時聞いたんだけど……宿題言われないとやらないんじゃなかったっけ? それも夕佳お姉ちゃんとかに」

 俺の心に100のダメージ!

「いや、ちゃんとやってるから」
「……じゃあ夕佳お姉ちゃんが言ったことは嘘なんだね。今度会った時に伝えておくよ」

 クリティカルヒット! 俺の心は劣化した。

「あ、それだけはマジ勘弁」
「じゃあお兄ちゃんの言ったことは嘘って認めるの?」
「……私がわるぅございましたぁ、どうもすいませんでしたぁ」
 
 真面目に謝ったら負けた気がしてならない。ほらもう、愛海がニヤニヤ顔でこっち見てくるじゃないか。

「あー、やっぱりこれは伝えておくしかないかなー」
「ごめんなさい、愛海様あああ!!!」

 いちげきひっさつ! 俺の心は砕け散った。
 手の平を超高速で翻したかのような究極のDO☆GE☆ZA(本気の謝罪)。

 本当は宿題なんて出ていなかった。今日はゆっくり自分の部屋でゴロゴロする予定だったのに……。

 結果、俺は不本意ながらもこのゲームをやる羽目になった。
 ……もし、俺が正直に寝たかったって言っていたら…………いや、『もし』はやめておこう。あとが辛い。

「……どうしても、あれ、やるんすか?」
「やるよね??」
「……はい」

 かくして俺は二人との口論に負けた上でゲームをすることとなった。
 コントローラーを取り出し、電源をつける。

「じゃあ私たちが勝ったらお兄ちゃんの部屋見せてね♪」
「いいね、それ!」
「何勝手に決めてるんだよ、しかも俺の部屋って」
「いつもお兄ちゃん見せてくれないじゃん」

 見せたくないんだよ。分かってくれ。

「お兄ちゃんが勝ったら、さっきのことは夕佳お姉ちゃんに言わないであげる」
「……さっさと終わらせんぞ」

 勝てばいいんだよ、勝てば。そうすれば行き着く先はハッピーエンドだ。
 俺の運命はこのハンドル《コントローラー》が握ってんだよ! ……あと愛海。

 さて、キャラクター選択画面で1秒かからず選択したのは、〇ッシーだ! 前からこれは決めてんだよ。毎回那月が〇ッシーで妨害してくるからコイツじゃなければいいんじゃね? という発想だ。

「よっし絶対負けねぇからな、負けたら俺はDEATHだから気合い入れなければ……」
「お兄ちゃんお菓子食べる?」
「レンお兄ちゃんジュース飲む?」

「……駄目だ、集中できん」

 結局全部貰うんですけどね。……ハッ! こんなことしてたら今日の晩御飯が食べられなくなる?! 愛海の手料理が食べられなくなるとは困る。ここはなんとしても耐えねば……!!

「お兄ちゃん早くやろー」
「あ、ああ」

 謎の葛藤をしている間にレースの準備が終わっていた。

「約束は破らないでねー!」
「分かってるよ、もちろんそっちも俺が勝ったら問題児というイメージは変えろよ」
「もちろん! 言質とったりー♪」

 そして、運命のレースが始まる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...